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王子も男子高校生

「急に呼び出しちゃって…ごめんね」

「ううん、かまわないさ。それで……何か用かな」


ここは学園の屋上。何度かドラマの撮影でも使われたことのある情緒あふれる風景。周囲には学園の名を冠するバラの花が芳しい香りを振りまいて咲き誇っている。


「渡したいものがあって……人前じゃ渡せないから……」


向かい合う美少年と美少女。ブワッと風が吹いてバラの花が舞う。

まさに絵画にふさわしき二人だった。美少女がスッと差し出すものには……



きわどい水着でM字開脚で挑発的に誘っているグラマラスな女性。チープな文字で『淫乱人妻はこうされるのがお・好・き?』と煽り文が書かれている。



「……!?!?!?!?!?!?」

「お前落としてったぞ」


少年の声にならぬ声と少女の冷淡な声。あまりに今のシチュエーションに不釣り合いな『18禁本』であった。






「ななななななおまおまおま、あっえっ、なっなんで、ぬぐぉあぁぁぁああ!?!?」


美少年改め中原涼介は18禁本を胸に掻き抱き顔を真っ赤にして後ずさる。


「お前気をつけろよ。あんなとこに落としてファンの子に見られてみろ。笑い草にもなりゃしねぇ。私で良かったな」


口をパクパクとする様は王子様のイメージ像からはかけ離れたものだが俺は安堵していた。うん、こいつも男子高校生なんだな。なんかおっちゃん安心しちゃったよ。


「ふ、ふふっ。私で良かったな、とは私は俺のことが好きじゃないってことかい?言ってくれるね」

「お前よくこの状況でそんなセリフが出てくるな」

「うぐぐぐ」

「渡すもんも渡したし。俺はこれで……」

とさっさと去ろうとしたその瞬間。


「中原様っ!!」

と王子様の声にならぬ声を聞きつけたのか屋上にショートカットの少女が飛び込んでくる。

「貴様っ!中原様に何をした!」

「美耶……」

「あ?お前さんダレよ」

「なっ!私を知らぬと申すか!私は中原家に代々使える夜百舌家の人間、夜百舌美耶(よもす みや)である!」


ファンの子の一人ってわけじゃないらしい。というか、なんでこうも揃って仰々しい話し方する奴ばっかなのかね。ここは現代だよな?


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