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竜胆

作者: 睦月 巴

 僕の周囲からの評価は『正義』そのものらしい。でも、それはきっと僕のことを知らないから言えることだ。

 だって、僕は歪んでいる。こんなもの、きっと『正義』なんかじゃない。




 いつものようにカンカンと音を立てながら古い金属製の階段を上る。上りきると鍵を取り出し、カチャリという音と共に開錠してギィと古びた音を鳴らせながら部屋に入った。


「ただいま」

 暗く静かな部屋にその声は溶けていった。

 でも、その声は確実に届いている。たった一人、僕の同居人に。


 明かりをパチリと点けるとリビングに蹲るようにして震えている一人の女性の姿が浮かび上がった。

 その女性は今にも消えてしまいそうなほど細く、肌の色も白い。そんな体を覆ってしまいそうなほどの黒い髪が床にも広がっている。


「ただいま、百合」

 僕が柔らかな声でそう言うと体を大きく揺らし、真っ青になった顔をゆっくりと上げて僕のことを見た。それから唇が少し震えながら言葉を紡いだ。

「……あっ、…竜、君……お、かえ、り……」

「ただいま。夕食はもう食べた?」

 僕が聞くと目線を逸らし、弱々しく首を横に振った。

「じゃあ、お昼は?」

 これも同じように返された。


 僕は百合の横にしゃがみ、百合の顔を覗き込んだ。

 百合の顔は血の気が無く、影を落としている。それでも失われない美しさは儚さから来るものか、それとも僕の心がフィルターを掛けているのだろうか?


 透けるような肌にそっと指を這わすと、入りはビクリと体を揺らした。

「……また、痩せたんじゃない? 食べれるものがあるんなら食べた方がいいよ。それとも、僕が作ったのは美味しくない?」

「違っ……! ごめ、なさい、ごめん、なさい……!」

 僕の言葉を否定するように声を上げたと思うと、百合は目から大粒の涙を零しながら謝って来た。


 今にも壊れてしまいそうな背中をそっとさすりながら僕は出来るだけ優しい声を掛けた。

「百合、謝らなくて大丈夫だよ。今から何か作るから、食べられるだけでいいから食べよう?」

 僕のその言葉がちゃんと届いたようで由利はコクリと頷いた。


 そっと頭を撫でてあげると、百合は少し和らいだ表情をして微かに微笑んだ。

 それをちらりと見てから笑顔を向けて僕は台所へ向かい、消化の良さそうなものを適当に作り始めた。




 僕と百合は幼馴染で今もその関係のままだ。けれど、僕らは今一緒に暮らしている。それには理由がある。


 元々僕は一人暮らしをしていて、百合は彼氏と暮らしていた。けれど、百合は相手を想うからこそ心が病んでいった。

 疑念、不安、そして憎しみと恨みに変わった恋心を抱き始め、壊れてしまった。


 そんな百合を重く感じた百合の彼氏は僕に百合を押し付ける形で一度距離を置かせてくれと言ってきた。

 その時、思わず好都合と思ってしまった。

 だって、僕は幼い頃から百合を愛していたから。恋なんてものじゃ足りない程に愛していた。けれど、僕の愛情は歪んでいた。


 僕は百合の悲しんでいる時が最も好きだった。もちろん百合自体のことは愛している。けれど、一番愛おしいと思う時は悲しんでいる時だ。

 この感情はいずれ百合を傷付けると思い、僕はこの気持ちを誰にも話さないと決めた。


 そのまま時が過ぎればいいと思っているうちに百合は僕の友達と付き合い始めた。

 二人は付き合い始めた時に態々僕に報告に来た。百合は一番大切な幼馴染だからと、友人は僕のことを一番信用できる友達だからと言ってきた。

 その時に心の奥底で真っ黒な感情が燻っていたのを今でも覚えている。


 何故、百合はそいつに笑顔を向けるの? 百合はそいつにも泣き顔を見せるの? 百合は僕じゃない奴の側に居たいの? 

 憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い……!

