プロローグ
転生――
二次小説などで扱われるもので、神様等がでてきて、『殺してしまったから転生しろ』という言葉から始まるもの
物語の出発地点
――いいんですけど、まぁ、うん――目の前にこの状況がなければ。
土下座、自称:神さま
……とりあえず色々とまとめて見るか。
俺の名前は神楽一樹、今年高校二年となる少年と青年の境にいる男。
好きな教科は数学、歴史、物理、英語
嫌いな教科は特にナシ
先生の評価は器用貧乏、理系にも文系にも、コレッ!ていう感じのモノがないことで、進路に困り果てているただの高校生だった。
別に幼馴染なんていないし、ブラコンの妹なんてさっぱりだし、頭が秀でているわけでもないし、帰国子女でも、いきなり妖精っぽいものが現れて魔法の世界へいったり、変身ッ!といったらお茶の間の戦士になるわけでもない、人生に何の目標もなく、ただ親がどこからかもってきたパンフレットをみて高校を決めたただの高校生。
――まぁ、『だった』が最後につきますが……
前を歩く小さな親子をボォッと見ながら、懐かしさを感じつつ、登校中だったある日、一台の大型自動車が突っ込んでくるのをみました。そしてそこには、横断歩道を手を上げて渡る親子が。
――そこからなにがあったのか、足が思わず動き出し、親子を突き飛ばし。
そして
「……死んだのか、オレは」
呆然としながらボソリといえば、その言葉が耳に入ったのだろう、自身を神さまと読んだ男は悲しそうな顔をした。そして小さく、短く「はい」と返答される。
「……」
むなしさがこみ上げてくる。――親子との仲はお世辞にもいいとはいえないだろう。それでも親の『努力』というものをカラッポにあけて
「友達にも会えないのか」
友人関係は広くないけど、その代わりにあいつらとは大きな大きな絆があったと思う。
馬鹿なことをした、それで起こられたこともあった。
「――なんて、オレは親不孝モノの友不孝モノなんだ。」
肩を組み合って、笑いあった。
走馬灯が今更のように駆け巡る。
涙がツゥッと流れ出す。
泣き喚きはしない、それで何になるのかなんてわかりきっている。
死んだものは死んだのだ、そこがどうなるわけではない。泣き喚きたい、叫びたい、神様を殴り続けたいでも、どうにもならないのはどうにもならない
「なぁ、神さま、オレはこれからどうなるんだ?」
「――転生を。」
「輪廻転生ってやつか。」
親にあえなくなった、友にあえなくなった、心が何か空虚なものに感じられたけれど、オレはそれを聞いて笑った。
――二次小説みたいな展開じゃねぇか、ありえねぇ、なにこのテンプレ、パネェwwww
なんて思わなきゃ、あふれ出す涙が止まらないだろうから。
「じゃ、オレはマジチートになればいいのか?」
「――ご希望とあらば。」
「ハハッ、ハハハハ……ハハ。うぅっ、うぇっえぐっうわぁぁああああああっ!」
耐え切れなかったらしい、涙が押し流され泣き叫び始める。
なんだよ、なんだよこれ。ハハハ、チートになればいいってか?それじゃ何も変わらないんだよ。
異世界でがんばって、なんになるってんだよ。
みんな通り過ぎちまったんだよ、オレの前を通り過ぎて、オレはそれに笑って手を振ることさえ許されない。
「いい、よ。もう、いい。天才にしてくれ。何もかもに最上級の才能をくれ、もういいんだ、楽しむよ、いくらでも楽しんでやる。」
「はい。」
「あと――それでさ。オレが異世界で前を向いて歩いている限り、親と友達が幸せであれる力をくれよ。」
「……はい」
そういってオレは、笑って世界から消えた。