ティファ
ガンテロンは急いで家に帰り、自分が持っている服の中で比較的綺麗な服に探した。
町外れの家。元は、馬小屋。かなり広い。汚くはあるけれど、ガンテロンにとっては贅沢な家である。ティファも気に入っているようだった。彼女は、隅っこで石を使い遊んでいた。ろくなおもちゃも買ってあげられない。それでも出会った時よりもずっと元気になり、笑顔が増えていた。ガンテロンは、この少女に出会えたことを神に感謝する。ありがとう。生きる意味ができた。人生は地獄で、死ぬことで初めて生きることができると彼は考えていた。しかし、この出会いでその考えを改めることができた。
ティファは、10歳ぐらいの少女である。鼻は、高く、鼻筋はまっすぐで鷲鼻になっていない。目は、とても珍しい緑色。御伽話に出てくるエルフを思わせる顔立ち。誰がどう見ても美少女であった。普通なら嫁にしたいところだが、ガンテロンとは、20も離れている。恋愛感情は生まれない。しかし、家族愛は生まれたのだった。
彼女がどう孤児になったかはわからない。本人は、覚えていないらしい。しかし、生まれ育った場所は覚えているというのだ。精霊大神樹の近くの村だという。ガンテロンは、行ったことがない。ティファによるとそこは、50メートルにも及ぶ木々が、立ち並んでいるという。神秘的で訪れた人は皆開いた口が塞がらないと言っていた。かつてエルフが住んでいた場所で、聖地であった。いつかティファと二人で行けるだろうか。ガンテロンは、夢を抱いた。
「どこ行くの?」
ティファが、慌ただしく着替えるガンテロンを見て聞いた。
「これから冒険者ギルドに行こうと思っているんだ。」
「冒険者ギルド?冒険者になるの?」
「そのつもりだ。お金を稼がないとね。まあ なれるかはわ からないけど。」
「冒険者って危険なんでしょ。 お金なら私稼げる!!」
ティファに気遣いされている。情けない気持ちになった。
「大丈夫、大丈夫、戦争でも生き残ったんだし、そう簡単に死にやしない。」
「でも..... いなくならないでね。絶対」
「ああ、心配するな。おまえは、俺の家族だ。今日もすぐ帰ってくるよ。」
そう言ってティファの頭を撫でた。
剣と今あるあり金全部持ち、家を出て街へ向かった。