 僕だけの百合であればいいのに。百合の隣にいるのは僕だけでいいのに。


 そんな感情を押し込めて僕は笑顔で「そっか、おめでとう。お幸せに」と言った。

 二人は心底嬉しそうな顔で「ありがとう」と返した。

 それさえも嫌悪した。だからこそ、あいつが百合のことを手に負えないと言って僕に押し付ける形になった時に思わず笑ってしまいそうになった。


 お前なんかには百合の側に居る資格はないんだよと言いたかった。その代わりに言った言葉は「百合のことは任せて。僕なら百合のこともよく知ってるし」だった。

 疲れ切った顔をしていたあいつはやっと解放されるといったように安堵した。

「じゃあ、頼んだ」

 あいつは安心しきった顔でそう言って百合から離れた。


 あいつは百合と別れたかったらしい。でも、百合はあいつに縋った。「捨てないで」と。

 そんな百合を捨てることも出来ず、側に置くことも出来なくなったあいつは僕を頼ってきた。

 それは百合にとっては捨てられたのも同然だった。だから、百合はずっと悲しみに暮れて、何をするでもなく青ざめた顔でそこに居るだけになった。


 あいつは百合がそうじゃなくなったら迎えに来てもいいと電話を掛けてきたのが、百合には伝えていない。伝えるはずがなかった。


 僕は悲しんでいる時の百合が好きだ。今、百合はこの上ないほどに悲しんでいる。

 でも、その感情は僕に向けられているものじゃない。それに少し苛ついて一人きりになると奥歯を食いしばる。


 何度も思い知らされる。僕自身では百合を悲しませることは出来ない。それは幼い頃からずっとだった。

 百合を笑顔にさせることはあっても、悲しませることは今まで一度たりとも出来なかった。

 百合が今、僕の所為で悲しんでいるのではなく他人が悲しませているというのを除くと僕はこの上なく幸せだ。

 こうして百合の食事を作るのも、百合と共に過ごすのも……。

 だけど、いつまた百合が離れていくんじゃないかと思うと異常なほどの不安に襲われる。


 いっそのこと閉じ込めて僕だけを見るようにしてしまおうかとも思うが、僕は外の世界で過ごし過ぎたせいか他人の目を気にしてしまう。

 正しい道は一体なんなのだろうと思いながらも答えは出るはずがなかった。


 ぼんやりしながら食事を作っていると後ろからカタンという音がした。

 ハッと後ろを見ると百合がと惑った顔をして、扉に凭れかかってこちらを見ていた。


 僕は柔らかく微笑んで声を掛けた。

「もう少しでできるからもうちょっと待っててもらえるかな?」

 百合はコクリと頷き、リビングの方へとふらふらした足取りで向かった。


 速くしなきゃと呟くと、殆ど出来上がっていた料理を仕上げて百合の元へと運んだ。

「お待たせ」

 ふわりと微笑みながら言うと、百合は首をふるふると振った。


 コトリと音を立てて料理を並べると百合はそっとお箸を取ってから、料理を少しとって口に運んだ。

 コクリと咀嚼したのを見届けてから『美味しい?』と尋ねると、百合はそっと頷いてからもう一口料理を口に運んだ。

 笑みを深めてから僕も食事を取り始めた。


 百合と一緒に暮らすまでは食事なんてどうでもよくて、生きられたらどうでもよかった。でも、今は百合の口に少しでも合うように頑張って作っている。

 それさえも幸せに感じる。ああ、どうか、このときが終わらないで……。




「――ん、――さん」

 仕事をしていると誰かが呼ぶ声が聞こえてそっちを向くと、同僚の少し派手な女性がにっこりと微笑んで僕の横に立っていた。


「どうかしましたか?」

 作り笑いを向けると、女性はより笑顔を深めた。ああイライラする。

「だぁかぁら~、今日の飲み会は参加してくれるんですか? 前まではよく参加してくれたのにぃ~、最近は全然じゃないですかぁ~」

 猫なで声で話し掛けてくるのに苛立ちを増しながらも作り笑顔で応対した。

「すみません。今日も用事があるので……」

「え~、用事ってなんですかぁ~? 絶対はずせない用事なんですかぁ?」

「ええ、この上ないほどに大切な用事です」

「用事って実際何なんですかぁ?」

「それは秘密です」

 にっこりと微笑みながらそう言うとムッス~とした顔をして、じと目をむけてきた。それを横目に仕事を再開しようとした時にまた話しかけられた。

「じゃあ、質問かえますぅ。その用事って彼女さんですか?」

「違いますよ」

 思わず『彼女』という言葉に反応してしまいそうになった。

 でも、気付かれないように即答するとぱぁっと明るい顔をして「そっかぁ~」と言って、スキップをしながら何処かへ行ってしまった。


 本当にああいう品も何もない女性はあまり好きにはなれないな。本当に大切な思いは誰にも気づかれないように心の奥の方に秘めておくべきだと思う。あんなあからさまなものはどうも好きにはなれない。

