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第十三話

いっきに飛ばします。


キングクリムゾンッ!と叫んでくれると嬉しいです。


自身を明かし、主人公は強くなり続ける――

それからは強くなり続けるだけです。


「えー、それでは―――」


話し声が、聞こえる。

二度目の高校生活の始まりを告げる鐘が聞こえた気がした。

高校、俺が入学する『桜岬野高校』は地元で有名な進学校の高校だ。

いま話しているのはこの学校の校長、今は入学式だ。

母に『俺が行く』と宣言し、ここまで頑張ってきた。

『母さんがOKといえるならいかせてくれ』という約束のもと俺は必死になって母さんに挑んできた、未だに絶対に勝利できるというほどではないが、ここまで頑張ってきた、完璧になったというほどの自信はないが、しかし、ここまで勝てるようになったということに俺は誇りを持ちたい。


「――それでは、これで入学式を終わりにします。」


考えていたら時間が立っていたようだ、すでに入学式は終わりの挨拶を迎えている。起立をし、礼をする。

新入生たちが続々と外に出始め、それを先生たちがまとめようとしている。


「いっちゃぁん!」


そういってかぶさってきたのはゆき。長くした髪の毛がかぶさってきて、それをはらってゆきの腰のほうでカラダをもって、ゆっくりと地面へと置く。


「まったく、俺への対応は変わらないんだな。」


そういって笑うと、ゆきもエヘヘと笑う。

――雪も成長した。女らしい体つきに――セクハラっぽい言い方をした、うん…綺麗になったとでも言おうか。


「いっちゃんは私のものよ!」


「母さんも変わらないよね…」


そういって見るのは、未だに小学生体系な母さん。

――これで人類最強といえる人物だ、…成長期はいつだ。

自分のクラスの担任であろう教師の声が聞こえたので、母さんに手を振ってゆきと共にそちらのほうへと向かう、ゆきは同じクラスなのだ。


「ったく、本当に腐れ縁というものかな。」


「えへへ、由梨ゆりちゃんは違うクラスだけどね。」


そういって腕に抱きついてくるゆき…スキンシップが妙に過激な上に、うんと、その…身体も大人になったわけで、む、胸が…

だぁぁああ!俺はもう精神は30を超えたおっちゃんなんだぞ!?何を純情まっさかりな反応をしているんだ俺は!?


「?、どうしたのいっちゃん?」


「いや、なんでもないさ。」


そういってごまかすと歩く足を速める、それにゆきもついてくる。

さて、さっさと行こうかな。









「…あんたたち本当に仲がいいわね。」


そういって呆れたような顔をしてくるのは由梨ゆり、顔は呆れているが、ちょっと口が尖っている。不満そうにしている顔だ。――おそらくゆきは親友のようなものだから、とられたように思っているのだろう。

