第15航行 夏休み明け
「これより、2学期の始業式を執り行う。」
夏休みが終わった。
ちなみに、夏休み終了3日前の練習は、台風の影響で無しになった。
そのまま、家に待機していた。
やりたかったけど、仕方がないのかな。
(リハマ市の夏の数ヶ月は、台風の通過が多くなる為、天候悪化で練習が出来ない日が多くなるみたいだ。)
▪▪▪
「………マガ、台風大丈夫だったか?」
教室へ戻った後、ホームルームが始まる前にマガイロに台風の事を聞いてみた。
「凄い荒れてたよ。流石に、上の学年の管理科と一緒に高台へ避難けどな。」
学校の近くには、高さ20m以上ある高台と小屋がある。
万が一に備えた、1次避難所となっている。
「皆、席付けー。」
シキハ先生が声をかける。
「2学期最初のホームルームを行うぞ。」
2学期の内容を伝えられた。
半ばにある大会に向けての練習が増える。
それから、技術科は海難救助の授業を本格的に行うみたいだ。
「海難救助、か……。」
ギンガは、バロの言っていた事を思い出していた。
海難救助中、海に投げ出されて行方不明の父さん……。
母さんにあの後聞いてみたっけ。
そうしたら、涙を浮かべて
「……言わなくてごめんね。ギンガが寂しい想いにさせたくなくて。」
と言っていた。
流石に、それ以上は言えなかった。
「………ギンガくん?大丈夫?」
シアラが声をかける。
「あ、うん。大丈夫だよ。」
「………さて、2学期の説明は以上だ。大会に向けて、気を引き締めて過ごすように。」
「「はい!」」
▪▪▪
その日の昼休み
バーモントは、リネンダ副校長に呼び出され、教務室へ向かった。
「バーモントです。」
「……ああ、バーモント君。入りなさい。」
「失礼します。……あの、お呼びだしとは?」
「それはだな………」
▪▪▪
「………ギンガ君。ちょっと良いかな。」
その頃、ギンガに声をかけたのは学級委員長のファンだ。
「はい…?」
そのまま、校舎の人気のない所へ向かった。
「あのな、此処だけの話なんだが……うちの学校、もしかしたら廃校の危機にあるかも知れない。」
「えっ………えっ!?廃校!?」
思わない言葉に驚きを隠せず、大声を出してしまう。
「しっ、しー!」
「ご、ごめん。」
「まあ、教務室からの会話を聞いただけだから、信憑性は怪しいと思うが……来年度の応募が100人を切るようであれば、新規の応募はその時までと言っていた。」
夏休みの時にマガイロから聞いた話は、それに通じるかも知れない。
その事をファンに話した。
「資金難であればその話がでてもおかしくは無いな。」
「………やっぱり、何とかして学校の魅力を出さなくちゃいけないのか。」
「そう。……だから、この話をギンガ君に話したんだ。」
「えっ……?」
「90年続いたこの学校を、終わらせたくない。自分は少なくともそう思う。」
私立の学校で90年も続いたのは、アスマロスしか無い。
確かに、これまでの伝統を終わらせたくない。
「だからこそ、この学校を大切にしているかどうか……自分から見て、ギンガ君が一番大切にしていると思ったんだ。」
ファンは続けて言う。
「………そうか。」
「気を重くしてしまった、かな。」
ギンガは首を横に振った。
「いや、そこまで信頼してくれているのなら……僕はやれるだけ、やってみるしか無いよ。」
「俺に何か出来るなら、何でも言ってくれ。」
「ありがとう。……その時はよろしくな。」
ファンは頷いた。
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