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婚約の定義を確認せねば!!

<前回のあらすじ>

 お客さんが来るのを庭でノエルと遊びながら待っていたら、お客さんは既に到着していて、いきなり婚約を申し込まれて、気づいたらベットの上で寝ていて、実はこれは見合いを兼ねた訪問でした!?


 なんて、アニメとかでは始まるのかなぁ、と妄想しているのは現実逃避でしかない。


 婚約とは結婚の約束である、と思うのだが見合いということはその意味で間違いないのだな?


 「婚約するには年齢的にいささか早いと思うのですが.....。貴方の年齢は存じ上げませんが、私は4歳になったばかりでして、結婚なんて想像がつかないというか、まだ良く分からないんですよ、すみません。」


 取り敢えず、当たり障りなく返事をしたが、あっていただろうか?


 「知っていますよ、ちゃんと。貴方が4歳であることも、ノエルが2歳であることも。ちなみに私は6歳です。」


 「6歳?」


 大人だなぁ。

 次の年には洗礼式が控えているんだな。

 私が前世の6歳でノエルが3歳のイメージだから彼は......9歳?

 いやいや、婚約には早すぎるでしょうよ。いくら貴族社会とはいえ。

 前世、現代日本の結婚は、20代になってからが一般的、20代後半や30代もザラにいるし、珍しいことじゃない。戦後とか、もっと昔、七瀬の祖母くらいの年代なら、二十歳までに結婚していたらしいと。二十歳を過ぎたら売れ残りとか言われてたって、酷い悪口だよね。

 それにしたって法律から考えると16歳以上、前世15歳はここでの10(10)歳、つまりは13(**)歳で、男性はそれよりももっと後に結婚するはずだから、前世18歳、ここでの12(10)歳で15(**)歳......どう考えてもやはり早いと思う。


 「私は結婚適齢期を知らない上、この時期に婚約するのが貴族的に?一般的なのかわからないのですが、やはり私たちは幼すぎると思うのです。」


 「ふふっ、ハハハッ。面白いね、そんな話し方をしている人がまだ幼すぎるというのは、いくらなんでも無理があると思いますよ?」


 まぁ、ガキらしくない話し方と内容だとは思いますけどねっ!!


 「姉さん、悪い話ではないと思うよ?それとも、この人が嫌い?」


 優しく、天使のような笑顔で聞いてくるけど、無邪気すぎて怖い。目の前で嫌いかどうか聞いちゃダメじゃない?


 「いや、好きか嫌いかを判断するほど彼を知らないから、嫌いではないよ。」


 「なら、姉さんは何が嫌なの?」


 別に嫌って訳じゃない。

 まだ、嫌だと思う部分は見えてきている訳ではないから。そもそも、結婚にこだわりはないし、貴族なら家の繋がりのために結婚するのもアリだと思う。ただ、これからどんな心変わりをするかも分からないのに、こんなすぐに婚約申し込んじゃって大丈夫?とは思うけど。


 「嫌な訳じゃないよ。ちょっと慎重なだけ。貴族だから家の繋がりとか利益のために結婚するのも当然だと思うし、忌避感はないよ。ただ、いつ心変わりするかも分からないでしょ?私が急に変な成長を遂げてしまうかもしれない。それに、私は恐らく、こういう見合いでもなければ結婚なんて一生しないと思う。私は、机に座ってひたすらに文字を書く人間であることは自覚しているから、貴方としてはそれでいいのかな、と思って。貴方は、会ってすぐに婚約を申し込んだわけだけど、それで貴方は後悔しないの?」


 「私は貴方が書いた教科書も報告書も一通り読んでいる。ただ見ただけで婚約を申し込んだ訳ではありませんよ。にしても、後悔とは?」


 「私の中で公爵夫人とはイメージでしかありませんが、貴方はそのままゆけば公爵になるのでしょうから、貴方と結婚をしたのなら、私は公爵夫人となるでしょう。公爵夫人として社交なんてできないと思いますよ?たとえ、貴方が愛妾か何かを囲ったとしても、私は飾りの公爵夫人にすらなれませんよ?いいんですか?」


