運命の日
「はっ!」
俺は迫り来る刀をよけながら刀を振るう。
「はっ!」
「いきます!桜花一刀流【刺電】!」
・桜花一刀流【刺電】 雷を纏った突きで突いた先に雷を飛ばす技。
「くっ!御影流体術【影鉄】」
手を前に出し氣を集めて鉄のように手を固くする。
影鉄と紫電がぶつかると思われた次の瞬間
「ここです!桜花一刀流【朧桜】」
突きだした手に当たるはずだった紫電は朧のように消え、俺の腹に消えたはずの刀がめり込んでいた。そのまま俺は道場の端まで飛ばされ負けた。
「「ありがとうございました。」」
お互いに礼をして座る。
俺の名前は御影悠。御影流武術の継承者である。今俺と立ち会い練習を行ったのは桜花結衣。俺の同級生で桜花一刀流の継承者候補の一人だ。
「また悠の負けね。いつになったら勝てるのかな?(笑)」
「咲夜ちゃん!今日もたまたま私が勝っただけだよ!」
「結衣のほろうが痛い( TДT)そうたまたま20連敗してるだけたよね( TДT)」
「あはは(笑)」
この馬鹿にしたように笑っているのは東雲 咲夜、東雲流武術の継承者で一応俺の彼女でもある。今は少し別れようかと考えてるけど…
「咲夜ちゃん!悠君!もう!怒るよ!」
「「「お前達!静にしろ‼」」」
「「「あっ!はい!」」」
今怒ったのは俺達の師匠達で有り親でもある。御影 悠仁、東雲 剱夜、桜花 響亮だ。
「お前達今は大切な修行中と言うことをもっと自覚しなさい!」
「はい」
俺達が怒られていると道場の扉が開き人が入ってくる。
「すみません。遅れました」
「おぉやっと来たか。それじゃあもう一度組み手から始める。響夜は準備はできているか?」
「はい学園から走って帰ってきたので身体は温まっています。」
「よし、それでは響夜と悠、結衣と咲夜の組に別れて組み手を始めよ!」
「「はい!」」
そしてまた組み手を始めた。
◆御影流、東雲流、桜花一刀流この3つの流派はこの世界にある無数の流派の中でも上位に位置する流派である。歴史も古く、千年以上昔に合った1つの流派の継承者から教わった3人の弟子が、それぞれに起こした流派である。元になった流派はもう存在せずに技だけが3つの流派の中に生きている。
二時間ほど組み手をしたあと休憩を挟み模擬戦を行った。
この3つの流派に基礎錬、体力作りや筋トレ等のメニューは無く組み手と模擬戦のみが修行のメニューになっている。技は師が使った技を見て覚えるか、技の書かれた巻物を読んで覚えるしかない。
模擬戦は俺と咲夜、結衣と響夜で行った。俺は案の定咲夜に負け、結衣と響夜は響夜が勝ちこの日の修行を終えた。
それから数日が経ち俺の連敗が30を超えそうなとき
「悠この後少し残りなさい」
と3人の師匠から声がかけられ修行が終わり他の皆が帰った後3人の師匠に話しかけられた。
「悠お前ここ最近手加減しているな」
「…えっ」
「誤魔化さなくてもいいよ。悠君」
俺が師匠の一人で俺の親父に問い詰められびっくりしていると、結衣の親父さんに言われた。
「ふん!儂等も舐められたものじゃ!あれぐらいの演技で騙されると思われるとは…」
止めに咲夜の親父さんにに言われる。
「…いつ頃からバレてましたか?」
「そんなの最初からに決まっとるだろ。昔は負けたら泣いてたお前が今は負けても笑ってるんだからな」
そんなに分かりやすかったかな?後泣いてたのは小学校迄だから…
「そうそう、悠君は昔から泣き虫でしたからね(笑)」
結衣のおじちゃんそんな親戚の伯父さんみたいに言わないでくれ。似たようなものだけど…
「だが、それが今や儂の娘の彼氏でもしかしたら儂らの悲願を達成するものかと思うと悔しいやら、憎いやら…」
咲夜の親父さんはまったく嬉しそうではなくまさしく親の仇を見るような目で俺を睨み付けてくる。
「話しがあまり見えないんだけど、取り敢えず悲願って何?」
俺は解らなかった事を質問してみた。他の部分はわからなくわ無いからね。
「そうか悠達にはまだ話していなかったな。私達三流派の悲願について」
そして親父の口から聞かされたのは、3つの流派とその元になった流派の歴史だった。
