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質問:綺麗なおねぇさんは好きですか? 答え:いいえ、彼女は男です。


言葉を無くすとはこのことか。

全ての賛美は、このお方の為にあるのだと言っても過言ではないその美貌。

もはや男と女というより人間を超越したな。同じ人類とは思えん。

真由美さんなんか固まって動いてないし。面白~い。


「この縁結びのお守り、一つくださる?」


「うわぁ~おねぇ~さん綺麗ですねぇ~。今まで見たことないくらい綺麗なんで、一瞬固まっちゃいましたよ~。はい、このおまもりですね~。四百円になります。」


ロングの黒髪ウィッグに、180センチ後半、もしかしたら190超えてるかもしれない長身。

女のような丸みはないが、綺麗に筋肉がついている少し細身の体にはタイトなドレスをまとっている。

顔は少し彫が深めで左右対称、どのパーツも美しいだけでなく素晴らしい位置にピタッとおさまっていいる。筋の通った高い鼻、切れ長な美しい二重の目に長いまつ毛、適度に肉付きのいい魅惑的な唇、卵型の輪郭に絹の肌。

決して女らしいわけではなく、明らかに男だとわかるその容貌。イケメンではない!断じてイケメンという軽々しいものではない!!このお方は『美』だ!!このお方=『美』、『美』=このお方だ。

しかも美形は声まで美形なのか。腰にゾクゾクくるエロエロ低音ボイス。

てか、フェロモンダダ漏れ。お色気の蛇口全開じゃん。もったいないからお色気の蛇口もうちょっと閉めてください。



んっ?あれっ?男?・・・・・・この人の美貌にうっかり流されたけどこの人男じゃ~ん。

今気づいたよ。オカマさん?でもこんだけ綺麗なら、男も女も老いも若きもより取り見取りなんだろうなぁ。

すっごい恋愛経験値高そう。


「千円からお願いできるかしら?」


「は~い、千円お預かりいたしますね。お釣りの六百円です。お守りどぉぞ~。」


「・・・・・・あなた凄いわね。今まで私を見た人たちの反応と全く違うわ。」


「えぇ~、これでもすっごくビックリしたんですよ~!!今でもおにぃさん?おねぇさんにドキドキしてますよ~。」


「まったくそうは見えないけど・・・この姿のときはおねぇさんの方が嬉しいなぁ。ねぇ、あなたお名前は?」


おに・・・おねぇさんは口の両端を少しあげてサディスティックに微笑んで名前を聞いてきた。

クソッ!なんでこんなにサド笑いが似合うんだ!



「私ですか?篠田珠生と言います。」


「たまちゃんね。可愛い名前。歳は?」


「たまちゃん?19歳ですよ~。」


「あら、大学生かしら?私も大学生なのよ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?

今なんか、一瞬だけちょっと耳が遠くなったみたい。


「えっと、なんておっしゃいました?私の耳がおかしかったみたいなんで大学生と聞こえたんですけど~?」


「あら、よく聞こえてる可愛いお耳じゃない。私も大学生って言ったのよ。大学3年の21歳よ。」


最後のおまけにおねぇさんはウインクを一つバチンと私にしてきた。


「えぇ~うっそだ~。」


「うそじゃないわよ~。なんなら学生証見せましょうか?」


「見たいです!!!」


「ウフフ、いいわよ。」


ハンドバックをあけ財布をごそごそとあさると、日本最高峰の大学の内の一つの名前が書かれた学生証をみせてきた。

何この美青年。髪形が茶髪でショートカットのおねぇさんだ。

カードには目の前のおねぇさんにソックリな、ちょっとワイルドでドSくさい超絶美青年がそこにおさまっていた。

名前は・・・。


大河内仁おおこうちじん?この写真の人がおねぇさん?」


「そう、それが私。でもその姿の時はおにぃさんね。」


「なんか名前までごっついですね。てかおにぃさんとおねぇさんやってるとかせわしないですね~。K大学の法学部ってことは将来は弁護士さんですか!」


「男の時は仁って呼んで頂戴。今は、ひとみって呼んでね。う~ん、せわしないかしら?ホントは理系も考えてたんだけど、ほら理系って忙しいでしょ?女装する余裕ないと思ったから文系にしたのよね。法学部がみんな弁護士になるとはかぎらないわよ。」


「仁さんはオカマさんなんですか?」


「ズバッと聞くわね。ただ女装が好きなだけよ。オカマじゃなくてバリバリの男。」


「へぇ~へぇ~へぇ~へぇ~へぇ~へぇ~へぇ~へぇ~8へぇです。」


私は机を叩いて、人気だった某テレビ番組の真似をする。

すると仁さんは、むすっとして怒ったような表情になった。美形が怒ると怖いってのはホントだなぁ。


「8へぇって少ないじゃない。もうちょっとぐらいいってもよくない?例えば・・・そうね14、5へぇぐらい欲しいわね。ちなみに、心も体も男だからホモじゃないわよ。」


「へぇ~へぇ~10へぇ。」


「えー、採点厳しすぎない?」


「これでも譲歩しましたよ~。趣味なんだ、フ~ンぐらいな感じですよ正直。へぇ~のへの字も無いくらいです。単位がフ~ンなら12フ~ンぐらいいきましたね~おしかったですね~。」


「・・・あんまりかわってない。・・・たまちゃんはここで働いてるの?」


「ばいとですよ~、隣のこの方も私の先輩です。」


ちなみに、隣の真由美さんは未だに解凍されていないみたい。


「こんにちは。って駄目ねぇ~かたまっちゃってるわ。それよりたまちゃんは、次このバイトに来るのはいつ?」


「明後日の午後からですよ~。」


「わかったわ。明後日また来るわね。またね、たまちゃん。」


「えっあっはい?」


しゃべりたいだけしゃべって、仁さんもといひとみさんは髪をなびかせて颯爽を帰って行った。

あの人と長話してしまったせいで、何か買おうと思っていた参拝客の方々が固まってしまっている。


「みなさん大丈夫ですか~?」


私の一言に、みんなはじかれたように動き出した。夢を見てるみたい頬を染めてぼぉっとしてるか、興奮したように勢いよく彼の美貌について語っているかの2パターンだ。


真由美さんもぼぉっとして使い物にならない。いつもは頼れる本物のおねぇさんなのに。








「ちょっとぉ~!真由美さんさぼらないでくださいよぉ~!!!」










オオクニヌシノカミ様、どんだけあの人八百万の神様に愛されちゃってるんですか?


















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