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吉野に相談

「あの、吉野さん」

「ん?どうしたの橘君。」

「今度の、『マニアックすぎて』のモノマネのネタなんですが…」

「あぁ、それ『何やったらいいか一つも思い浮かんでません』って顔だね。」

「はい。」

「一つくらいあるでしょ?」

「いや、もう頭真っ白で…」

「諦めが早いなぁ。番組は見たことあるよね?」

「あります。」

「じゃあ分かるでしょ!」

「えっと…」


なんだ?吉野先輩は相談に応じてくれないのか?

健治は期待を裏切られたような気分になる。そのときだ。


「…って言っても新人だし難しいよね。実はこの企画は、僕たちモ部はまだ一人も合格したことがないオーディションなんだ。」

「え、そうなんですか?」


健治の肩の荷が少しばかり軽くなった。


「僕も毎回、番組を見ていろいろ研究してるんだけど、よく分からない部分が多くてさ。」

「はぁ。」

「傾向としては、そこまで似ていなくてもオンエアされてるかな。」

「似てなくても…」

「『面白ければ』オッケーっていうスタンス。『マニアック』だからこそ、皆が知らない面白さをプレゼンしてるというか。」

「なるほど。」

「『○○のモノマネ』っていう、タイトルだけで笑わせてる芸人さんも多い」

「え、あれって皆芸人さんなんですか?素人じゃなくて。」

「芸人も、一般人もいるけど、ほとんどが芸人さんだね。僕らは、プロの芸人さんと一緒にオーディションを受けるんだ。」

「プロと闘うってことですか?」

「まあね。」


また一気に自信を失いかける健治。

ここの、プロみたいな部員相手にも敵いそうにないのに、本物のプロ相手に俺が何できるっていうんだ。


「橘君、趣味ってある?」

「趣味ですか…漫画読むことぐらいしか。」

「漫画か。ネタとしてはそれもいいんじゃない?」

「漫画ですか!?」

「うん。キミが何に対してマニアックなのかを尋ねてるんだよ、僕は。」

「いや、マニアックってほどでもないです。」

「ゲームはする?」

「ゲーム…ちょこっとはやりますね。」

「ゲームも有りなんじゃないかな~。わかんないけど、自分がこれに関しては人に負けないってくらい知識のあることをネタにすべきだと思うんだよね。」

「人に負けないことですか。」

「うん。よく番組では野球ネタとかプロレスネタとかやってるじゃない?」

「ああ。」

「それに関して演者自身が『詳しいから』こそ、生まれるネタなんだよね。」

「そうですね。」

「ちなみに、僕は刑事ドラマが好きだから前回、刑事ドラマのネタをやったんだけど…僕より台本がうまい芸人さんがいて、オーディション落とされちゃった。」

「台本いるんですか?」

「うん『ネタ』だからね。難しいよ。審査員はみんなあったかいから、何でも笑ってくれるんだけど、結果は厳しいもんでさ。」

「そういうもんなんですね。」

「まあ、何のネタをやるか決まったらまた、相談してよ。台本作りには付き合うから。」

「あ、はい。ありがとうございます。」


この先輩は頼りになりそうだ、と健治は思った。

何に対して自分がマニアックなのか、改めて考えよう。

まずは、漫画やゲームから、なにかヒントを得られたらいいな。そう思った。

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