表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界幻想曲《ファンタジア》  作者: 紅(クレナイ)
第一章 『アルトレイラル(迷宮編)』
33/45

第1章ー33 「記録無き想い」

 あなたに初めて会った時のことは、よく覚えています。


 軍の制服を着て、腰には見たことのない剣を着けていましたね。ぶっきらぼうで、どこか不本意そうな目をしていた。わたしの部屋に入った途端、どこか悲しそうな顔をした。


 あなたと一緒に過ごすことになる。びっくりしたかもしれませんが、本当に何も感じなかったのです。あのときのわたしは、自分のことを本気で人形だと思っていたのですから。


 どうせわたしを見てすぐにいなくなる。思ったことはそれくらいでした。前にいた監視役もそうだったのです。わたしの正体を知って、気味悪がっていなくなる。これまで相手にしてきた七十五人の監視役は、二週間と持ちませんでした。


 本気で驚いたのですよ? あなたの口から、「興味がない」なんて言葉が出たときは。「お前が誰だろうと興味はない。勝手にやれ」思い返せば、〝腹が立つ〟という感情を知ったのは、あの時なのかもしれません。


 わたしには何の興味もない。お前は特別でも何でもない。面倒くさい……そんな心が透けて見えているようで心底腹が立ちました。しばらくわたしといなくてはいけなくなった時、「ざまあみろ」と心底思いました。ごめんなさい。


 あなたからは、色んなことを教わりましたね。


 わたしの知らない外の世界。文字でしか知らない砂の国。想像なんてできない氷の国。空飛ぶ島があるなんて、最後まで信じられませんでした。


 色んな所を回って、色んな冒険をして、この世界は宝物なんだって心から思えました。気が付いたら、あなたがいることが当たり前になっていました。


 ありがとう。たくさん、たくさん、ありがとう。

 あなたには、本当に感謝をしています。


 それから、ごめんなさい。

 色々なものを貰って、結局あなたには何一つあげられなかった。あなたの心の支えにはなってあげられなかった。


 わたしには、何があったのか知らないから。あなたの気持ちを分ってあげられなかった。


 心残りはそれだけです。

 できれば、あなたの心を開きたかった。わたしも、あなたの支えになりたかった。


 ありがとう。

 行くなと言ってくれて。


 ありがとう。

 わたしに、救う意味を教えてくれて。


 ああ。

 それから、勝負の景品を使うのを忘れていました。


 命令します。


 ()()()()()()()


 わたしが救ったこの国で、精一杯幸せに生きてください。

 わたしが、この国を救ってよかったと思えるくらいに。生きてください。


 あなたとは、お別れです。

 最後に、ごめんなさい。


 あなたとの約束を破ることになってごめんなさい。


 でも、どうしてだか思ってしまうのです。

 あなたとは、また必ずどこかで会える。

 わたしの勘です。信じてください!


 もしかしたら、この世界じゃないのかもしれない。そのときのわたしは、わたしではないのかもしれない。でも、わたしは必ず会いに行きます。叱られるのは、そのときにします。ミレーナさんには、「ごめんなさい」と伝えてください。


 だからそのときまで、




 さようなら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