冒険者ギルド
30分歩いていると街が見えてくる。橋を渡り、検問を通過し、街に入る。そのまままっすぐ進むと中央広場に出る。そこには、英雄デン王の銅像が、ガンテロンを迎える。剣を掲げ、仁王立ちをしている。とても凛々しい。ガンテロンの憧れであった。いつ見ても美しい。ここは待ち合わせの場所してよく使われる。
この銅像を奥を通ると酒場がある。手手前の道を通り、右に曲がると冒険者ギルドが見えてくる。冒険者ギルドの建物は、豪華な作りをしている。大理石の柱が扉の両サイドと建物角にある。両サイドの柱には、窪みがあり、その中に顔のが彫られている。初代冒険者フッドとギルド創設者マギルである。彼らが、ガンテロンを睨む。ガンテロンは、怯んだ。怖い。とても怖い。勇気を振り絞り、扉を開けるとそこには別世界が広がっていた。大きなホール。横一列に並んだ受付。大勢の人々。ガンテロンは、息をするのを忘れるほど、この光景に唖然とした。床には、滑らかな色をした紅色の豪華な絨毯が敷いてある。踏んでいいのだろうか。ガンテロンは、躊躇した。またもや勇気を振り絞り、足を踏み出す。人々の怒号で中はうるさかった。赤い制服(ギルドの職員だろう)をきた太った男が、大きな声で叫んでいた。
「かの有名な大富豪マズモン様から、依頼が届いた!!よく聞くように!至急ハヤブサ草を100個を集めてほしいそうだ。そして、それを市場価格の三倍で買い取ってくださる。いいか!三倍だぞ!!この依頼を受けたいものは、受付まで!!!」
彼の話が終わると冒険者たちは、我先に受付に群がった。ガンテロンは、毒付いた。
「まったくもってついてない!くそ!!」
多くいる受付係に長蛇の列が既にできていた。今から並んだら3時間はかかる。それでは夜になってしまう。ティファが待っているため、なるべく早く帰りたい。
戸惑いながらも列に並び、少しずつ前に進んだ。すると厚い皮装備を着た、女性に話しかけられた。
「あんた冒険者かい?」
白髪で髪が短い女性であった。ガンテロンは、いきなり話しかけられたので、少し吃りながら答えた。
「いや、これからなろうと思って来た。」
「やっぱそうよね。服装から違うと思った。冒険者申請は、三階の窓口でしかやってないよ」
ガンテロンは、安堵した。並ばなくて済む。
「そこ、変わって大丈夫?」
「ああ。教えてくれてありがとう。」
ガンテロンは、列を外れ、左端にある階段に向かった。階段を登り、三階に到着するとすぐ目の前に窓口があった。三階は、一階と比べて落ち着いた雰囲気だ。ガンテロンは、窓口にいるメガネをかけた老職員に話しかけた。
「あの...冒険者になりたくてきたんだが」
「えい!!! 冒険者になりたい?なりたいだって?最初に名前を名乗らんか!!この馬鹿者。マイナス10点!」
いきなり怒られたガンテロンは、困惑した。
「よく見りゃ服装もだらしない!マイナス30点!」
「え!!!」
「なんだい!もっとハキハキしゃべれ!!」
「あ。えっとガンテロンだ。いや、です。冒険者になりたくてきました!」
「ふん!そうかい。冒険者申請ってわけかい。まずは金だ。金を出しな!申請料だよ申請料!話はそれからだよ」
ガンテロンは、ポケットから袋いっぱいのお金を出した。
「あんた.... 舐めてんのかい 全然足りないよ!私の仕事舐めてんのかい!
舐めてるだろ!ええ!!昔はブイブイ言わせてた冒険者だったのに今は、狭いスペースで受け付けやってるって心の中であわれんでいるんだろ!!わかってんの!私は!!」
急にヒステリックになった。ガンテロンは、こんなはずじゃないと心の中で叫んだ。
「いや..そもそも知りませんし..あなたのこと..」
「知らない!?知らないだってあたしのこと!?どうかしてるよ!!どうかしてる!! 知るよしもない存在だってあんた言いたいのかい!マイナス100万点!」
そう大声で言うと窓口の扉を思いっきり閉めた。ガンテロンは、開いた口が塞がらなかった。冒険者になる道はどうやら閉ざされたらしい。理不尽な理由で。ガンテロンは、失意の念を抱き、冒険者ギルドを後にした。