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小学部編
「ぎゃぁぁぁぁぁあ!?」
俺はさっきまでの発熱や息苦しさを忘れて、掴んでいるモノを凝視する。髪だ僕の紫色の髪が指の間から飛び出ている。なぜだ!親父の家系からハゲることを予測して子供の頃から気を付けていたのに!?むしろ会社では上司に秘訣を聴かれるほどフサフサだった俺の黒髪が!!…………ん?紫色の髪?
「レンド様!!大丈夫ですか!!」
僕の叫び声を聞いたのか焦って入室してくる爺や。知らない人間のはずなのに安心感を感じる。可笑しな気分だ。まるで自分が自分ではないような…それに俺の名前はレンドなんて洒落た名前ではなく………。
「…思い…出せない」
体の芯から凍えるような感覚と共に視界が暗くなっていった。
〓〓〓
あれから一週間経って、やっと自分の状況が分かってきた。なぜこんなことになったのかは謎なままだが、どうやら俺は転生というやつをしたらしい。レンド=サンマルコ十歳。伯爵家の三男で魔道学園小学部の四年生だ。
「なんて何対してかわからない自己紹介をしてみたりってね…」