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第13小節「雷と旋風」

 カイリとルルフはフィンに苦戦を強いられていた。

 彼らの剣ではフィンの厚い脂肪を貫くことができずにいたのだ。

 フィンの攻撃もまた素手の大振りのため、2人が彼の攻撃をかわすのは容易だった。

「はあ、はあ……」

 しかしそんな戦いがそう長く続きはしない。

「……ふぅ……」

 2人は息を切らし始め、

「モウ終ワリ」

 対照的にフィンは余裕である。


 静と動の戦いにおいてより体力を使うのは後者である。

(なんとか打つ手を考えなければ!)

 しかしそう簡単に思いつくものではなく、2人は再びフィンに攻撃を試みる。

 カイリは時折雷を剣に纏わせて攻撃するがやはり効果はない。

(このままただ消耗戦を続ければこちらの負けは目に見えている、しかしどうすれば……?)

「カイリさん、私に考えがあります」

「っ!本当ですか?」

「私の奥の手を使えば、しかしそれでも火力は足りず決め手にはなりません」

「では一体何を?」

「カイリさん、あなたに手伝ってほしいんです」


 そしてルルフの提案に多少の驚きをしつつも了承したカイリ、

 2人はフィンと対峙する。

「何ヲシテモ無駄」

 ルルフは剣を逆手持ちに構える。


 そのままルルフは真っすぐに()()()()()()フィンに向かう。

「【旋風連斬】!」

 徐々に回転のスピードが上がっていきそのままフィンにぶつかる形になる。

「ムゥ?」

 フィンはそれでも動かずに防御の構えを取る。

 剣はやはりフィンの腕に防がれ弾かれてしまう。


 だが回転を止めることなく再びルルフはフィンと激突、

 2回、3回……それ以上の数の激突が繰り返される。

「ウットオシイ!」

 フィンは腕を振り上げて反撃しようとする、

「させない!」

 そこにカイリがフィンの後ろから突撃する。

「真剣流・颯 陸の型【雷光閃突】!!」

 カイリの突きはフィンの背中に突き刺さることはなかった、だが後ろに気を取られたフィンは前からの旋風に対して咄嗟に腕を戻して防御するしかない。

「ウウ!?」


 そうしてついにフィンの腕にルルフの刃が食い込み傷を作る。

 それはかすり傷程度だったが二人に確かな希望をもたらす。

(これなら!)

 カイリも連続してフィンの背中を突き出す、

「ヤメロー!」

 フィンが両腕を地面にたたきつける。

 地面が揺れ足元がおぼつく、

「ああ!」

 ルルフはこけてしまい回転は終わる。


「フン、コレデモウ終ワリ」

 フィンはルルフに近寄って腕を振り上げる。

「違う!」

 カイリは未だおぼつく足に渇を入れフィンに突進する。

 そのままカイリはフィンの背中に体当たりをした。剣を振るわなかったのはそれほどまでに必死だったのだが、それが逆に功を奏した。

「ン!」

 不意の体当たりの威力にフィンは倒れこんでしまう。


「か、カイリさん今の内にとどめを!」

 ルルフが立ち上がって剣を構える。

 それからカイリとルルフは倒れたフィンを立ち上がらせないようにしながら剣でフィンの頭を攻撃していった。

 もはやそれは斬るというよりも殴るくらいなのだが、何十回と繰り返してついにフィンの意識は失われた。



 シータは双子の姉妹に短剣を向ける。

 双子はそんなシータに対して武器を構えた。これといって何の変哲もない短い鉄のロッド、

「あなた達は一度私に負けているのよ? また負ける気?」

「ラミア、あの女はやっぱり思い上がっているわね」

「仕方ないですわレヒア姉様、あの時私達に勝ったのは単なる偶然ですもの」

「言うじゃない、なら今度は勝ってみせる事ね!」


 シータは短剣による素早い突きを繰り出す、それをレヒアが防いでその隙をラミアが攻撃する。

(ふん、何が偶然よ。()()()()()()()()()じゃない!)

 勝利を確信したのかシータはその攻撃を盾を召喚して無効化する。

 攻撃を相殺されたラミアは無防備、しかしシータはもう一人の方、レヒアに向けて攻撃をする。

 レヒアはラミアの危険を察知してあらかじめシータの攻撃を防ごうとしていた。

 しかしその行動はあくまでもレヒアを守るためであり自身を守るものではない。

 シータの攻撃は過去に戦った時と同じロッドに当たり……


 ()()()()()()()()()()()

「なっ!?」

「愚かね」

「ええ、本当に」

 攻撃を相殺されたシータが今度は無防備になる、そこに二人は攻撃を与える。

「うう……」

 シータは一撃を何とか盾で防いだがもう一撃はくらってしまった。

「何故……」

「レヒア、こんな女が指揮を執っていたなんて滑稽ね」

「そうですわねラミア姉様、全く同じ状況を再現したのは私達なんですから、何も変わってないだなんて考えるのは滑稽ですわ」

「状況の完全再現……」

 そこまで言われてシータは迂闊だったと今更ながらに思う。

 完全に同じ状況に安心しきっていたのだ。


「でもここからは違うわ」

 態勢を立て直してシータは短剣を盾に近づける。

 短剣と盾が触れた時、盾が変形して短剣と合体していく。

「「まあ」」

 双子はその様子をただ見つめる。

「機械の力におののきなさい!」

 シータは大剣を構える。


「ねえ、ラミア。あなたは黒が好き?」

「いいえレヒア、あなたは白が好きなはずよ」

 双子は顔を見合わせる。

「「なら間ね」」

 そう声を合わせてシータに向かっていく。


 シータは大剣を振って双子を威嚇する、それに対して華麗に舞うように二手に分かれてシータを挟み込むような形にする。

「白き闇」

「黒き光」

「無駄よ!」

 二つの相対する方向から飛んでくる突きをシータは剣を振るって防ぐ、そのままなんと剣が伸びて二人を攻撃した。

 二人は攻撃を防いだもののシータは余裕の表情だ。

「分かったでしょ? どれだけやっても無駄よ」

「あらラミア姉様まだ1回目ですわよね?」

「そうですわレヒア姉様、もうすぐ2回目になりますわ」

「何を……、ん!」


 シータはすぐに剣を振るう双子の言うように2回目が来たのだ、それを瞬時に防いで再び双子に向けた反撃を行う。

 しかしその攻撃は届かず双子は同じ方向にいた。

「「3回目」」

 ロッドの先端を重ねる、美しいようでいてどこか不気味な音を奏でながら鉄のロッドは一つの長い棒になる。

「あら、真似事? でもそれじゃあ……」

「「♪【破戒宴】♪」」

 双子が長くなったロッドを放すとロッドは回転しながらシータに向かっていく、

「こんなもの!」

 シータは剣を振るってロッドを攻撃する、しかしロッドの回転は収まるどころか加速していった。

「光は地を砕いて」

「闇は天を呑んだ」

 剣による攻撃はことごとく弾かれ、ついにはロッドの先端に当たった瞬間に砕け散ってしまう。

「嘘!?」

 そしてロッドの回転はそのままシータを吞み込んだ。

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