表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして、また笑ってく  作者: ソラ
5/13

雨の日の匂いは嫌いではない④

私は男を知らない。

だからこの状況がどれだけヤバいのか私はわからない。

このパジャマを着て良いものなのか一瞬迷った。

でもいくら男でも知らない女に欲情などしないと判断した。


「あの…今更なんだけどさ…俺やっぱり車で寝るよ」

彼は唐突に言った。

は?車あるの?それ乗って会社行けや!!!

「へ?車あるんですか?」

何も言わずにニヤついてる。馬鹿なの?

腹立つんですけど。

ああ、一応気にしてんのか。

なんだ、ちゃんと男じゃない。


「いや、いいですよ。何にもしなきゃ。

ここにいて下さい。」

嬉しそうな、照れくさそうな、それを隠してる彼が少し可愛く思った。


「あの、年、いくつですか?」

コンビニご飯を食べている最中に彼が言う。

「23ですね」

「あ、同じや!」

同じ「や」?関西の方の生まれなのかな?


「あなたも23なんですね。」

「そう!だから、敬語やめない?」

子供が「友達になろう!」って言う並みのアホらしい会話。敬語なんて、仲良くなれば自然に撮れるものなのに、それを敢えて口にする。

だめだ、本当に可愛い。


「モモって呼んでいい?」

「なんで…」知ってるの?と言いかけて、郵便の宛名を見たからだとわかった。あとは、庵野さんが呼んでたから。


「俺のことは好きに呼んで!」

好きに…好きにって…

「羽柴さん、一晩ですが、よろしくお願いします。」

「え?」

「え?」

お互いほぼ反射みたいに「え?」と言い合った。


「[げん]とか[ゲン]とか[GEN]とか…[玄]とか色々あるでしょ。なんで羽柴なの…」

「ぷっ、あっはははは」

久しぶりにこんなに思い切り笑った。彼があまりに悲しい顔をするから。

彼があんまり可愛いことを言うから。

「それ選択肢ないじゃん!」私が言うと、「あははバレた??」って叱られた子供のように言った。


彼はニキビみたいだ。

突然出てきて突然消えていく。

少し痛いけど、大人になった証のようなもの。


そのあとは二人で散々飲んだ。二人ともお酒には強いらしいけどほんのり酔って。

「玄、聞きなっされ!私、いびきとかおならとかゲップとか寝言とかうるさいからね!」

「了解しまっしたお姉様」そう言ってにっこり微笑んで敬礼する彼の顔だけは忘れなかった。



朝起きたら、ベットにいた。多分玄が運んだ。

玄はソファーで寝ていた。

飲んだあとのわちゃわちゃが綺麗さっぱり片付けられていて、私も玄もちゃんと服を着ていて、

健全な夜を過ごせたのだと安堵した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