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クリスマスには暖炉のそばで賛美歌を

作者: シキカン



♪きよしこの夜〜 ほしはひかり〜♪

外から子供達の歌声が聞こえる。

あぁ…もうすぐクリスマスか。私の家ではクリスマスには兄弟みんなで暖炉を囲んで賛美歌を歌っていたが、今は我が街は激戦地で故郷に帰ることすらできない。

それでも子供達にとっては待ち侘びた季節なのだろう。


雪もちらつくクリスマス当日。

サンタとは程遠い迷彩服を着た兵士が声高に叫んだ。

「今日はクリスマスだ!一時休戦だ!」

子供も大人も皆浮き足だった様子で帰路に着く。

一時的とはいえ特別な日に我が家で過ごせるのは、誰にとっても束の間の癒しだ。


家に着き薪をくべ、暖炉に灯を灯す。

母はここぞとばかりに七面鳥などを焼いて、鼻歌を歌いながら支度に取り掛かる。

全員とは行かなかったが兄弟で火を囲い、自然と皆で歌い出した。

するとその時強烈な爆発音と共に、辺り一面真っ赤に染まる。

一時休戦は嘘だった。奇襲攻撃を仕掛けるための相手側が流したニセモノだった。

そばにいた兄弟たちは誰が誰だか判別できないほど焼け焦げていた。

私の身体も燃えるように熱い。

消えゆく意識の中で『きよしこの夜』が銃弾の向こうに微かに聞こえていた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 色々タイムリーすぎてゾッとしながら読みました… 冒頭とラストの賛美歌のギャップがすごいです。 みんな休戦を喜ぶのに、争いは無くならないんですね…
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