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日曜日は、毎度の如く三井家で過ごす吉埜。
さすがに中3の時は受験勉強に忙しく、それぞれ別の時間を過ごしていたけれど、高校に入ってからはまた、土日の内どちらかは三井家に行くようになった。
彼女がいる時は互いにそれなりの遠慮をするが、いなければそれもない。
という事で、今日も遠慮なく朋晴の部屋でゲームのコントローラーを握りしめている吉埜。
だが、その様子はいつもとは全く違っていた。
一見ゲームをしているように見えるが、キャラは既に倒れていてYouLoseの文字が画面に大きく出ている。
そして、倒れたままのキャラを見つめて深い溜息ばかりを吐きだす様子に、とうとう朋晴が口を開いた。
「吉埜。何かあった?おかしいぞお前」
「………………え?」
数秒置いてから振り向いた吉埜の遅い反応に、朋晴まで深い溜息を吐きだす。
これは重症だ。
そんな言葉が聞えるような溜息に、さすがの吉埜も決まり悪そうに苦笑した。
「溜め込んだって良い事ないんだからさっさと話せ。どうせ自分の中でグルグルしてんだろ?」
「………朋晴……」
頼もしい幼馴染は、こんな時もやっぱり頼もしい。
吉埜は、コントローラーを床に置くと、朋晴に向き直った。
「あのさ…、なんか俺、変なんだよ」
そこから、ここ最近の古賀に対する自分の気持ちを、とつとつと語り始めた。
いつの頃からか感じ始めた独占欲のような気持ち。そこから生まれる苦しさ。
親友とも呼べるべき古賀を、心から優しく見守る事が出来ない自分の器の小ささ。
自分と距離を置き始めた古賀は藤川とも上手くいっているみたいで、きっともう離れた方がいいんだろう。でも、離れたくはない。
「………って、俺、絶対に変だろ?…親しくなり過ぎて距離感がおかしくなってんだよ」
「………」
最後は、まるで茶化すように笑って話を終えた。
朋晴も「お前は女子かよ」とツッコミを入れてくるだろう。
そう思っていたのに…。
「……お前、古賀に惚れてんのか」
真顔で言われたのは、そんな言葉だった。
「………………は?」