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どうしてこうなった

「ご無事ですか!中原様!」

「えっあっ、うん」

王子は肩をがくがくと揺さぶられながらなんとか18禁本を背中に隠そうとしている。やめてやれよ。年頃の男の子には秘密ごとも多いんだ。

しかしあまりにも揺れが強すぎたのか王子の後手からバサリと18禁本が落ちる。


「この庶民に一体何をされたのですか中はっ……これは……?……っっっ!!」

「ちっちが!俺のじゃ!」


うわーわーわーわー。えっぐ。なんだこの地獄絵図。ここはお金待ち高校。蝶よ花よと育てられたおぼっちゃまお嬢ちゃまだらけ。無論、庶民の下世話なことにはまるっきり縁がない。俺はそれが勿体無くてしょうがねぇと思うんだが、まぁ生き方は人それぞれだよな。巻き込まれちゃタマンねぇ。さっさとオサラバするか。


ふるふると震える夜百舌ちゃん。否定しようとするものの声が裏返ってる王子様(笑)。俺はそろりそろりと屋上の出口へ向かう。後ろから言い争う声が聞こえてくる。


「さっ、最低です!!なんですかこれ!ははははは、は、はしたない!」

「ううううるさい!聞け!俺のじゃないと言ってるだろう!生徒会長のだ!」

「なぜ生徒会長様のえ、え!えっちな本を持ってるのですか!!」

「パシられたんだよ察しろよ!!」

「いやー!!いやーーー!!中原様も狼なのですね!所詮男は狼なのですね!女性の方々を従えているのもそうゆう意味で!!」

「ちっ、違う!!あんな人から理性を奪う浅ましき行為!!俺がするわけないだろう!!」

「バカヤロォおおおお!!!」

「ぐべぁ!!」

「いだぁ!?」



二人の喧嘩に突然の乱入者。空気が固まる。俺の拳は王子様の頬を的確に当て、巻き込むように夜百舌ちゃんも倒す。二人とも完全に混乱してますとばかりに硬直している。そりゃそうだ。しかしだ。しかしだよ。


「貴様…なんといった…」

「は?」

「貴様……セックスのことを何といったぁぁあああ!!!」

「大声で言わないでください!!」

「うるせぇ!カマトトぶるんじゃねぇ!お前だよお前!中山ぁ!」

「中原です」

「うるせぇ中山でも中田でも変わりゃしねぇ!セックスのことを言うに事欠いて『人から理性を奪う浅ましき行為』だぁ??てめぇの母ちゃんと父ちゃんもセックスしててめぇが生まれてるくせになぁに偉そうなこと言ってんだてめー」

「な、なななな……!!」


あまりにもあけすけな俺のセリフに二人して顔を真っ赤にして固まる。が、セックスって単語程度で動揺してんじゃねぇ!中学生か!


「いいじゃねぇか、18禁本もってたってよぉ。いいじゃねぇか、うっかり女の子のおっぱいばっか見ちまってよぉ。男ってのはそういう生き物なんだよ。よく言うだろ。上半身と下半身が別の生き物だって。なぁ、夜百舌ちゃんよぉ。許してやってくれよ。こいつの股間にキノコ生えてる以上18禁本は必要不可欠なんだろ」

「だから俺のじゃ「信用なりません!男とは下劣な生き物。人の皮を被った狼なのです!」

「おうよ。男は狼。そらぁ否定しねぇさ。だけどなぁ男だから、変態だから。一概にんな事言ってりゃお前ダメだろ。男が変態、狼。もうこれ世の中の摂理になっちゃってんのよ。仕方ない事なのよ。空は青いぐらい仕方ない事なのよ。お前これ否定して一生処女でいる気か?修道女にでもなるつもりか?」

「なっ!!」

「見た所お前は心が狭いんだ。もっと柔軟に行け。いつか抱えきれねぇぐらいの事が来た時壊れちまうぞ」


まぁ夜百舌ちゃんが処女だろうとビッチだろうとどうだっていい。問題はこっちだ。


俺は王子の前に向き直る。尻餅をついたまま唖然と俺を見上げる。


「俺はなぁ、セックスバカにする奴が大っ嫌いなんだ。セックスってのは「生きる行為」。愛し合い求め合い子を作る行為だ。その行為のどこが下劣で卑しく最低な行為だ!!」

「いや、そこまでは言ってません」


夜百舌ちゃんが半目で突っ込むがスルー。


「子孫を残し、人として求め合う先祖代々より伝わる三大欲求のうちの一つだ。俺はな、可愛い女の子が好きだ!ナース、浴衣、ポリスなんか着てたらなお良い」

「あなたレズビアンですか?」


あ、俺今美少女だった。




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