表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/58

第7.5航行 シアラとアミリー

ちょっと時間を巻き戻して、入学式後のお話。


▪▪▪


初日の学校が終わった。


「はぁ……この広い部屋で一人かぁ。」

シアラは、寮部屋のベッドに横たわって呟いた。


相部屋になる、との話を聞いていたが……実際に言われたのが『相部屋ではなく、一人部屋として使う』と。


寮は、1学年50部屋 (相部屋で最大100人) 用意しているみたいだが、今年度の女子入学生は、全部で10人も満たなかったらしい。


「………………仕方がない、か。」


ピンポーン

部屋のチャイムが鳴る。


「は、はーい。」


ドアを開けると、同級生のアミリーが居た。


「確か、同級生の……アミリーさん?」


「は、はい。あの、一緒にお風呂入りませんか?」


寮の離れに、確か大浴場がある。

特に断る理由も無い、よね。


「うん。わかった……ちょっと待っててね。」


タオルと着替えを持った。


「お待たせ。行こっか。」


二人は、大浴場の方へ向かう。


(私、こうやって他の女子と行動するの……久しぶりかも。)


小学校入ってから、戦艦の魅力に取り付かれだが…その事が原因なのか分からないが、なかなか友達が出来なかった。

幼馴染みでさえ、『戦艦なんて男の子らしいわ』なんて言われて……ショックでそれからもう、その子と話をしなくなったっけ。

ギンガくんと出会えたのは、本当に奇跡なのかも……。


って、いやいや………そんな事思い出したって仕方がない。


「あの、あの……大丈夫?急に誘って悪かったかな。」

アミリーが心配そうに、顔を覗き込む。


「あ、ううん。大丈夫だよ。……そうだ、アミリーさんはどうして、この海洋学校に?」

私立の学校は共学だから、女子の学生が居てもおかしくはない。

けど、他の子がどうして入ったのかは気になる。


「わたし?……わたしね、海軍のお姉さんに助けて貰ったことあって。」


「助けて貰った……?」


「幼いとき、船の事故に遭遇した事があって。……お母さん、お父さんとも離ればなれになって、一人泣きながら船の中を歩き回ってた。その時に、救助に来た海軍のお姉さんに助けられたのよ。だから、そのお姉さんみたいになろうと思ったの。」


話している時の彼女の眼……なんだか、力強く感じる。


「私はね、戦艦を見るのが好きで。それで、この学校に入ろうと思ったのよ。単純だよね。」


アミリーは首を横に振った。


「ううん、そんな事無いよ。好きなものに関わる学校に入ろう、それも立派な理由だよ!」


……なんでだろ、涙が出てくる。

そんな事、初めて言われたかも。


「はわわ、な、泣かないで?ほら、涙拭いて……。」

アミリーが慌てて、ハンカチを渡す。


「ふ、ふぇ。ありがとう、アミリーさん。」


▪▪▪


そこから、二人は一緒に行動する事が多くなった。


……私、もう寂しくないかも。

ブクマ、感想等いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すげー、ほとんど貸し切りじゃないですか! お風呂も入りたい放題や! ちょっといいなと思ってしまった [気になる点] なりほど、戦艦好きなんて男っぽいと。 その気持ち分かりますぜ(`・ω…
2021/09/25 00:00 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