第11航行 1学期の終わり
「これより、アスマロス海洋学校1学期終業式を執り行う。」
初夏、1学期の終わり。
意外とここまで時が流れるの早かったな。
まあ、色々あって目まぐるしかったからかもしれないが。
「ミミナ先輩……また病院へ行ったってね。大丈夫なのかな。」
横でシアラがそっと言う。
数日前……ギンガとシアラが、丁度F型戦艦に乗り始めた時、ミミナ先輩が発作で病院へ送られたと聞いた。
「リバーバ先輩から聞いたんだが、今回はかなり危険な状態らしいんだ。……本当にシアラの言う通りだよ。」
▪▪▪
終業式が終わったあと、教室で1学期最後のホームルームを行った。
「皆、1学期お疲れ様でした。明日から3週間は夏休みだ。最後3日間は、練習をする。各自、忘れないように。」
夏休みの宿題や、注意事項を確認していく。
「……最後に、今年度の大会出場の件の事なんだが。」
皆の表情が強ばる。
一応、練習試合が大会出場をするかを判断する事だったが、まだ聞かされていなかった。
「我々1学年は、管理科以外は全員参加となる。A型戦艦に乗って、だ。ただし、ギンガとシアラはF型戦艦に搭乗する。」
「……予想通りね。」
シアラが言う。
「まあ、元々人数は少ないし……仕方がないとは思うが。」
「さて、今日のホームルームはここまで。夕方までには、荷物を纏めるように。」
▪▪▪
その日のお昼休み。
「ギンガ君。ちょっといいかな。」
バーモントが話しかけてきた。
「……はい、何でしょう。」
神妙な面持ちだ。どうしたんだろう。
そのまま、生徒会室へと向かった。
「それで、どうかしましたか……?」
「今年度の大会なんだが、試合の構成を一緒に考えて貰いたいんだ。」
「………えっ!?」
「3年が決める事柄なんだが……ミミナの事があってな。」
「確か、かなり危険な状態だっていう話でしたよね。」
「ああ。今回の大会は出れるか分からないんだ。」
「……だから、その役目を?」
バーモントは頷く。
「本来は、1年が関わりを持てる訳が無いのだが……柔軟な発想がある、ギンガ君に頼みたい。」
サブ司令官として、色々迷いがあった。
1年から、こんな大役を任せるなんてと思った。
でも、信頼して言うならば……!
「……分かりました。お請けします。」
生徒会室を出たギンガは、シアラを呼び止めた。
「ギンガくん、どうしたの?」
「あのな……試合の構成を考える事になったんだ。」
そう言うと、シアラは驚いた様子を見せた。
「へぇ……!凄いじゃない。」
「それで、頼みたい事があるんだ。」
「私に出来ることがあるなら、何でも言って。」
「じゃあ………」
▪▪▪
「ギンガー!こっちよ!」
夕方、校門の前に母さんの姿があった。
家に帰ると伝えていた為、迎えに来て貰った。
「母さん……!」
「寂しく無かった?」
「学校生活が楽しくて……大丈夫だったよ。」
「そう。……じゃあ、少し話を聞かせてね。」
ギンガは頷き、車まで歩いていった。
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