第1章ー14 「幕間:ミレーナの手紙(1)」
『やあ。手紙を出すのはしばらくぶりだね。すまない、君から手紙が来たことは知っていたんだが、生憎こちらも忙しくてね。読むのが今になってしまった。手紙の最後に、返事はいつでもいいという文言を見つけた時、少しばかりほっとしたよ。
さて、君が訊きたいことというのがやっとまとまった。それを確かめるのに今までかかったんだ。決して邪険に扱っていたのではないことは解っておいてほしい。
ここ数年の世界各地で起きる異常や変動は、やはり偶然ではないらしい。瘴気の濃度が上がっている場所もかなり多くなった。幻獣種の魔獣化も進んでいる。とある文献に載っていた過去の異変と大部分が一致している。歴史的に見ても、これから何かが起こるという可能性は捨てきれないだろう。過去に何があったかは君の方で調べてみてくれたまえ。それは君の独擅場だろう?
それから、私事にはなるが実は弟子をもう二人取ることになった。ルナ以外の弟子はもう取らないと誓ったのだが、つい口が勝手に動いたんだ。その理由はなんとなくだが解っている。あの子たちに瓜二つだったからだ。全く、この歳で情に流されるなんて思わなかった。気を抜いていると、ついついあの子たちと比べてしまう。これでは新弟子たちに失礼だ、早く直さないとな。
もう一つ。魔法大学に戻らないかという話だが、条件付きなら受けてもいい。当然だ、私は人を教えることにはあまり向いてはいない。それに、つまらん派閥争いにも巻き込まれたくはないからな。どうせ激化しているのだろう? 私がそこにいた時よりもドロドロした何かに。
ああ、そうだった。条件の話だが……。
魔法大学の《特待生枠》、いま確か三人の空きがあったよな? ミレーナ』
すみません。GW中は死んでいました。24時にも、もう一話投稿いたします。