第25航行 大会終了
決勝戦は、規定時間までもつれ込んだ。
結果、カウラベット海洋学校が残り戦艦の多さで勝利した。
カウラベット海洋学校は、5年ぶりの優勝となった。
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大会の閉会式が始まった。
『第86回、海軍戦略式技術大会の閉会式を執り行います。まず、優勝旗授与。』
カウラベット海洋学校の隊長である、シエルダが優勝旗を受け取った。
『続きまして、今大会の優秀選手の発表を行います。』
(優秀選手とは、文字通り試合で優秀な狙撃、指示を出した人などを指す。)
『優秀選手は……アスマロス海洋学校1年、ギンガ・アツギさん!』
「えっ!?」
一番驚いたのは、ギンガ本人だった。
……まさか、ここで選ばれるとは思いもしなかったからだ。
周りから、名前のコールが沸き出した。
壇上に上がり、賞状を受けとる。
「……ギンガ君、おめでとう。」
バーモントがそう伝える。
「いえ、先輩が機会を与えてくれたお陰です。」
そう言うと、バーモントな微笑んで頷いた。
『最後に、アチェガラス大佐よりお言葉を。』
アチェガラス大佐が、壇上に上がる。
『海洋学校生徒、諸君!今大会で大いに健闘した事を忘れず、日々鍛練をするように!』
「「はい!」」
『ありがとうございました。……これにて、第86回海軍戦略式技術大会を終了いたします。皆様、お疲れ様でした。』
拍手が沸き起こった。
………これで、学校ごとの大会は終了した。
▪▪▪
それから、学校へ戻り2日間の臨時休校を経て、再び通常の学校生活に戻った。
……と言いたいが、ちょっとした出来事があった。
それは、ホームルームが始まる前にシアラが教室へ入った時だ。
「みんな、おはよう。」
シアラの声がした。
「おはよう……って、あれ?」
シアラの姿に皆が驚いた。
纏めていた長い髪を、ベリーショートまで切ったのである。
「シアラ、どうしたんだ?その髪。」
マガイロが聞く。
「その、けじめとして。」
試合の事、気にしていたのかな。
当の本人は、『もう大丈夫だから』と言っていたが……
「試合で負けたのは事実だが、そこまでしなくても良かったんじゃないか。」
ファンが言った。
全く、その通りだと思った。試合は試合……そう落ち込む程では無いと思っていた。
「……ううん、ここまでしないと気が落ち着かなくて。」
シアラはそう言った。
流石に、これ以上の事は言えなかった。
その日の昼休憩、ギンガはバーモントに声をかけられた。
「先輩?どうかしましたか。」
「シアラさんの事、なんだが。」
髪型の件と察した。……ホームルーム前のやり取りを伝えた。
「そう、けじめか。シアラさん、意思が固いかもな。自分がやった事は、最後まで責任持とうとする所が。」
確かに――責任と思っている所は――自分以上にあったのかも知れない。
「ただ、その分俺達が支えないと不意に心が折れるかも知れない。」
それは言えているかも知れない。……今後の国別対抗や、来年以降もお互いに支えないといけない。
色々と、勉強となった大会だった。
また、頑張らないといけないな。
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その後、まさか国別対抗の件で重大な事を言われるとは、思いもしなかった。
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