プロローグ
シトシトと降りしきる雨の中、佇む男が独り。
傍らには朽ちた友人。
仕方がなかった。と言えば済む話なのかもしれない。
だが、男には許す事ができなかった。許す事が出来ない理由があった。
途方に暮れてから,どのくらいだったのだろうか気がつくと雨が止んでいた。静かだった世界が急にうるさくなり我に返る。するとサササと物陰から音がして「あぁ…もうダメなのかもしれないな…」と呟いた瞬間「おいおまえ。このままずっとそこにいるつもりか?」と小さな声が聞こえた。何処にも人の気配は無いし人影も無い。「何処にいる?!」と男が大きな声で怒鳴ると「まぁまぁ,そうおこるな。わたしはここだ。おーい!ここだぞおまえはなにをしている。」という声がする。どうやら見えないところに何かがいるらしい……ひょこっと現れたのは小さな小さなリスだった。「さっきから話してたのは君なのか?」の質問に対しリスは「なぁ…おまえはなぜこいつをやったんだ?」という質問をしてきた。
男はきっと誰かに何かを聞いて欲しかったのだろうか……リス相手だからいいと思ったのか分からないが,ぽつりぽつりとリスに話していた。
なにを話したかは覚えていない。リスはただ黙って男の話を聞いていた。やがて男は語り疲れたのかしばらく蹲り虚ろとしていた。
そんな男の懐を温めるようにリスは袖口から潜り込んだ。
男はその温もりに少し安心を覚えたのかすぐに眠りについた。
暗闇の世界に眩い光が差し込む。朝なのだろう、重たいからだをおこす。眠い目を擦りながら「ろくでもねぇな…」と独り呟き、友人を見る。
無い。は?え?「どこいったんだよ!!?」怒鳴り声を上げる。
すると胸元から「おはよう!ん〜、いい朝だね〜。で、朝からどうしたんだい?そんなに大きな声出して」
「うわぁっ!!」びっくりした勢いと共に胸元を何度も払った。その生き物はピョンッと飛び降りた。リスだ。何故胸元にリスが居たのかはこの際どうでもいい。それよりも友人の所在だ。
「おいお前!ここにあったモノ(?)がどこに行ったのか知らないか!?」
リスは首を傾げて「面白い事を言いますね。覚えていないのです?」




