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第十四話

あ…ありのまま今起こったことを話すぜ


『どうせ人なんてあまり来てないだろと思ったらポイントが700超えてアクセスが10万突破していた』


な… 何を言ってるのか わからねーと思うが

私も一瞬何が何だかわからなかった



…無理やりやって失敗した気がする。

「ほぉわたたたたったあっ」


カカカカカッという甲高いとも鈍いともいえない音を立てながら、波打つ鏡に連続攻撃をし続ける。だがそれは鏡に全くの傷一つ付けず、波打つばかり。


「ほぉわちゃあああああああっ!」


最後の一撃は力を込めて、食らわせれば鏡は…何の変化もない。

――ブチッと頭でなにかが切れる音がした。


「ジーザスッ!ジーザスッ!」


その鏡を掴み、振り回すこと数分、ぜぇぜぇを息をきらせながら鏡を置く。

嫌になっていることがよくわかる。でも諦めたらそこで試合終了なのだ。


「勇気を手に凝縮し…突貫するッ!」


勇気を手に凝縮し、手を槍のように先をとがらせる。

そのまま一撃ッ!





ガッ



その一撃は鏡に直撃し――







ヒュゥゥッ




見事に直撃した威力のために鏡は吹き飛び――







パリィィィンッ



鏡は窓をつきやぶって吹っ飛んでいく!





……


「ほぉわぁぁぁぁぁあああああ!?」


意味のわからない叫びを叫ぶ。

そのまま走り出し、窓の縁から走り込み、窓をキャッチ、そしてそのまま下へと落ちて行く。


「ゴベパッ!?」


重力という自然の法則に逆らわずに加速し、地面へとぶつかる――

痛い、が――すぐに回復して起き上がる。

景色は変わらない、そのことにため息を吐いて、新品の制服についた土埃をはらい立ち上がる。


足取りは――重い、何もできない無力さに打ちひしがれて、俺はそのまま家へと戻る。


「…何もやれないじゃないか、強くなった気でいただけじゃないか。」


リビングのソファにカラダを預け、ボソリとそういった。

目から入ってくる夕陽の光がとてつもなく悲しく感じる。――何もできない


「そんなことは――ない、勇気とは、勇気があるからこその力…」


諦めなければ、何かしら力を使える筈、あきらめてはダメだ。

勇気という力は言ってしまえば俺が使える唯一の『規格外』可能性が無限にある能力。

だからこそ今ここに可能性があるというのに、俺は今現在無力感を感じるしか無い。

頬に温かいものがツゥッと垂れるのを感じた――。










次の日の朝、気だるさを感じながらも学校であろうとも思考はできる。

一睡もできなかった体を引きずり、軽目の朝食をとって俺は鞄をひっつかんで外へとでる。

向かうは学校、心の中でゆき由梨ゆりくれないさんが何かしら案をだしてくれることを願ってしまっている俺がいることを感じながら俺は学校へ着いた。

到着すればゆきが抱きついてくるので、いつもどおり腰をもって地面へと置く。


「ちょっとぐらい対応を変わろうよ…」


「えーいっちゃんも変わらない…大丈夫?」


俺の顔を見て、ゆきが心配そうにしてくる、そんなに変な顔でもしているだろうか、ずっと考えていたために歯磨き中も鏡を見ていないことを思い出す。


「あー、ちょっとトイレ。」


心配そうにしているゆきの視線から離れ、トイレへと向かう。

そして鏡をみて、苦笑した。これじゃあ心配するものだ。

隈ができ、一晩程度だというのにゲッソリしている、母がいなくなっただけでこうも変わるものか、…ふぅ、と息を吐いて俺は顔を叩く。

元気を出さなければいけない、そう思って俺は目にぎゅっと力を込めて鏡を通して俺をみる。あの鏡のように波打つことはなく、先ほどよりも引き締まった顔である自分が見え、少し笑みをこぼした。

もどってくればゆきにニッコリと笑われ、ひきしまったよ、と言われたときは、あぁこいつは幼なじみなんだなと実感した。

最初の日は、授業という授業はなく、先生が一人でに一年間を通してやる授業というものを説明している。

それを聞き流しながら、昼休みが到来し、俺は由梨ゆりゆきの前でなにげない一言のようにつぶやいた。


「なぁ、ゲームでよくある異世界の扉ってどうやってあけるのが普通なのかな?」


そう言葉を出せば、なにいってんだこいつという感じの顔をした由梨に苦笑した。

――まぁそうだろうな、なんて思いながらも二人をみる。

答えて欲しいんだな、といったことを理解したようで、由梨はちょっと考えてみる。


「なにかの鍵とかじゃない?なんとかパワ~って感じ。」


「うん、由梨ちゃんと同じだよ、選ばれし力とかそんな感じ。」


「で、そのなんとかパワーと手に集めてその扉にぶつけてみても開かなかったらどうするべき?」


そう聞くと、由梨ゆりはなにいってんだこいつという顔をさらに深める。

そして次の一言が、答えだった。












「いや、そもそもなんとかパワーで開くんだったら押し流すもんじゃないの?」












「………」


「………」


「………」


長い長い沈黙が巻き起こり、俺は口をぽっかりと開けながら、その言葉を発した由梨ゆりを、油差が足りていない機械のように鈍い音を立てながら首を動かし、見る。


「な、なによ…」


俺のその反応に、ちょっと由梨ゆりは引いて、俺の思考回路はぐるぐると回っていた。

っていうか俺、本当にバカじゃないの?なんなの突貫とか恥ずかしい。鏡が吹っ飛んだだけじゃないのさ。

…まぁ自虐はもういいとして


「あんった最高だァァァタルブッ!?」


思わず由梨ゆりに抱着こうとして何者かに気絶させられた。

…おそらくゆきだろう、女は強いってことを見せつけられた気分だ。

――気絶しながらも、俺の顔は穏やかだった。








さっそく家に帰って、鏡の前で俺は集中する。

手のひらに放出するような感覚。

目を瞑れば白い世界が広がっていく。


「(行けるのか?いや、行くんだ、行ける――)」


息を吸い、吐く

俺は暖かいなにかを手のひらに感じながらも、その手のひらをゆっくりと鏡へと叩き込む。

そして――おし流し、目をあける。


そうすれば、叩き込んだ手のひらはずぷり、と鏡のなかに吸い込まれていく。

水面のようだ、と感じていたがその通り、入っていった手のひらは水の感触を感じ、俺はそのまま――一気に力を放出し――突撃した。






水の揺れる音がして、部屋には人の影はなかった。

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