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第四話

キーワードははっきりいってしまえばネタバレです。

いままで、『アレ?』と思いながらみていた人はおそらくあと10話くらいで話が切り替わるかと

綺麗な背負い投げ、投げられながらもそれを実感する。

背負い投げまでの行動が的確の上、簡単に重心を崩されて、そのまま力を利用される。


「うぉおおおひでぶっ!」


「遅いよいっちゃん!そのまま寝技だっ!」


「負けるたびに!?」


―どうも、有羅場あらばいつきです。

柔道を習おうと母にいってみたところ、負けるたびに寝技をかけてきます。


「いやぁぁぁっ!」


「うへへへ、おかーさんの体の味を覚えなさい」


「ヘェルプミィィー!」







――トラウマになった。








「ねぇねぇいっちゃん?だいじょーぶ?」


「うん…いつも心配してくれてありがとうな、ゆき


げっそりしながら幼稚園へと向かう。いつもいつもゆきが心配してくれることに、感謝しながら息をついた。

げっそりしているのは母親のせいなのだが、まぁそんなことは言わない、というか言ってどうなる。


「じゃ、遊ぶか?」


「うん!」


そういって駆け出していく、平和なことはよきことかな。










幼稚園へと帰ればトラウマ万歳、武術指導だ。

自分の目標のために、だけれど、柔道は恐怖だ。

――主に、自分の純潔的危険で。


「最強にしてあげようっ!」


「母さんがいうとマジで慣れそうでいいよな。」


「というわけで、肉体作りとなるわけなんですが・・・走ればいいんじゃないかな?」


「・・・なぜに疑問符付きでして?」


「ん…おかーさんがやったのは『力的に限界なものを体力的に限界までやる』っていうのかな?でもね、力的に限界というものは計らなきゃわからないし、体力的に限界も計らなきゃわからない。握力筋力、持久力。はっきりいうとこの三点がわからないとダメなのさ。」


「筋力、持久力っていうのはわかるけど、なんで握力なんだよ…っていうか握力って筋力じゃないの?


「さぁ?たしかそんなこといってたような。」


「誰が?」


「あるぇ?」


「…」


いつでも思う、この母親は天才だが、ここまで仕上げるのには何かやろうとしたのだ。

―その何かをやったのがこの人の師匠になるわけなのだが――


「誰だっけー?」


「…」


その母親がわからなければダメですよね。…っていうかそれを覚えていない母親ってどうなんだろう。


「まぁいいじゃないか、筋力を測ろうッ」


「はいはい。」


「じゃあトラックを片手で持とう!」


「はいh…って待てェェェ!」


いきなりの言葉に突っ込みが遅れた。

トラックって、トラック?あぁマラソン的な、意味不明だけどそうであってほしい!


「さて、運送屋が近くにあったわね。」


――そうでなかったのは確定した。


「母さんっトラックを片手って無理だっての!」


「え?ん~…あぁそうだった☆」


「というか母さんはもてるの?」


「ん?うーん、昔は4つはいけたけど、今は1つしかできないかな?」


「何モンだキサマ!」


「親にキサマとはなにさー、寝技かけちゃうぞー!」


ダッ(俺が逃げる音)

ガシッ(俺が掴まれる音)

バタッ(引き倒される音)


「一時間後に延期しましょう」


「ちょ、おまっ、ご近所さーん!誰か助けてー!」







―sideご近所さん


「あははーいつもいつも楽しそうだねー!」


「そうね、仲の良い家族でうらやましいわねぇ」


「そーだねー!」


―side END





はっ何か電波がきて、助けなどないと確信できた!


「さて、うへへへへ」







―少々お待ち下さい







「さて、いきましょうか」


「…うん。」


運送屋へと到着すると、従業員であろう方たちが整列している


「「「「春子さん、お久しぶりですっ!!」」」」


「やー」


「…母さんは何者なんだ。」


いきなりの挨拶に呆然としていると、後ろでアルバイトの方々がなにをやってんだこいつらといった視線を整列している方々に向けている。


「ちょ、先輩、どうしてこんな子供に頭をさげブァッ!?」


――そんなアルバイトの方々の一名がお星様になってから誰もそんな視線を向けなくなったけれど


「では、壊れたトラックです。」


「うん、ありがとーね。」


「いえっ春子さんのためならっ!」


深く従業員さんたちは礼をする。――母さんは何をやったんだろう。


「じゃ、見ててね。そぉぃ!うあぁぁああああああああっ!」


――持ち上げた。

ヒョイッというような感じじゃないけど持ち上げた。


「ふぅー、主婦やってると腕が鈍るわね。」


「「「それでっ!?」」」


アルバイトの方々からそんな言葉が発せられたが全員華麗にスルーをみせた。


「さて、いっちゃんもやろう!」


「あ、うん、・・・え?」


「どうしたの?」


「いや、いやいやいや無理ですって。」


「YOU、やっちゃいなYO!」


「いやそんなノリでやられても。」


アルバイトの方々から『できないよな?できないよな?』なんて視線が向けられる。


「まぁやってみますけど。」


「「「やんのかよ!?」」」


アルバイトたちのツッコミ、だが全ての人間が無視した。








できるわけがない、なんて思いながら近づいてみる。

巨大な体躯、それ相応の重量を見るだけでも感じる。

――いやいやできないだろ。

手をかけてみて、ぐぃっと引っ張る。


「ぬぉぉおおおっぐっ。」


軽く――前輪が持ち上がった。だが、全部持ち上げられるほどじゃない。

それでも驚きのものだ。


「るーべぇえええええええええええんす!」


ギリギリと持ち上げ続ける。――いや、それでも驚きだよ。

やめようとすると、後ろから声をかけられる。


「やめるな。」


「かあ、さんっ?」


「やめるな。」


「わかったよっ、ふんぬううううううううううう!」


ギリギリと持ち上げる――無理だ

無理だ、無理かもしれない、うん――無理なのかな?

無理じゃないかもしれない

無理っていうものは無意味だ

無理じゃない

無理じゃない

無理じゃない


「ろーるぁあああああああああああ!」


――何か、力を感じた。


無理じゃない

無理じゃない

無理じゃない



『無理、じゃない。』





「「「持ち上げたァ!?」」


「うぁっ、も、無理っ。」


ギリギリな力を振り絞りトラックを置く。


「うんっ、決めたッ」


母さんの声が響き渡った気がする――。

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