 こっそりと溜め息を吐いてから僕は仕事に戻った。




 仕事の就業時間になるとほとんどの人が飲み会に参加するようでざわついていた。

 僕はその中で黙々と帰り支度をしてから会社を後にしようとした。すると、先輩が肩に腕を回してきた。

「何だ。お前また帰んのか?」

「え、ええ。今日も用事があるので……」

「なんだ~、女か?」

「さあ、どうでしょう?」

 ニッコリ笑顔で言うと先輩はポカンと口を開けて固まった。その隙に先輩の腕から逃れ、さっさと退社した。


 けれど、自分のこの発言が次の日、面倒なことになるとは思ってもみなくて、家に帰ったらいつも通り百合との時間を楽しんでいた。




 会社に着くと何故かじろじろ見られたり、こそこそと話されたりしながら廊下を歩き、自分のデスクには何人かの人が待機していた。

 いっそのこと家に帰ってしまおうかと思ったが、それが許されるはずもなく、二人の先輩が僕の腕をがっしり掴んでデスクのところまで行くように促した。


 デスクに着くと取り敢えず座るように言われ大人しく座ると、昨日帰りに話しかけてきた先輩がニッコリと笑顔を浮かべ聞いてきた。

「何か言うことは?」

「えっ、と……おはようございます?」

「アホか! 誰が挨拶しろって言ったよ! 昨日のこと説明しろって言ってんだよ! お前の発現の所為で昨日の飲み会の話題がそれでもってかれたんだぞ!」


 昨日……。僕はこの時に何か言ったっけ? と思いながらも思い出せなかった。

だって、昨日は家に帰ると百合が「竜君、竜君……!」と言って泣き縋ってきて幸せすぎたせいでそれ以前のことなんかあまり印象になかった。


「昨日……何か、言いましたか?」

 僕がそう言うと何人かが脱力して、床にへたり込んだ。

「この天然ボケが! 昨日お前が帰るときに用事があるつった時にオレが「女か?」って聞いたら「さあ、どうでしょう?」って笑顔で答えただろううが!」

「ああ。そう言えばそうでしたね」

「そうでしたね、じゃないだろう!」

 ポカンと頭を叩かれて、痛っと言うと先輩は大きな溜め息を吐いた。


「お前は浮いた話とか全くないからそんなふうに言ったら話題にもなるに決まってるだろ」

「はあ……」

「お前は無自覚すぎるんだよ。この会社のマスコット的存在というかなんというか……」

 ああ、そう言えばそんな風に言っている人が何人かいたな……。


「兎に角、お前に女がいるとしたら驚く人間なんて数えきれないくらいいるし、卒倒した人間もいるんだから自覚しろ」

「はあ……(自覚して何になるんだろう……)」

「そんな気の抜けた返事をするなよ」

「すみません」

「まあ、それはいいとして、実際はどうなんだ?」

 どう答えたものか……。

「実際と言われましても……」

「言われましてもじゃなくて、恋人がいるのかどうかは答えられるだろ?」

「ああ、それならいません」

「そうか」

「と言うよりも作るつもりはないんで」

 僕がそう言うと全ての人の動きが止まった。でも、これを言っとかないとまた色んな人が寄ってきそうで嫌なんだよ。


「はあ? どういうことだ?」

「そのままの意味ですよ。僕は誰かと付き合う気はないんです」

 ニッコリと言うと先輩を押しのけ、女性社員たちが詰め寄って来た。この時に、先輩はぐえっと言っていたけど誰一人として気にしてはいなかった。

「どうして誰とも付き合う気がないんですか? 理由を教えてください!」

 迫力がありすぎて少し恐怖心を抱きながらも僕は正直に答えた。


「僕は一人の女性だけをずっと想い続けています。けれど、彼女は他に愛している人がいて、でも今は少し問題を抱えていて……。それでも、僕は彼女を想わずにはいられない。そして、今の関係を壊さずにいようと思ったらこの想いも内に秘めるしかないんです」

