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伝書鳩ならぬ伝書隼?

 「で、あのレオンとかいうセシルの婚約者は家に帰ったのか。」


 今日も朝帰り、宴会好きな神獣、瑞稀である。

 今日は人間の姿で寛いでいる。

 おい、暇だな?


 「うん。いつまでもここにいるわけにいかないからね。私も次の社交シーズンは王都に滞在することになってるし。」


 今日も相変わらず図書室で仕事をしていまーす。


 「聞いてないぞ?」


 「言ってた。」


 ??

 誰かと思ったら楓だった。

 いつの間にか、そこら辺で将棋をしている。詰将棋か?


 「我は聞いておらぬ。」


 「瑞稀さまは知らなくて当然。瑞稀さまが来る前に聞いた。」


 「盗聴か?」


 「それが忍というもの。」


 「教えてくれてもよかっただろう?」


 「聞かれなかったので。」


 瑞稀と楓がポンポンと会話をしていく。

 

 楓に教えてもらえなかった瑞稀は若干拗ねているようだ。


  「王都に滞在している間はレオンさんのアズナヴール公爵家の王都の屋敷に泊めてもらうことになっているの。そして、私とノエルは魔法の勉強をする。本来ならこのくらいの年齢の貴族はもう既に魔法の練習をしていて当然なのだそうだけれど、私とノエルは見ての通り、授業で忙しくて。」


 「なるほどのう。我も魔法なら教えられるが、それは人間とは違った体系のものじゃ。それぞれの体系と比較し、使いやすいものを使うのがよい。ここしばらくは、というか、人間が技術を捨て去ってからは戦が起きておらんが、いつあってもおかしくはないぞ。自分を守る手段くらいは手にしておくがよかろう。」


 瑞稀も魔法を学ぶことには賛成、というか推奨しているらしい。私としては戦争なんて、起きなければいいとは思うけれど、備えあって憂いなし。エマール領には防衛力が著しく欠如しているから、学んでおくに越したことはない。もしかしたら、授業に取り入れられるかもしれない。気合を入れてやっていこう。


 「私も気合を入れてやるつもりだよ。向こうでは魔法以外にも社交関係の勉強もやるそうだから、少し仕事の時間が減ってしまうと思う。よって、王都へ行く前に次の教科書を完成させるつもりでやるよ。エマたちも今、懸命に対策をしているからね。」


 エマとセルジュ、イーヴは私専属の使用人たちなのだが、私もノエルも一人で平気なので、大体は図書室に放置される。授業の対策は授業を行う部屋でやっているためニアミスはない。

 そして、最近はノエルの専属たちも偶に混ざってやり方を勉強しているそうだ。


 「うむ。いいことだ。我も手伝えることはあるか?これでも博識だぞ。」


 「私も。将棋のことなら手伝う。人間たちに将棋を広めるのだ。」


 楓は兎も角、瑞稀の協力が得られるのは助かる。どこまで任せていいのかが分からないけれど。

 将棋については.........どこかのお楽しみの時間にしようか。


 「ありがとう。瑞稀は、次の教科書、国語で取り扱えるような文章が欲しいから、説明文とか物語とか、詩とか。なんかある?」


 「あぁ。本棚から探してみる。ついでに知っている文章も頭の中から書き集めてみるぞ。」


 よし。

 私が選定してばかりだと、偏りが出てよくないと思っていたんだ。


 「あと、楓は、サエラさんに手紙を出したいんだけど、どうしたらいいか分かる?」


 「うん。手紙あるなら頂戴。」


 私は楓に手紙を手渡した。

 家にあった普段使い用の封蝋で封をしてある。香とか、もっと色とかつけたらいいのにな。


 「疾風(はやて)。」


 楓が疾風というと大きな鳥が窓から入ってきた。

 (はやぶさ)か?


 「疾風が手紙を届けてくれる。かなり早いと思う。」


 「ありがとう。」


 伝書鳩、じゃないんだな。


 疾風は飛び立っていった。


 うん。

 異世界ってすごい。


 そんなこんなで、今日もお仕事頑張ろー!!


 ノエルはこちらのやりとりに目もくれず、集中して算数の教科書を執筆している。

 私もわくわく算数問題集を作成しなくては。

 そして、もっと楽しい授業にするのだ。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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