白色赤頭巾は試験を受ける
薄暗い試験会場。
少女は埃っぽいこの会場で入試を受けていた。最後の科目である。
でも、既に問題は解き終わっているのか退屈しているようだ。
彼女、雪見雪はクールな表情の整った顔立ち。そして普通では有り得ない白髪を持った少女である。
「……退屈だなー」
そう呟いた時に背後からの視線に気付いたのか、少し居心地が悪そうに動く。
(誰だろ……自意識過剰かもしれないけど少し恥ずかしいかも)
髪と同じとまではいかなくても、白い顔が少し赤くなる。
カチカチ時を刻みづづける時計の音を聞きながら、雪は考え
「何か謎解きでも考えよ……考える自由って素晴らしい」
そう結論を出した。
それから数種類の謎解きを考える、という遊びを続け暇を潰す。だがやはりそれもすぐに尽きてしまい、雪はペン回しをする。
(うわぁ……あの試験官やけにこっち見てくるな……やっぱりこの髪目立つのかな?)
雪は大体なんでも楽しむタイプだが、そんな楽しい人生の中でも、この髪は数少ない楽しめないものの一つだった。
顔をしかめ、試験官の視線から逃げるようにそっぽを向く。
その時、誰かと目が合った気がするが恐らくこれも自意識過剰なのだろうと雪は溜息を吐く。
相変わらず雰囲気は辛気臭く、この学校を選んだのは失敗だったかなと思う。
そもそもよく考えずに選んだのがいけなかった。
何故周りの人達はこうも必死になれるんだろう。その様子を見ていたらそれはそれで面白い。
「やっぱり私より皆の方が面白い。なんで私はこんななのかなぁ」
と、そこまで考えたところで試験官が終了を告げる。
こんなものだったか、と苦笑いしながら集められていく用紙を見て気付く。
「あっ……名前書いてない……」
その時何処かから真逆の呟きと、頭が机にぶつかる鈍い音がした。
――完