手札
「……」
『じゃあ皆配るね! 当然蟲使君もやるね』
「まあ一応」
「……」
『じゃあもし蟲使君が勝ったら誰か一人選んでキスしてもらいましょ!』
「……」
『先生の提案いいね! 僕も賛成だよ!』
「……」
『この私が勝つに決まっておりますけど、下民が私に勝ったらいいですわよ!』
「……」
『うふふふ、面白くなってきたね! 蟲使君の唇を奪うのは私なんだから負けないよ皆!』
「……」
『分かりましたから早く配ってくれませんアントさん』
そういう刺蜂さんはそわそわしていち早く正座した。
それに触発されたのか俺も含め全員星座の姿勢を取る。
俺は胡坐でもよかったがファーストと名のつく物を失うかもしれないのだ相応しい姿勢というモノがあるだろう。
蟻柄さんが『じゃあ配るよ!』と俺たちに5枚の手札を配るカードの交換は2回まで、と事に落ち着き手札を確認。
あれ? 勝ったんじゃね?
「……」
『蟲使君いい手札が来たようね! でもそれを超えて先生が唇ゲットするから待っててね♪ 4枚チェンジ!』
花蜂先生は豪快に4枚チェンジ鬼気迫る想いが伝わってきそうだ。
一体どれだけ俺とキスしたんだよ。
花蜂先生は美人だし俺としては役得といえるがここまで積極的だと少し引いてしまう。
「……」
『そうかじゃあ僕は2枚交換だよ!』
そういって2枚チェンジ。
「……」
『私は3枚ですわ!』
刺蜂さんは3枚。
「……」
『じゃあ私は一枚だよ!』
蟻柄さんは1枚のようだ。
「俺は交換無しで!」
俺は手札を見てそう言った。
俺の手札はかなりいい役が揃ている。
なんと♦の6、☘の7、♥8、♠の9、♦の10のストレート。
勝ったも同然である。
となると誰とキスをするのかだが、勝ってもいないのにそんなことを考えても仕方はあるまい。
取らぬ狸のなんとやらてやつだ。
「……」
『じゃあ私は2チェンジね! 皆はどうする?』
さらに2枚交換する花蜂先生。
手札を見てニンマリと口元を緩ませる。
「……」
『私はいいやポーカーってなんか揃えばいいんでしょ?』
もしかして蟻柄さんポーカーのルールしらないのか?
「……」
『僕もこれでいいよ! むふふふ! 勝ったね!』
「……」
『私もですわ高貴なる私にぴったりな役が揃いましたわ!』
「……」
『甘いわね! 私だって凄い役が揃ったんだから!』
チェンジした手札を見て強気な花蜂先生。
「俺だって中々ですよ!」
なんせストレートだ。
強気で言っても過言ではあるまい。
「……」
『じゃあせーので全員手札公開よ! せーの!』
そうして花蜂先生の掛け声で皆で手札を公開。
「……」
『蟲使君以外皆私と同じブタさんだね!』




