第26航行 次期生徒会の引き継ぎ
学校毎の海軍戦略式技術大会が終わると、生徒会の引き継ぎ時期になる。
(尚、国別対抗の技術大会では、主軸校 (C型戦艦を出す学校) 以外は1・2年で構成される)
2年生では、この時期になると『生徒会長』と『副生徒会長』の立候補が始まる。
生徒会長が決まった後、各委員会長が決められる。
▪▪▪
立候補の締め切りが迫る頃。
ニアンは、イチカに呼ばれて学校の屋上へとやって来た。
「イチカ、呼び出してどうしたんだ。」
「あのね……私、生徒会長に立候補する。」
「……は?生徒会長に立候補する!?」
ニアンが驚く。
「そこまで驚く事は無いじゃない。前々から、決めていた事だし。」
生徒会長を継ぎたい理由。
かつて、私の独断でギンガ君やシアラちゃんの意見を飲んだ事。
それを、咎める事なく容認してくれたミミナ先輩。
単純だと思われるが、先輩の様な『人を見れるようになりたい』と思ったのだ。
「……そうか。じゃあ、俺も腹をくくる。副生徒会長に立候補するよ。」
ニアンは、イチカの気持ちをくみ取った。
「ニアン君……やっぱり、パートナーで良かった……!」
▪▪▪
生徒会長と副生徒会長の立候補者が、正面ロビーに張り出された。
ギンガは、誰が立候補するか気になっていた。
「イチカ先輩とニアン先輩、立候補しているのね。」
後ろから、シアラがそう言った。
「でも、他に立候補者は居ないんだな。」
マガイロがそう続いた。
確かに、立候補者が張り出されたってことはもう締め切られたって事だ。
「ミミナとバーモント君の後釜は担えないって、他の生徒は遠慮したみたいよ。」
この声は、3年のサクラ先輩だ。
「どうしてそれを?」
ギンガは気になって、聞いてみた。
「昨日、アガミ先生が教務室で嘆いていたのを聞いちゃって。『イチカとニアンしか立候補書を出さなかった。他の皆、二人の後釜はプレッシャーなのか、避けたみたいだ』ってね。」
▪▪▪
その後、3年生の生徒会役員による、任意投票で次期生徒会長が決まった。
(立候補者が一人の場合、『生徒投票』ではなく生徒会長や委員長の『任意投票』で決まる)
イチカとニアンは、生徒室で役の引き継ぎを行った。
「生徒投票になると思っていたけど、そうでも無かったね。」
教室へ帰る途中、イチカが呟いた。
「……こうなった以上は、期待に添える様にしないとな。」
ニアンがそう言うと、イチカは頷いた。
▪▪▪
海洋学校の生徒会は以下の通り。
・生徒会長 (C型戦艦の艦長、及び総司令官兼任)
・副生徒会長 (C型戦艦の情報管理師と副官、及び代理艦長兼任)
・会計 (管理科が務める)
・学級委員 (各組1人を選出)
・選挙管理委員会
・見学準備委員会 (学校見学の計画を立てて、実行に移す)
・風紀委員会
・広報委員会
・校内美化委員会
・時報鐘委員会 (起床ラッパと、毎朝の登校時間を知らせる鐘を鳴らす)
・艦長委員会 (艦長を務める生徒が集まる)
・戦艦管理委員会 (会計以外の管理科全員が入る)
・救護委員会 (2年生以上の技術科で、『救護隊 (※) 』の勉強を副専攻として受講している生徒が対象)
以上が生徒会一覧である。
▪▪▪
(※) 救護隊
戦場での、応急処置を行う為の部隊。
ブクマ、感想等いただくと励みになります。




