第七話
地震問題、深刻ですね。
募金してきました。
――遺族が死んだ人にインタビューって不謹慎に感じます。
家が流される光景よりも必要な物資の名前などを掲載し、どうすればいいかなどを教えてくれると行動しやすいかと思います。
計画停電は少々不便ですが、いいと思います…が時間が不定期というかそういうのはいただけないんですよね…
さっさと書こうってときに、電源が落ちてデータが消えて
リアルで「ふぉぁあああああ!?」と叫びました。
「…」
目をして、我が家で横たわる少年がいた。
衣服はボロボロ、心もボロボロ
時節気持ちの悪い『ウヒヒヒ』という笑い声をだしているが、まぁ大丈夫だろう
。
――時は二日程度遡る。
―side 樹
「トラックだ!」
そう叫んでトラックを叩きつけると、限界が来たようで倒れこむ。
そもそもこの力がなにかもわかってないのだ、そんなボンボン使えるわけではな
い。
この一発で決められた!なんてそんなことは思っちゃいないが、力が入らないこ
とに正直本気でまいった。
案の定、クマはトラックを叩きつけられたのに起き上がる。
なんだこいつ、本当にクマなのか?なんて思って、目の前のクマを見――
「■■■■■■――!」
「(違う、こいつクマじゃない、クマと同じにしちゃいけない!)」
熊だと思っていたものの咆哮――それは異常なほどに恐怖を覚えさせるものだっ
た。
怖い、怖い怖い…
ビリビリと地面が震える、肌が震える。
その熊だと思っていたもののオーラというものを肌で感じる。
そして――熊だと思っていたものは、音をたてて変化する。
ゴキッビキッビシィィッ
巨大になっていく体に、どれほどの恐怖を覚えただろうか
「(どうするッ!?このままじゃ俺は死ぬ!)」
――その時だった。
遠くから、轟音が聞こえ、異常なほどの殺気を感じ取ったのは。
「――!?」
熊みたいなヤツもそれを感じ取ったらしい、そちらのほうをみている。
逃げ出せはしないだろう、今はその近づいてくる殺気に希望を託すのみだ。
できれば親玉でしたとかそういうオチじゃなく、別の種類で俺を餌にするためにきて、俺をめぐって喧嘩して共倒れになってほしい。
そんなことを考えている間にも音は近づき、殺気もより濃厚になってくる。
「(さて、どうくる――!)」
「いっちゃぁぁぁん!」
「(別の意味で俺を餌とする人がキタァァ!?)」
心の中で叫び。助けが来たことに安心し
「私のいっちゃんになにすんだゴルァァァ!」
母親の怖さに先ほど以上に恐怖した。
手にもっているのは、巨大な剣。
勇者の剣みたいなものをもっている。
切り裂くかと思えば刃は寝かせていて、何をする気かと思えば。
「母親の愛の鉄槌!」
メゴォォンッという音をたてて、振り下ろし、熊のようなやつに叩きつける。
――熊は地面に頭まで漬かった。
――絶対に愛の鉄槌だけは食らわない
そんなことを思った瞬間だった。
そんなことを俺に思わせた当事者である母さんは、叩きつけたときにできた砂埃からでてきて、平然と砂を落としている。
そして、きていた体にあまりあっていないコートを揺らしながら、言った。
「子持ちのおかーさんはこれほどまでに強いのよ」
――これが本当だったら全国のお父さんは逃げて欲しい
「――さてっ、いっちゃん。」
こちらを振り向く母さんに、ビクゥッと反応をし
「な、なに?」
「トラックがある程度へこんでいるってことは叩きつけたってことだよね?」
「ま、まぁそうだけど。」
「その時何か感じた、でしょ?」
「ん…これ?」
ふぉんっと体から力があふれ出し、体が淡い白で包まれる。
――感覚的にばかりだけど、体が慣れてきたらしい、どうやるかは、まぁ感覚だけど。
「母さん、これなに?」
「『勇気』よ。」
「勇気…って、うーん…一歩踏み出す勇気の勇気?」
「うん、そーだよ。人が踏み出すための勇気。」
「それが、なんで力になるの?」
「それは教えられないなぁ」
そうやって人差し指を口に当てて、『しーっ』と息をだす。
――なんかおちょくられてる気がするけど、追求しても教えてくれないだろう
息子バカだけど、やるときはやる母さんだ。
「さて、いっちゃん、その感覚があるってことはもっと楽になるよね?まだ五分の二くらいだけど、あとすこしでできるかなっ?」
「いいともーとはいえないよ…」
「そもそも、その感覚ができてからが本当の修行なんだよっ。制限時間は二日だよ。」
…そんな殺生な。
「いっちゃんに反論の権利は与えられないよ!」
「まっ…いいけどさ。強くなれるんだから。母さんを護るくらい強くなるよ」
「ふふっやっぱり血縁なのね。」
「母さんの血が色濃くでてるってこと?」
「うーうん、違うよ。お父さんのだよ。」
「へ?」
そういわれて、考えてみる。
父さん?――いや、父さんとかいわれても部屋をみたり、母さんの話を聞ければ普通の人なんだけどな。
「お父さんもね、私に言ったわ、『一生ボクが護る』って。」
「プロポーズ?」
「うふふっ。」
そう笑って何も言わずに母さんは去っていった。
「…二日か。」
誰もいない山道で、俺は溜息を吐いて。
「ま、いいじゃないの。」
体は痛いけど、な。
っていうか、治療ぐらいしてほしかった。
「――治ってやがる。」
勇気というものが本当に知りたくなった日だった。