だがそれにゆきは気付かないようで、その言葉にもえへへと笑うだけだった。


「ぐ…確信犯ならとんだ策士といったところかしら。」


そういって顔を歪ませる。――その反応について合致しそうな答えはみつからない。

まぁいつものことだし、スルーしていいだろう。そう判断して俺は由梨ゆりに笑いかける。


「よっ、初の同じ学校だな。」


「ふんっ、ここの高校の偏差値は結構高いのよ?武道や武術ばかりやっていたあなたがこの高校にはいれたカラクリを知りたいものだわ。」


「えへへ、いっちゃんは天才なんだよ!」


…まぁその通りだ、前世の俺だったら『その通り』だ、なんていっている俺にイラッときているところだが、まぁその通りだ。


「基本的に人外最強だから今更どうこう言うわけがないけどね。」


「お、おいおい…人外最強とか少しオブラートに包んでくれないか?」


「そうね、今の状態はオブラートという布があったら200枚かぶせてあげたくらいのものなのだけどね。あぁついでに言うとね、オブラートを取ったら化物よ?」


「うぐ…」


「そのうえマザコン。」


「げふぅっ!?」


精神的にダメージをザクザクとくらわされ、その場に膝をつく、胸を押さえながら由梨ゆりを見上げる。なんとか反撃を喰らわせなければさらに追撃を食らわされる!。


「こ、この毒舌ツンデレお嬢様め…」


「だ、誰がツンデレですって!?」


「毒舌は否定しないのかよ…」


「むぅ…いっちゃんと由梨ゆりちゃん楽しそうだなぁ。」


「ど、どこがよ!?」


「一方的に俺がいじめられているだけだよ、ゆき。」


「あ、あんたねぇ…」


そういった受け答えをしていると、名前を呼ばれる、名簿でいるかどうか確認しているようだ。

それをみて、俺は大きく返事をして、由梨ゆりに声をかけてゆきと共にはいっていった。

由梨ゆりは少し寂しそうな顔をすると、自分のクラスへと入っていく。

そうして入学式の日は過ぎていった。










「ただいまー。」


玄関脇に鞄を置いて、俺は軽く伸びをする。

今日と言う日も滞りなく終わった。

中学時代にでもやめることはなかった『おかーさんタイム』というものは、さすがに高校生になったのだからやめるべきだと思い、すぐに構える。


「…母さん?」


――いつもなら『いっちゃーん!』っていいながら走ってくる母の影はない。

どうかしたのか?と思い、靴を脱いでリビングへと向かう、靴はあったのだ、どうせ寝ているのだろう、仕事が詰めの段階にはいって、寝ないで頑張っていた次の日も『おかーさんタイム』は無かったわけだし、確率は本当に小さいがそういうこともあるわけだ。


リビングへいってみる。――母の姿はない。


「む…部屋か?」


そう思い母の部屋を開けてみると――いない。

片っ端から部屋を探してみる、母の過去を知っているからこそか、少し焦ってくる。

魔王っぽいもののやつに攫われたとかないよな?なんて考えてしまう。


「母さん!」


――結局いなかった。

靴はあるというのに、なぜだ?そう思って色々と探してみる。

かくれんぼなんて今更母はやらないだろう。

だからこそ探さなきゃ。


そう思ってリビングに再び戻ってきて、見回すと机に手紙があった。

机にある、これでも母は整理整頓が好きなほうだ、そのうえ朝には無かった――つまり本当に最近置かれたものだ。

それを拾ってみると手紙。

開いてみることにする。


「…なんだよこれ。」


書かれていたものは、母さんの文字。

そして書かれていた言葉は








『ごめんね』








それ、ただ一言だった。









「なッ…んでだよォォォォ!母さんッ!」







その一言で――


全てを悟った。








剣を渡してくれたのに、稽古をつけてくれたのに、母はいってしまった。

守りたいと願った対象が目の前から消えた。

俺はすぐに走り出す。家を探し続けることに決める。


「ちっくしょおおおおおおおおっ畜生っ!なんで、なんで――」


思わず涙がでてきた、異世界、異世界だ。

異世界へ行かなければならない、異世界異世界異世界異世界ッ!

行く方法は?わからない、わからないのだ、でも行かなければならないッ!


探し回る、探し回る探し回る探し回る

だが何も出て来ない、異世界の道もなにもない。

靴はあったのだ、つまりは部屋の中にあるということだ。


そもそも修行といって山や野原に行かされることがあった、つまりはそれは異世界の可能性が高い、そもそもそんな攫われるようなことをされて俺が気付かないわけがない。

車というのは揺れがある、どんなに母さんが上手くはこんでも無理だし。そもそもあんな場所、こんな都会まっただ中なところにあるわけがない。

ではつまりはどういうことだ?つまり俺は異世界へといったということなのか?

少なくとも近い場所ということはわかる。

あんな広大な平原や城、そもそも途中で拾った紙から日本ではないことは推測は簡単に可能だ。

では外国にいけるか?答えは否ッ!どんな移動方法でも可能だし、日にちを測ってみると、移動には一日もかかっていないことはわかる、俺は異世界にいった!方法はわからないがいったんだ!

少なくとも家、もしくは家から近い範囲内の場所から!


「チックショオォオォオォォオオ!」


見つけられない自分に不甲斐なさを感じる。だが、見つからないのだ。

そのまま俺はベッドへと倒れ込む。

涙が止め処無くでてくる。

そのまま外を見る、そして立ち上がり、使われていない部屋に入っていく。

――物置部屋となっているこの部屋へと入り、俺はそこを見回した。

そして見つけたのは――


「なんだこりゃ?」


布をかぶせられそこに忽然と置いてある鏡。

その鏡の布をとれば、そこには何も写らない。

明らかにあやしい、トンッと手をおけば鏡が水のように揺れた。


「これはまさか…そぉぉおおおい!」


そして俺は迷わずダッシュで走り、鏡へとダイブするッ!
















「ひでぶっ!?」


そしてそのまま鏡にぶつかって倒れた。

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