病は気から
さっそく活動していません。
向日野家長女にして一番うるさい妹子が風邪を引いた。
「嫌だああああああああ、合宿行く!合宿行って在原先輩に自作のスポーツドリンク渡すんだもんっ」
「やめておけ、在原のためにも」
兄人は先日、目の前の妹に自信作だと言って飲まされた何とも形容し難い飲料水を思い出して、顔をしかめた。
「ただいまー。ほい、姉ちゃん。ポカリ買ってきたよ」
「ありがとう日向。ついでにここにいるクソニートを家の外に捨ててきてくれるとすっっっっごい嬉しいんだけど」
買い出し(またの名をパシリと言う)から帰ってきた末の弟日向が、買い物袋を机の上に置いて大きなため息を吐く。
「また喧嘩?仲良くしなって言ったじゃん。姉ちゃんこれでも風邪引いてるんだよ?」
「日向、騙されるな。馬鹿が風邪引くわけないだろ」
「おいこらクソニート」
「芋女」
「クソニート」
「ちょ、兄ちゃん。あんまり姉ちゃんに近づくと風邪うつっちゃうよ?」
次の日…
うつりましたw
「だるい…」
「ざまあw」
「姉ちゃん全開だね。風邪はうつせば治るって言うもんね」
日向の言葉に反応した兄人が、何かを訴えかけるような視線を日向に向ける。
「…日向」
「嫌だよ」
「…ちっ」
「あれ、兄ちゃん今舌打ちした?」
日向の問いを無視する兄人。すると、妹子が突如ニヤリと笑った。その表情を目撃してしまった日向は、思わずゾッとする。兄人は布団にくるまっていて気づいていない。
「兄人、ジュース飲む?」
「え…」
妹子はどこからか水筒を取り出すと、実にいい笑顔を浮かべた。
「たまたま偶然、うちは合宿に持っていくはずだったスポーツドリンクの余りを、ここに持っています!」
「!?」
「さぁんざん言ってくれたよねー」
「ま、まさか…」
兄人の額を冷汗が流れる。しかし、気づいた時には既に遅く…
「さ!兄人君、お口開けましょうねー」
「ちょ、まっ」
「つべこべ言わずに飲まんかい!」
「うわぁ、姉ちゃんえげつねー…」
こうして日向は部屋を出て、扉の前で手を合わせ、一礼して、自分の部屋に避難したのであった。
うちの家のオチが迷子みたいですね、はい。