第16航行 大会の試合抽選
2学期も幾分過ぎた頃。
「海軍戦略式技術大会」の試合の抽選を行う為、一部の管理科以外の生徒は戦艦に搭乗してとある場所へ向かった。
その場所は、グレンドー国の国立学校である、スルエントロ海洋大学校だ。
大会の実施及び試合の抽選は、毎年3か国の持ち回りで、今年はグレンドー国が担っていた。
3時間ほどかけて着いた。
校門前には、スルエントロ海洋大学校の先生数人と生徒一人居た。
受付の対応かな。
あの生徒、凄い異彩を放っている。
………アゴが割れてて、厳つそうな感じ……。
「確か、あの人……今年の司令官だったはずだわ。」
シアラが言う。
「よく知っているな。」
「実際にお会いしたことは無いけど、大会広報の『次期司令官』の特集を読んだことあってね。」
「アスマロス海洋学校です。」
校長が受付を行う。
「あら~。やっぱりアスマロスの皆って来るの早いわねぇ!」
その生徒が喋った……と思ったらまさかのそっち系!?
1年の皆は笑いをこらえている。
見た目とのギャップが激しすぎ……。
他の学校が来た。
………あれ?あの人と同じ顔?
「………あれ、セルイントロ海洋学校よ。グレンドー国の私立校だったはずなんだけど。」
シアラが囁く。
顔が似ているあの二人、何だか不穏な空気が漂う。
「よくもおめおめと来たわね、ベルアンテ!」
「何よ、別に良いじゃないの!ベルシアンには関係無いでしょ?」
「先輩!此処で言い争うのはやめましょう!!」
後輩が止めに入る。
………あの二人は双子なのか。
二人ともそっち系はキツすぎる……。
………あ、後で先輩にあの二人について聞いてみよう。
▪▪▪
学校の中に入った。
そのまま、校庭へ案内される。
他の学校も続々と集まっていく。
「あの、バーモント先輩。」
抽選前、バーモントに話しかける。
「ん、どうした?」
「さっき、受付中に口論になった二人……居たじゃないですか。」
「ああー……ビラベ兄弟か。」
「知ってるんですか?」
「ああ、あの二人は元々スルエントロの生徒だったんだが、仲違いになって弟の方が転校したって話だ。………まあ、あの感じは知らない人が見たら、1年の皆みたいになるけどな。」
そう、だったのか。
……それ以上は突っ込んで聞かないでおこう。
▪▪▪
「それでは、これより第86回『海軍戦略式技術大会』の抽選を行いたいと思います。」
抽選が始まった。
前年の優勝校は3回戦から参戦、準優勝校は2回戦から参戦するシード権がある。
それ以外の学校は、1回戦から戦う事になっている。
(前年の優勝はウェストローガ海洋大学校、準優勝はスルエントロ海洋大学校らしい。)
「続きまして……ミハローガ王国、アスマロス海洋学校。」
うちの学校が呼ばれた。
壇上にバーモントが登る。
箱に手を入れて、小さなカードを出す。
「アスマロス海洋学校、6番です!」
5番の相手は、シアラベット海洋学校みたいだ。
「……うわあ。」
シアラが項垂れる。
「どうしたんだ?」
「シアラベットの戦艦って、基本的に装甲が厚いのよね。撃破出来るか心配よ。」
確か、そうだったっけ。
「着弾する場所にもよらないか?」
シアラは苦笑いしつつも、頷いた。
「そうね。撃破出来ない訳じゃないしね。」
▪▪▪
全校の組み合わせが終了した。
1回戦目の組み合わせは以下の通り
第1戦
カウラベット海洋学校 (ルゥイベットロ王国)
VS.
ウェアルントロ海洋学校 (グレンドー国)
第2戦
イルアガロス海洋学校 (ミハローガ王国)
VS.
ネルサイントロ海洋学校 (グレンドー国)
第3戦
アスマロス海洋学校
VS.
シアラベット海洋学校 (ルゥイベットロ王国)
第4戦
サーベロット海洋大学校 (ルゥイベットロ王国)
VS.
セルイントロ海洋学校 (グレンドー国)
第5戦
ミアガロス海洋学校 (ミハローガ王国)
VS.
イガラベット海洋学校 (ルゥイベットロ王国)
ウェストローガ海洋大学校は3回戦目から。
スルエントロ海洋大学校は2回戦目から。
以上が今年度の初戦だ。
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