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視察 IX 妖精(仮)調査

 妖精(仮)に供える手紙にはこう書いた。


[はじめまして。私はセシルと申します。単刀直入に言うならば、私は貴方がたの技術に興味があります。私の推測ですが、人間の教会に近しい建物かそれ以上の建築物を作れる技術力をお持ちと推測します。私はこの建物を見て、地面が平らでないのに床が平らで、崩れないような対策もされていて、加えてメンテナンスも完璧で、すごいと思いました。幼稚な表現力ですが、本当に。ついては、紙にあったように、酒を差し入れます。そして、ついでと言っては何ですが、私の頭の中のアイディアを別紙に記しました。発明アイディアを一つとお酒、この二つをお供えするので、是非会っていただけないでしょうか。会って話がしたいです。私は明日にはここを発つ予定ですので、明日の朝の日の出ごろ、この建物で待ちます。会ってお話ができるのを楽しみにしています。もし、都合がつかないようなら、置き手紙を残していただけると嬉しいです。セシル]


 お酒は公爵さまにお出しする予定だったものを交渉して拝借してきた。

 きっと、とても美味しいお酒だろう。


 で、アイディアには首振りエンジンを描いた。

 漫画か何かで読んだうろ覚えだが、職人さんなら、なんかビビッと感じとってくれると期待している。ちゃんと、馬を使わない車に使えるかもと記しておいたから、大丈夫だろう。そして、他にも何か知っているかもと匂わせるような書き方をしておいた。


 手紙にも、技術についてある程度理解していることをそれとなく記しておいた。

 理解がない人に話したくないタイプの人かもしれないしね。その技術を買っているとしっかり示さないと。


 「ねぇ、その図はなに?」


 例によって首振りエンジンのうろ覚え簡易図はレオンさんに質問された。


 「どこかの本で見たことがあるものです。私じゃ手に余るので。」


 と嘘ではないが本当のことでもないことを言っておいた。

 だって、本当に、自分の中にあったって活用できないならできる人にあげたらいいと思うんだよね。


 「ふぅん。」


 納得したのかどうかは分からないが、とりあえず引いてくれた。


 そして、建物を調べると、奥の壁にダイヤルがついていた。

 おそらくこれを回して鍵を開けるとその隠し扉が開くのだろう。

 隠し扉の場所だが、おそらくは、この床のモノだろうな。

 この部分だけ床の色が異なるし、素材もしっかりとしている。

 おそらくは地下道。

 これは思った以上にすごい技術持ちだ。


 「セシル、ニマニマしているね。」


 レオンさんにほっぺを突っつかれた。


 「かわいい。」


 「??これは可愛いより、かっこいいだと思いますよ。」


 レオンさんがよく分からないや。


 「??何が?」


 何がもなにもさ、

 「こんな秘密基地感溢れる、むしろサイバー感?この探検に行くような感じはカッコいいだと思いますよ?」


 「セシルさ、この色の違う床がかっこいいの?」


 「勿論!!」


 何、当たり前のことを聞いているんだ?


 「これ、どんな風に開くのかな。下はどうなっているのかな?そういえばこれ高床式だけど....」


 私は急いで外に出て地面と床の間を見ると、


 「やっぱり......ここは地下に続いているんだ。そこだけちゃんとカバーされている。だったら、地面にくっつけちゃえば、いや、それだと地面の傾きを無くすために....えっと、建築関係の本はあまり読んでいなかったからな。」


 「セシルさ......」


 「なんです??」

 今はこの造りから目が離せないんだけど。


 「俺から離れちゃダメって言ったよね?というか、誰が床について話してたんだ??」


 「?? 最初からずっとこの建物の話してましたよね?」

 レオンさんって偶によく分からないんだよな。


 「夜に手紙とおつまみ置いておくと次の日に欲しいものに変わっているなんて、サンタさんみたいですね。サンタクロース、私、プレゼントの代わりに会いたいって書いたら面白かったかなぁ。というか、知ってしまったら貰えないんだよな。」


 サンタさんにはお酒じゃなくて、クッキーと牛乳だけどね。あの酒でよかったかな?ワインっぽい感じだったけど、ビール好きだったらどうしよう。まぁ、いいか。


 「誰がサンタという人の話をしているのかな??」


 「サンタというのは俗称です。別に特定の個人を表す用語じゃないですよ。基本的に子供の親のことですけど。」


 まぁ、薄々知った上でそれを知らないふりするのが賢い子どもなんだよな。

 地下道には重いものでも運べるような仕掛けでもあるのかな?


 「よく分からないけれど、俺から離れた件がチャラになるわけじゃないからね??」


 「なんの話でしたっけ?」


 地下道の仕組みの話じゃなかったかな?

 というか、この地下道の上部分、この床下と地面を繋ぐところは木の板で覆われているけど、これはデザインを重視しているのかな??


 「まぁ、そこがいいところ、というか、うん。あ、ノエルが戻ってきたよ。」


 「姉さん、そんなところでうずくまって何しているの?」


 「観察。」


 「そっか。で、レオンさん詳しい経緯教えて頂けますか?」


 「......あぁ。」


 地下道が動く歩道とかだと面白いな、というか、地下鉄とかは通っていないかな?

 地下で灯りってどうしているのかな?

 二酸化炭素を出すから、火は当然だめなんだけど、魔法の光??みたいなのならあり。


 「で、姉さんはこの建物に夢中と。姉さん??上から見てきた結果聞かなくていいの?」


 !?

 そうだった!!


 「ノエル!!上から見てどうだった??」


 「ここの上からじゃ見えなかったけれど、確かに山の近くあたりにそれらしきものがあったよ。でも、あれが集落なのかというと正直、どうだろう?」


 「集落らしくないの??」


 「いや、なんか、モクモクと煙が出ていて、詳しくは見えなかったけれど、建物が高かったのがわかったよ。それが人の住む環境なのかというとよく分からない。」


 煙??高い建物??

 有害なモノじゃないといいけどな。

 この世界で地球温暖化みたいのが起こるの嫌よ。せっかく綺麗な自然なんだからさ。

 でも、木を燃やすのなら炭素の循環でOKだったはず。化石燃料とかを燃やし始めたから不味いって聞いていたし。


 「姉さん??何に興奮しているのか知らないけど、今日はダメだからね?」


 「あぁ、ノエルの言う通り。セシルは手紙を書いたんだろう?それとお酒で交渉できるのかどうかそれだけだよ。今日は帰って早く寝て、明日の日の出は早いのだから、その時にここに駆けつけよう。」


 いいね?と聞かれたので大人しくはいと答えた。


 今日はカイダタ支部にお泊まりです。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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