厭恋
それに気が付いてからは、私はあなたの顔がまともに見れない。
何を考えているのか、どう思われるのか、嫌われるんじゃないか。
気になって、心配で、不安で。
だからあなたの顔を見ることができない。
怖い。
気づく前は良かった。
私とあなたは、友達で。
それ以上でもそれ以下でもなかった。
だから毎日会って、話をして。それが楽しかった。でもそれがいけなかった。
何がきっかけなのかはもうわからない。ただ、気付いてしまっただけだ。
好かれたい、嫌われたくない、私だけを見ていて欲しい。
気が付いたらそんなことばかりを考えていた。
こんな、自分ばかりの、キモチ。友情でもなんでもない。
それはただの、恋だ。
醜い、自分勝手な、ただの、独占欲だ。
だから見ないで。私を見ないで。見れば、知れば、きっとあなたは私を嫌うから。厭って、避けて、逃げていくから。
そんなの、絶対に、耐えられない。
貴方を愛するがゆえに、あなたに会いたくない。
こんな矛盾を抱えて、私は一歩も動けない。
だからどうか、こんな私なんて、放っておいて。
それだけが、私の望むこと。