第22航行 大会記録:セルイントロ海洋学校編
「これより、アスマロス海洋学校対、セルイントロ海洋学校の試合を行います。生徒、一礼!」
「「お願いします!」」
戦艦に乗り込み、出航する。
「試合前にお伝えした通り、今回は遭遇戦を考慮した配置にしています。……それと、今回は少々危険な戦法を取りますので、皆さんよろしくお願いします。」
今回もギンガが指示を出す。
『……皆、怪我なくとは言い切れないかも知れん。無理を承知だが、よろしく頼む。』
バーモントの声だ。
今回は、F型戦艦が大きな破損を伴う作戦を考えている。
……本当に、怪我なくと言いたいが。
『大丈夫ですよ、私たちには……ミミナ先輩が付いています。』
イチカが言った。
「……では、皆さん。頑張りましょう!」
試合開始から、1時間経過。
『相手方の戦艦見えてきました!前方にA型4隻、後方に5隻。それでC型を囲んでいます。』
A型戦艦からの報告だ。
……ようやく見つけた。
「では、皆さん……作戦開始!」
▪▪▪
その頃の相手方では。
「おや?相手もF型で囲んでいるようだな……」
情報管理師のメーバが言った。
「別に構わないわ。こっちのA型やC型は、相手の戦艦落とす位の戦力がある。そのまま突貫よ!」
『F型が進行方向を妨げてくる!』
甲板監視師が伝えてくる。
「A型!何をしている!」
『相手のA型と戦闘中です……!』
それで縫って入ってきたのか。
(どうするつもりなのよ……)
そうベルアンテが思った瞬間、船に衝撃が走る。
『F型2隻が、衝突してきました!』
「そのまま、蹴散らしな……」
その時、ベルアンテは何か視線を感じて、その方向を見る。
相手の他のF型戦艦のある生徒に目が行く。
あれは、確か。
1年生で副官になったと言う、ギンガ・アツギ……
(何よ、あの獰猛な狩人の眼は……!)
またもや、船に衝撃が走る。
(倒られる、このままじゃ倒られる……!)
「隊長、指示を出してください!俺達、本当に……!」
メーバがそう叫ぶが、ベルアンテには届かなかった。
『司令塔、こちら機関室。[エラーコード09]が出ている。……もう、操行は不可能だぞ!』
エラーコード09は、舵機能の破損を示すコードだ。
爆発音もして、火災警報の音声が司令塔の中に鳴り響く。
「………メーバ?」
「た、隊長?」
「……白旗を出して……」
ベルアンテは戦意を失った声で、そう呟いた。
『セルイントロ海洋学校、C型戦艦操行不可。よって、アスマロス海洋学校の勝利!』
▪▪▪
試合後。
隊長のベルアンテと、副官であり管理師のメーバが陣地へやって来た。
バーモントとベルアンテ、二人は硬い握手を交わした。
「試合、お疲れ様だわ。……それと。」
ベルアンテはギンガの方を向いた。
「貴方、副官のギンガくんよね。」
「は、はいっ!」
何か言われると思って、身を固くする。
「そんな、そんなぁ……身を固くしないで良いわよ?あのね、貴方の眼……凄い眼差しだったわよ。」
「……え?」
「気迫が、他の生徒とは違っていたわ。あれは、貴方の所のミミナさんでしたわよね、本来の隊長の。去年、一度練習試合を組んだことがあるんだけど……その時に感じたのと似ていたわ!」
ミミナ先輩と、僕……が?
キョトンとしていると、バーモントが笑う声がした。
「確かに、ベルアンテさんの言う通りかもしれません。彼は、試合に関しては人一倍の想いがあるんですよ。それが、その気迫に繋がったのかもですね。」
ベルアンテは頷いた。
「改めて、勝利おめでとうだわ。……次の試合も、健闘するのよ。」
第2回戦の結果は以下の通り
第1戦
カウラベット海洋学校の勝利
第2戦
アスマロス海洋学校の勝利
第3戦
スルエントロ海洋大学校の勝利
第3回戦の組み合わせは、以下の通り
第1戦
カウラベット海洋学校
VS.
ウェストローガ海洋大学校
第2戦
アスマロス海洋学校
VS.
スルエントロ海洋大学校
3日目に突入。
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