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第1章ー1 「プロローグ」
お待たせしました。ゆっくりとですが更新を再開します。
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歩く。
幾度も止まりかける息を、血と共に抉り出し、新たな空気を押し込む。
身体を刺す痛みすらも、歩を進める活力へと換える。
歩く、歩く。
足を引きずり、飛びかける意識をこの場に縫い付け。背中の彼女だけは、決して落とさぬように。
歩く、歩く、歩く。
残り少ない命を燃やし、約束を果たすために。
ガクリと、膝が折れる。倒れぬように、抜いたカタナを突き立てる。
目指す場所についた。もう進まなくていい。
彼女をカタナにもたれかけさせ、自身も背中合わせで崩れ落ちる。
もう、指の一本も動かす気力はない。
散々な人生を思い返し、苦しそうに苦笑する。
薄れゆく意識の中、あのとき誓った言葉が蘇る。
たとえ、この身が朽ちようとも。
いつか別の場所、別の世界で。