 そう、今の関係を壊してしまわないようにしないと、それこそもう側に居られなくなる。

 それだけは避けないと……。


 少し俯いて話していたから、ふっと顔を上げると周りはシンとして全体的に俯いていた。

「あの、どうかしましたか?」

 首を傾げながら聞いてみると、一番近くにいる人ががばっと顔を上げた。その人は目に涙を浮かべながら勢いよく話し始めた。

「まさかそんな辛い恋をしてるとは思いませんでした。それならそうと早く言ってくれたら協力も惜しまなかったのに!」

 勢いよくそう言われたけど、協力されても困るんだけどな……。


 どうしようかなと思っていたら、押しのけられていた先輩がこっちへ歩いてきた。

「もしかして、昨日の用事ってその人か?」

「……まあ、そう、ですけど……」

 これは答えていいものかどうか少し迷うけど、もうここまで言ってしまったら、半分どうでもよくなってきた。

「それはその人とよく会ってるのか?」

「う~ん……」

 答えていいものか本当に分からない。なんせ、一緒に住んでるなんて言ったら少し不味い気がする……。

 そんなことを考えていたら僕の携帯が鳴った。優しいメロディーでありながら、歌詞は失恋を描いたもので、百合からの着信音だ。


「すいません、ちょっと……」

 そう言ってから人気の居ない所にどうにか移動して電話に出た。

「もしもし、百合。どうしたの?」

 少し焦り気味に声を出すと、電話からクスンと泣いている声だけが響いた。

「百合? どうしたの?」

 幼い子供に言い聞かせるように優しく声を掛けると百合は今にも消えそうな声で話し始めた。

「……して、どうして、彼は、来てくれないの? ずっと、ずっと、待ってるのに……。もう、ヤだよぅ……」

 泣き崩れる百合の姿が浮かぶ。

「待ってて、百合。今日も早く帰るから」

 百合が待っているのは僕じゃないことくらい分かっている。それでもそう言うしかできなかった。


 電話の向こうで百合がハッと息を呑む音が聞こえた。

「ごめん、なさい。ごめんなさい! 竜君にまで迷惑かける気なんてなかったのに……! ごめんなさい!」

「大丈夫、大丈夫だから、自分を責めないで、百合。僕にだったらいくらでも迷惑かけてもいいから。迷惑だなんて思わないから、だから……」

 謝らないで、と消え入りそうな声で呟くけど、それは百合には届かなかった。

 百合は謝り続けていて、僕は掛ける言葉が見つからなかった。


 謝ってほしい訳じゃない。ただ、僕のためだけにその感情を動かして欲しい。

 それは我儘? そんな事ないよね? 百合が僕に頼るんならそれくらい望んでもいいよね? お願い、僕だけの百合でいてよ。

 心が溢れそうになる。


「今日も、早く帰るから、泣かないで」

 僕以外の為に泣かないで。僕だけの為に涙を流して。僕以外の為に悲しまないで。僕の為だけに悲しんで。

 本心を言わないまま言葉を紡ぐ。その度に胃がキリキリする。

「ごめんね、竜君……」

 百合はそれだけを言って電話を切った。虚しい音を立てる電話を暫く耳に当てて俯いた。


 どうしたらいい? もし、あいつが百合を迎えに来たら? もし、百合が何処かに行ってしまったら?

 嫌な考えだけが浮かぶ。

 今すぐに家に帰りたいと思ってしまう。でも、社会適応していないと、と心のどこかで思ってしまっている。

 動かない自分の体が恨めしく思う。

 本当は直ぐにでも帰って、百合の側に居たい。いっそのこと束縛して、離れていかないようにしてしまいたい。そう思っているくせに動けない自分が嫌になってくる。


 携帯を握りしめ、祈るようにつぶやく。

「お願いだから、僕の為だけに存在してよ……」

 辛すぎる。君が僕を見ていないことが辛すぎる。


 自分のデスクに戻ると、周りもある程度落ち着いていたみたいで人はまばらになっていた。

 そんな中話し掛けてきたのは先輩だった。


「さっきの電話ってお前の好きな人か?」

 ストレートに聞いてくるこの人が本当に嫌になってくる。

「ええ。少し、心に問題を抱えているから、今頼れるのは僕だけなんです」

 そう僕だけ。それだけが今の唯一の救いだ。どうか、誰もこの救いを奪わないで。

「問題って?」

 本当にこの人はズケズケとプライベートに踏み入ろうとする。

「彼女は今、恋人と少し揉めているんです。それで少し……」

「そうか……」

 何か思案するような顔でそれだけを言うと去っていった。


 僕はそれさえも気には留めず、さっさと仕事を終わらせることだけを考えて仕事に取り掛かった。

 仕事はいつも通り定時に終わった。さっさと帰り支度をすると、足早に退社した。

 息が乱れるほど走って家に帰ると、家には電気が燈っていなかった。百合はいつも電気を点けようとしない。だからいつも不安になる。


 息を整えながら階段を一段一段昇っていく。

「ただいま」

 そう言いながらドアを開けると、かすかに物音が聞こえる。

 電気を点けながらリビングに向かうと、そこには百合が座り込んで俯きながら泣いていた。

 ほっと胸を撫で下ろしながら百合に近付いた。


「ただいま」

 そっと声を掛けながら、肩に触れると百合は肩を大きく揺らした。

「……あっ、……竜、君……」

 涙で潤む瞳で見上げる百合に優しく微笑むと、百合は顔を歪めて泣き出した。

「…して、どうして、あの人は会いに来てくれないの? 会いたいよ、会いたいよ……!」

 百合は本心をぶちまけ僕にしがみ付いてきた。


 細すぎるその体が壊れないようにそっと包むように抱きしめると、百合は僕の胸に顔をうずめた。

 ねぇ、百合。その悲しみの原因はどうしてあいつなの? あいつのために感情を動かさないで。僕のためだけにその涙を流して。

 そう言ってしまいたい。けれど言えない。


 愛おしい、この上なく愛おしい百合。僕は君を愛いているんだ。気付いてとは言わない。気付かなくていいから、ずっと僕の側に居て。

 僕は君を愛している。でも、一番愛しているのは悲しんでいる時の君。どうか僕の為に悲しんでほしいと願う。




 竜胆の花言葉「正義」/「悲しんでいるときのあなたを愛する」


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