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エピローグ

樹紋暦1662年から1677年にかけて、エルフィアーナは未曾有の経済危機に見舞われていた。かつての繁栄は遠い記憶となり、街には暗い影が覆いかぶさっていた。


中央広場。かつては活気に満ちていたその場所に、今は失業者たちが肩を落として佇んでいた。


「もう3年も仕事が見つからないんだ...」


「ああ、俺も魔法産業が衰退してから、ずっと路頭に迷ってる」


彼らの会話に、リューンの言葉が重なる。「経済サイクルの下降期には、失業率が高止まりし、社会の分断が深刻化する」


街の至る所で、閉鎖された魔法工場が目立つようになっていた。その代わりに、古い手工芸の工房が息を吹き返しつつあった。


「魔法に頼りすぎた報いだよ。やっぱり伝統的な技術が一番安定してるってことさ」


職人の言葉には、苦い経験から得た教訓が滲んでいた。


社会保障事務所の前。長蛇の列ができている。


「すみません、生活保護を申請したいのですが...」


「申し訳ありません。財政難で、もう新規受付はできないんです」


絶望的な表情で立ち去る人々。その姿に、社会システムの崩壊が如実に表れていた。


エルフィアーナ議会。保護主義的な政策を訴える政治家の声が響く。


「我々は自国第一で行くべきだ! 魔法資源の輸出を全面的に禁止し、国内産業を守るのだ!」


その主張に、多くの議員が同調する。しかし、それは国際関係の悪化を招くことになった。


「エルフィアーナが保護主義に走ったせいで、我が国の経済も大打撃だ。断交も辞さない構えで臨むべきだ」


隣国の大使の言葉に、緊張が高まる。


そして、樹紋暦1677年。リューンの三人の弟子たち、リリアナ、アレックス、トーリンが、恩師の墓前に集まっていた。


「先生、私たちは何を間違えたのでしょうか...」


リリアナの目には涙が光っていた。


「いや、間違いは俺たちにもある。先生の警告を真剣に受け止めなかった」


アレックスが重々しく言う。


「そうだな。でも、ここで立ち止まっちゃいけない。先生の遺志を継いで、新しい道を切り開くんだ」


トーリンの言葉に、三人は顔を見合わせた。


エルフィアーナ大学の一室。若い経済学者たちが熱心に議論を交わしている。


「魔法と伝統技術のバランス、そして環境への配慮。これらを組み込んだ新しい経済モデルを作る必要があります」


「そうですね。そして、リューン様の教えにもあるように、長期的な債務サイクルも考慮に入れなければ」


若者たちの目には、新たな希望の光が宿っていた。


街の再開発現場。リリアナが陣頭指揮を執っている。


「ここに、魔法と伝統が共存する新しいコミュニティを作るのよ。持続可能で、誰も取り残さない街づくりを目指すの」


その言葉に、作業員たちも気持ちを新たにする。


中央銀行。アレックスが新しい金融政策を提案している。


「魔法通貨と伝統通貨のハイブリッドシステム。これにより、急激な変動を抑制し、安定した経済成長を目指します」


役員たちは真剣な表情で耳を傾けていた。


議会。トーリンが演説台に立つ。


「我々は過去の過ちから学ばなければなりません。しかし同時に、未来への希望も持たねばなりません。新しい社会システム、それは公正で持続可能なものでなければならないのです」


その言葉に、議場から大きな拍手が沸き起こった。


エルフィアーナの夜空に、再び魔法の光が瞬き始めていた。しかし今度は、その輝きは穏やかで温かみのあるものだった。


リューンの墓前。三人の弟子たちが再び集まっている。


「先生、見ていてください。私たちは、あなたの夢を必ず実現してみせます」


彼らの表情には、固い決意と新たな希望が溢れていた。


エルフィアーナは、長い試練を乗り越え、新たな歴史の一歩を踏み出そうとしていた。それは、過去の教訓を胸に刻みつつ、より良い未来を目指す、困難だが希望に満ちた道のりの始まりだった。


(終)

ネタがなくなりました。もっと世界恐慌になってから、世界大戦を経て、立て直していく姿にしたかったのですが、文才が足りませんでした。次回はもっと挑戦したいと思っています。

今まで書いた中では一番うまくかけた気がしています。にしてもコメントがつかない。まだまだなんだろうなと思ってもいます。


次は三国志をモデルにファンタジー世界の三国志を書いてみたいと思っています。

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