居場所の消失
僕たちのクラスでは、大縄大会が行われることになった。参加は強制。 クラスの人数は32人。一人が縄を飛べば、それが一回としてカウントされる。 目標は130回。制限時間は3分間。誰かがミスをしても、最初からやり直しにはならず、回数はそのまま引き継がれる。
でも、僕はあまり乗り気じゃなかった。 もし僕がミスをしたら、みんなの足を引っ張ってしまう。そう思うと、気が重くなる。
そして大繩大会当日――僕はミスをした。 その瞬間、空気が変わった。クラスの視線が一斉に僕に向けられた。 責める言葉、冷たい態度。僕は、みんなの「邪魔者」になった。
それから、僕はいじめられるようになった。 無視、陰口、時には暴力。学校は、僕にとって恐怖の場所になった。 そして、僕は学校に行かなくなった。これは、小学生の頃の出来事。
僕の名前は――大外殻斗。 今は中学生。でも、学校には通っていない。
今、僕はオンラインゲームの世界にいる。 この世界だけが、僕に「面白い」と感じさせてくれる。 それ以外のことは、全部つまらない。無気力になる。 食事も、ただの作業。面倒くさい。でも、お腹が空くから、仕方なく食べる。
ゲームの中で、友達ができた。イロハ君。僕と同い年らしい。 彼も学校には行っていないようだ。 「学校なんて、クソしょーもないゲームだ」――彼はそう言った。 僕は、その言葉に救われた気がした。
ある日、僕たちは現実の世界で会う約束をした。 待ち合わせ場所に現れた彼は、小学校の頃に同じクラスだった生徒だった。
「あれ、大外君?」と彼は言った。 ゲームの中では“イロハ”という名前だったけれど、本名は――
決目開得君だった。
彼は、小学生の頃に僕をいじめていた張本人だった。 僕はまた傷つけられるのではないかと、心の奥で怯えた。 でも、そんなことは起こらなかった。 僕たちはゲームの話で盛り上がり、少しずつ仲を深めていった。
――しかし、後日。 彼が僕のことを毛嫌いしていたことが、はっきりとわかった。 ゲームの中でも、現実でも。僕の居場所は、どこにもなかった。
世界は、思ったよりも狭かった。 逃げ場なんて、どこにもなかった。
そして――僕は、自ら命を絶った。