第18航行 大会前の合宿:後編
次の日。
曇り空で、如何にも雨が降りそうだ。
「これ、先にフォーメーションの確認をした方が良いのでは?」
バーモントが先生達に打診する。
「そうだな、雨が降る前に……。」
▪▪▪
「皆さん、これより内容を変更して隊列確認を行いたいと思います。」
「「了解!」」
「……バーモント先輩が打診したみたいよ。隊列確認をした方がって。」
シアラが囁く。
「確かに。この天気だったら、先に確認した方がいいよね。」
今回の隊列確認は、隊列に数隻の船を対峙させ、攻撃や回避を確認すると説明を受けた。
ギンガは、F型戦艦1号に搭乗する。
「……リバーバ先輩。」
出航前、ギンガはリバーバに話しかける。
「どうした?」
「お願いがあるんですけど、一度……甲板監視師をやってみたいと思いまして。」
今までは操行師をやっていたが、それだと戦場を把握出来ないと感じていた。
「分かった。」
快く応じてくれた。
それから、監視師のチェルガーと交代する事となった。
「……監視師、頼んだよ。」
チェルガーはそう言った。
「はい。」
『これより、出航!』
▪▪▪
C型戦艦の護衛の確認を行う。
C型の後方に、F型2隻を沿うように操行を行う。
相手に見立てたF型戦艦は、2隻。
どちらも数分遅れで出航し、攻撃を行う。
それで、適切に回避出来るか試す。
「………。」
ギンガは双眼鏡を覗き、辺りを伺う。
後方にF型戦艦が見え、攻撃を仕掛けた。
「後方より、相手のF型発見。C型とF型1号は速度を上げて操行、F型2号はC型の後ろに沿うカタチで攻撃準備を!」
ギンガは無線を使う。
『C型、了解。』
『F型2号、こちらも了解!』
「ギンガ君、前方にF型がもう1隻来る!」
同じ監視師のサクラが言う。
確認を取る。
かなり遠目だが、F型戦艦1号の左方向に見える。
「C型戦艦は、進行右方向へ転換。我々F型1号は同じく右に転換しますが、相手との砲撃範囲ギリギリの所で、左方向に転換をしてください。」
「了解したよ。」
『F型2号、相手船撃破!』
2号から撃破の報告を受ける。
「了解です。F型2号はそのままC型の後ろを操行してください。」
『了解。』
距離が縮まる。
同じ戦艦とはいえ、こちらの方が速度を上げているから有利。
「もうそろそろ、砲撃範囲です。左方向に転換を!」
戦艦の向きが変わる。
「F型1号の主砲、第1副主砲、敵船に向け砲撃準備。」
『主砲、装填完了。』
『第1副主砲も完了です。』
「敵船の進行方向に向け……発射!」
『命中しました!』
相手に見立てた戦艦2隻を撃破出来た。
その後、辺りは暗くなり、雨が降ってきた。
天候が荒れるのを考慮して、ここで練習は終わりになった。
「……護衛が2隻でも、何とか突破出来るんだな。」
合宿所へ戻ると、バーモントがギンガに話しかけた。
「はい。数だけ固める手もあるんですけど、それだと戦闘する戦艦が少なくなります。臨機応変に、とはこの事だと思います。」
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次の日も、海上の練習は出来なかった。
練習は十分、とは言い切れない気がする。
けれど、これで何とか頑張らなきゃいけないのかな。
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