表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/97

74 ミッシングリンク

 密室殺人とも言えないような密室殺人の謎を解き、祐介は満足げに珈琲を一口飲んだ。しかし、谷口春夜夫婦が犯人ではないとしたら、この事件は一向に解けてないのと同じだった。犯人が誰なのか。問題はそこである。


「君は、密室殺人の謎を、一瞬で解いてしまったよ。さすがだ」

 黒石は、煎茶をすするようにして珈琲を飲んでいる。

「しかし、犯人は誰だと思う?」

「僕が考えているのは月島嶺二という男です」

「月島? そんな人物は捜査線上に浮上しなかったが……」

 と黒石は、訝しげに呟く。

「そうでしょう。それでは、白石詩織という名前はどうです?」

 黒石は頭を掻きながら、資料をめくる。しばらくして、

「白石詩織だな。ああ、あったぞ。谷口薫刑事の机の中にこの女性の写真があったそうだ。ちなみに俺はこの写真のことはあまり覚えていない。しばらく、捜査していたら、東京に住む白石詩織という女性であったことがわかったそうだ」

 祐介は、だんだんと意味が分かってきた気がした。複雑な気持ちを抑えて、黙って聞いている。黒石はなおも続ける。

「しかし、なぜこの写真が机の中にあったのか分からない。白石詩織も身に覚えがなかったそうだ。ただ、この写真を見る限り、白石が山形の湯殿山を旅行している時の写真と見て、間違いないそうだ。そこで偶然、谷口と出会ったのか……」

 黒石はここで一言切ると、

「いずれにしても、この女にはアリバイがあった。東京の大学に行っていたんだ。山形の谷口家住宅なんかに来る時間はなかった」

 と告げた。


 しばらくして、黒石は黙っている祐介に尋ねた。

「どうした?」

 祐介は、物憂げに前髪にふれると、悲しげに呟いた。

「いくつかの事実が、つながってきています。そして、さまざまな可能性が見えてきた……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