え?転校生?
どうも、この小説を手に取って頂き誠にありがとうございます。
少しずついいものにしていこうと思うのでよろしくです!
あの日の出来事以来、彼は学校に行くのを辞めた。まだ中学2年ということもあり、退学とかのシステムはない…だが、教師の1人も彼の味方をしようという気にはなれないらしい…
「あのモブ男また今日もサボりかよw」
「そりゃぁ、あんな事”しておいて”来れるわけないだろ?w」
と、ありもしない噂話を流しまくっている奴らがまた、彼の嘘八百をならべているのである。それを、誰も不思議と思わない…いや、思おうとしないのだ。
(すまん、友人として助けてやりたいが…怖くて動けねぇよ…)
彼の一番信頼できる友人ですらこの有り様なのだから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
それから…
〜〜〜〜〜
あれから、2ヶ月が経ち噂も消えかかっていたある日のことである。もう、いつもの事なので誰も気にも留めなかったこと…彼は今日もこない…はずだった。
「ねぇねぇ!聞いた!?それか、見た!?」
一人の女子が教室に駆け込んで来たと思ったらいきなり騒ぎ出した。少し落ち着かせるためにクラスメイト達がなだめる。
「落ち着いたか?」
「うん!」
落ち着いたのか?ほとんに…とか、思いつつ先を促すことに
「んで?なにがあったの?」
「それがね?学校にめちゃくちゃイケメンな奴が居たの!周りの事を気にもとめずに職員室に入っていったんだよ!」
どうやら、イケメン転校生らしい…
「そーなんだ?」
「…でもねぇ、あのイケメン…誰かに似てた気がしたんだけどなぁ」
「あー、俳優とか芸能人に似てた感じ?」
と、話しているとクラスが沸き立つ
「そりゃ、イケメンだわな!w」
「どんな奴か知らねぇけど、お近づきにはなりたいなッ!w」
などと、男からは敵意と興味の感想が
「まぢ!?イケメン!?」
「これは、早めにアプローチかけといたほうがいいかも!」
女子は自分のモノにする気満々って感じである。
「うーん、そんな感じじゃなかったけどなぁ…ま、いっかー」
と、朝からワイワイ騒いでいると教室の後ろの扉が開いた
『……』
クラスのさっきまでの賑やかさが嘘のように静まり返る。なぜなら…
「…」
噂のイケメンが何の気なしに入ってきたのだ。そして、周りを一瞥すると一つの机に向かって歩き出した。
『…?』
クラス内が疑問符でいっぱいになっている。と、イケメンは席についた。そして、周りが唖然とする。…そこの席は、
「ねぇ?あなた?」
一人の女子が声をかけた。誰かと言うなら、彼をふった挙句イジメの対象にした女子だ。
「…なに?」
だれ?こいつ。みたいな顔をしながら聞いてきたので一瞬押し黙る。だが、言わなければならない。
「そこの席、ほかの人の何だけど?」
そう、その席は彼女達が虐めた”元”クラスメイトの席だ。…落書きなどが沢山されており、かなりボロボロの状態である。。。
「いや、これは俺の席で間違いない。」
「は?何言ってんの?あなた、転校生でしょ?」
理解に追い付かない。といった感じで見つめている女の子…すると、イケメンがとんでもない一言を言い出し、クラスが戦慄する。
「この席が2ヶ月前から学校を休んでいるモブ男の席じゃないなら、俺の席じゃないな。」
『……』
クラスが凍ったように固まる。と、さらに追い討ちをかける。
「あと、俺は転校生じゃない。」
『…はぇ?』
なんと、マヌケた声を出すんだ。と、そこに一人の男子が理解に追いつき有り得ないと言った感じの顔をするが一応確認する。
「…お前、もしかしてモブ男か?」
「おぅ、俺がお前らに”イジメられて”学校にこなくなったモブ男だ。」
………クラスの面々が冷や汗を流し出す。すると、イケメン(モブ男)は待ってたと言わんばかりに口を開く。
「てめぇらに、復讐するために今1度戻ってきた!まぁ、またよろしくな。仲良くする気は無いが」
『(…やばい、絶対やばい…俺ら(私達)殺られる。)』
と、そこに始業のチャイムが鳴り響く。先生も同じタイミングで入ってきた。
「うーっす、お前らぁ席つけよー今日は転校生が来たから紹介の時間もある。推してんだからさっさとしろー」
え?転校生!?みたいな感じで皆一様にイケメンを見る。その視線を不快に思ったイケメンが口を開く。
「だから、俺じゃねぇよ。さっさと、席につけや。」
不機嫌オーラMAXといった感じで顔を顰めている。みな、急いで席につく。
「んじゃ、まずは転校生の紹介だ。入ってくれー」
入ってきた子を見てまたクラスメイトが戦慄する。次は、いい意味で…
「はじめまして。今日からこのクラスでお世話になります。八木 光希です。どうぞ、宜しくお願いします。」
はっきり言うと美女である。男子からは好奇の目線が、女子からも同じく好奇の目線とがっかりしたような目線がとんでいる。
「えーってわけで、八木さんだ。みんな仲良くするよーに、八木さん空いてる席に座ってくれって言っても一つしかないが」
と、笑いながら後ろを指さす先生。
「あー、それと2ヶ月も経ったが今日から柳江も復帰した。皆、仲良くするよーに」
全員沈黙する。そして、八木 光希がモブ男こと柳江の隣の席に着く。
「きょー君の隣だった!やったー」
キャッキャと喜んでいる八木さんを見て柳江 京介は笑いかける。
「そりゃ、良かったなー」
『……』
クラスは大変なことになりそうだ。と、先生が天を仰ぐ。
[1時間目:現文(国語)]
「きょー君ッ!きょー君ッ!」
「なんだ?」
「教科書忘れちゃったから、”一緒に”見せて?」
クラスの目が釘付けだ。血涙している奴もいる。
「ほれ、後で返せよ…んじゃ、おやすみ」
「…むぅ。」
モブ男は寝る。それを見てムクれる八木さん。それを、見ているクラスメイト達…
「あー、授業に集中してほしいんですが?」
先生が泣きそうな顔をしながら訴えている。が、誰も気に止めない。そして、一時間目はこんな感じで終わりを迎えてしまった。
「くそ、モブ男のくせにあんな可愛い子連れやがって…」
などと、馬鹿なことを考えている男子は少なからずリアルにも存在するであろう。これを、嫉妬と言うのだろう。だが、勘違いだ…なぜ?そんなの決まっている。この小説のタイトル通りだからだ。モブ男に彼女はいない。それて、八木さんにも彼氏はいない。そして、一番の勘違いは”モブ男が八木さんを連れている”のではなく、”八木さんがモブ男に着いてきてる”のだ。
――そろそろ、休憩も終わる。「さぁ、次の授業を始めよう」――
読んでいただきありがとうございます。次は、能無しと言うけれど。を投稿する予定ですのでそっちの方も是非是非です。では、次のお話で会いましょう!