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昨日のこと

それは昨日の事だった。

 高校の入学式の帰り道。

 一人の見慣れない制服のきょろきょろと辺りを見回す女の子を見かけた。


 若葉色のスカートに同色の上着に何故か緑のベレー帽をかぶっている。

 そこで気になって声をかけたのだ。


 「そこの人どうかしたの?」


 そう声をかけると、その人は俺の方を見た。

 大きくて活発な印象を受ける両目綺麗に整った顔立ち、きめ細やかな肌にサラサラの髪。


 太陽に向かってさくヒマワリみたいな人だな。

 第一印象はそれだった。

 その女の子は俺を見つめて手に持ったスマホを見せた。


 「ここに行きたいの?」


 「……」


 『そうなの! 知ってる?』


 あれ? 声は聞こえるけど彼女の口が動いていない気が……まあ気のせいだな、腹話術みたいなことして俺をからかっているのかもしれない。

 それにしてもかわい子だなそんなことを思いつつ。


 「ここはすぐ近くだよ案内しようか?」


 「……」


 『ホント! お願いできる?』


 そう言って? ニッパと顔をほころばせる彼女。

 外見の印象と同じく活発な性格らしい。


 「ここから右に曲がって真っ直ぐ行けばすぐだよ」


 「……」


 『いい匂いのする素敵な人だな。あーあー私の声が聞こえたらいいのに……』


 私の声が聞こえたら? よくわからない事を言ってるけど。

 そのまま彼女を誘導していくと。


 「蟻柄さん!」


 声の方向を向いた。

 そこには上下黒のスーツに黒のサングラスの一人の女性いた。


 「……」


 『やっと見つけた狩虫(かりむし)さんだ!』


 「やっとじゃありませんよ! 蟻柄さん! 身を離したら勝手に行っちゃって! 貴方に何かったら私の責任なんですよ!」


 「……」


 『えへへへごめんなさい!』 


 「えへへじゃありませんよ全くもう! 君もありがとね! 行きますよ蟻柄さん」


 そういって狩虫さんは蟻柄さんの腕を引いた。


 「……」


 『じゃあね! いい匂いの人機会があったら今度デートしようね!』


 「蟻柄さん忘れたのですか? 貴方達の声は――」


 「喜んでお受けするよ」


 「ちょっと待って貴方聞こえている(、、、、、、)の?」


 狩虫さんが振り返り俺に問いただす。

 何んだいったい聞こえているって?

 何かおかし所があったっけ?


 「何がですか?」


 「彼女の声よ!」


 蟻柄さんを指さす。

 

 「……」


 『本当に聞こえているの君私の声が?』


 「普通に聞こえているけど……それが一体どうしたの?」


 「ちょっと君来てくれる」


 そして狩虫さんはどこかに電話をかけ始めた。

 次に現れた車に目隠しをされて乗せられ揺られる事暫く。

 車から降ろされて歩かされた。


 目隠しをとられ目の前の椅子に座るように狩虫さんに言わる。

 なんかドラマの取り調べ室みたいな感じな部屋だった。

 何故か蟻柄さんも隣でニコニコとパイプ椅子に座っている。


 それから俺は蟻柄さんと会話をしつつ俺の簡単な自己紹介を聞き狩虫さんは本題を切り出した。


 「どうやら君、蟲使いの力を持っているようね」


 蟲使い? 爺ちゃんに昔聞いたことがあるような……。


 「簡単に言えば彼女たちの声を聞こえる体質てことよ! 詳しい説明は彼女達がそろってからするけど。


 君悪いけど明日から彼女たちの学校に通ってもらうわよ!」


 「なんでですか?」


 「君が適任だからよ! 上から若い蟲使いの男の子用意しろってせっつかれていたのよ!」

 

 「……」


 『本当なの狩野さん! このいい匂いの人と一緒の学校に通えるのやった!』


 「君だってこんな可愛い子と一緒の学校に通えるって役得でしょ?」


 まあ確かにそうだ。

 少し考える姿勢を見せた俺に、

 それを了承の意と捉えた狩野さんは話を続ける。


 「いいってことで、今日中に学園の寮に入ってもらうけどいいわね?」


 「そんな急にですか?」


 「そうよ! 若い君みたいな子がいないと辞めちゃうかもしれない子がいるよ! 


 彼女たちは我が国の宝になりえる人材だからね! 詳しい事は明日担任の花蜂先生に教えてもらいなさい」

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