話しを簡単にすると3つの流派の元になった流派の継承者は自分の流派を残そうとして3人の弟子をとって教えていたのだが、あまりにもその流派の技が難しすぎ一人一人が元になった流派の3つの秘技の内1つずつしか覚えれなかったため、それぞれに新しい流派を作らせいつか3つの秘技全てを使えるものを育て流派を再興させてくれと残したそうだ。その為3つ流派は常に交流を続けてきたみたいだ
「それで儂らは話し合い、お主に我等三流派の秘技を教えることに決まったのじゃ」
「悠君にはこれから他の者との修行はせずに秘技の習得のみしてもらうことにしました。そして道場の出入りの禁止、秘技の情報を他のものえ教えることを禁止します。これは未熟なものが秘技を使おうとすれば大変危険だからです」
「俺に拒否権は無いの!」
「「「無い‼」」」
3人揃って言わなくても…
「どちらにしろ、継承者はいつか秘技を習得しなければならないのだから、少し早まったぐらいに思っておけ」
「少し早まったって…本来1つのはずが3つに増えてるじゃん」
「ふん!ガキが細かいこと気にするな、それだけ期待されてると思え」
「まぁ取り敢えず分かったけど、道場に入れないならどこで修行すればいいんだ?」
「修行場所はこの道場の裏にある山の中腹にある洞窟で行って下さい。洞窟の中は広い空間になっていて、代々そこで秘技を習得するための修行を行っているので」
ふーんそんなとこが有ったのか、昔はあの山でも遊んでたけどあまり奥まで行ったこと無かったから知らなかったな。
それから俺は一人秘技の習得に励むことになったのだが、俺は秘技の事を咲夜達に隠さなかった。まぁ隠したって直ぐにバレそうだったからだが…一応秘技の習得をすることになったと言っただけで、技の詳細を喋ったり技の事が書かれた巻物を見せたりはしていない。後ついでに手加減してたことも伝えたが、こちらは向こうも何となく分かってたみたいでやっぱりかぁ~見たいな反応だった。
それから数ヵ月がたった頃には俺は秘技の習得に成功したがそれを誰かには言わなかった。秘技を習得して始めて父さん達の悲願がどれだけ難しいかが分かったのだ。そして俺自身がそれを目指したくなった。そのためにまずは習得した秘技を使いこなし更に3つの秘技を合わせる事を目標にした。
それとは別に最近気になっていることがある。それは登下校の時におこる不可解な現象だ。
初めは登校中に上から植木鉢が落ちてきて頭に当たりそうになったのだが、咲夜が上手く植木鉢をキャッチしてくれた。次は下校中に公園の近くを歩いていたら公園で遊んでいた子供の打ったボールが当たりそうになったり、その後もマンホールの蓋が開いていて落ちそうになったり、動物園から逃げたライオンに襲われたりと運が悪いじゃあ片付かないほどいろいろな事が起きた。
そんな波乱な日々を過ごし、ついには隕石まで降ってくるようになったある日。ついにその日が来た。
咲夜と二人で帰っていると…
一匹の白い子犬が道路に飛び出してきた。そこにもうスピード突っ込んで来る車。
「きゃっ!危ない‼」
咲夜の声より速く俺は動いていた!すぐさま車と子犬の間に入り、東雲流武神技『鎧守』を使った。これは闘氣を圧縮して鎧のようにして身を守る技だ。これを使えば仔犬を傷つける事無く助けることが出来る……はずだった。
俺は『鎧守』を使い、後は車が当たるのを待つだけだった。だが車が当たる瞬間なぜか『鎧守』が消えた。
本来消えるはずの無い技が消え、俺は慌ててながらも再度発動させようとするが時すでに遅く俺は敢えなく車に轢かれそのまま死んでしまった。
「………ん?」
俺が目を覚ますとそこは白い床がどこまでも続く空間だった。俺は車に轢かれ死んだような気がするが……と考えていると
「やっと目が覚めたわね。はぁー貴方を殺すのに凄い時間がかかったのよ。後はさっさといくわよ。まぁでも取り敢えず自己紹介ね」
不意に声が聞こえてきた。内容は物凄く不穏なものだったが、声の方に向くとそこには女神がいた。女神とわかったのは、背中に羽が有るとか物凄い美女とかそういうのではなく、本能的に彼女は女神なのだと自覚させられたのだ。まぁ確かに羽もあり物凄い美女なのだが…俺がそんな事を考えているとー
「私の名前はアルトリシア・リア・イクスウェンよ。さっそくだけど貴方転生しない?」