 私の言葉に驚いたような目を向けてくる二人。何故こうも意気投合しているのか。

 二人は大きなため息をついた。


 「社交、といっても必須な会以外は出る必要はありませんよ。その時は私と一緒なので、エマール伯爵家でのレッスン以上は必要になるかもしれませんが、うまく話ができなくても問題ありません、私がなんとでもフォローしますから。それに、貴族の家では基本的に妻の行動は夫の裁量なのです。私は貴方がずっと机にかじり付いていてもいいですし、家で茶会を開くのが無理だというのなら、それでもいいんです。公爵夫人に決まった仕事はありません。公爵夫妻で仕事が割り当てられているだけですから。もし良ければ、得意な範囲でその仕事をお願いすることはあると思いますが。」


 そっか......。

 無理に社交を頑張らなくても、いいのか。で、家で図書室でできる仕事をするなら、問題ないね。


 「うーん、ならいいですよ?まぁ、婚約といっても結婚ではないですし、私でそれが務まらなそうだったり、気が変わったりしたら、まぁ、適当に破棄しちゃってください。アズナヴール公爵家とウチとの縁はこの代でなければ絶対にダメということではなく、そろそろ縁を結び直しておく?って感じだと思うので、まぁ、大丈夫だと思います。公爵家であればたくさん縁談も来るでしょうしね。あぁ、勿論こちらから破棄したりはしませんから、大丈夫ですよ。多分、私の頭は変わらず、本でいっぱいだと思うので。浮気の心配も大丈夫ですよ。会う人間は限られてますからね。」


 私の言葉に二人は唖然としていた。本当に仲がいいね。もう、二人で遊んだ方がよくない?


 「はぁ、色々と不本意ではありますが、まずは婚約を了承してもらえたってことでいいですよ。そこからは、これから頑張るとします。時間はあることですし。ノエルもいいね?」


 「僕に異論はありませんよ。でも、姉さん?本当に大丈夫か心配になってきたよ......?婚約を適当に破棄なんてありえないからね?」


 二人は微妙な反応をした。意味わからない。何語を喋っているのかな?この国の言葉は私も理解できるはずだし、日本語も英語もちょぴっとできるんだぞ!!これか、これが、なにそれおいしいの?という感情か......。


 「別に破棄しろって言ってるのではなくて、一生ものなんだから、これからの中で違和感を覚えたときに、逃げ道があったほうがいいと思っただけだよ。」


 「なら、姉さんの逃げ道は?」


 「さっき、言ってた社交少なめ、仕事さえやれば図書館で勉強なり研究なりできる状況なら、文句はないね。」


 「そ、そう......。」


 ノエルは何かドン引きしているような......。気のせいだよね?


 「貴方の言う通り、結婚とは一生ものです。だから、少しずつでも互いを知っていくために、滞在期間は一緒に仲を深めるとしようか。心配ならノエルも居てくれていいよ?家族とも付き合いは多いはずだからね。」


 「はい...。その期間に予定は入れてませんから、問題はありません。」


 「僕も勿論構いません。その際の無作法は見逃していただけるとありがたいです。」


 「なら、決定だな。それと、エマール嬢、ノエルにもゆるしているし、私の婚約者なのだから、レオンと呼んでほしいね。」


 え??

 レオン、か...。いや、歳上+身分上だし、"さん"かな?"さま"かな?

 取り敢えず、レオンさまで問題なかろう。


 「なら、よろしくお願いしますレオンさま。私のことはセシルと呼んでください。」


 「なら、セシル、流石に様付けは気が抜けなくて困る。精々、"さん"くらいにしておいてくれ。」


 「よろしくお願いします、レオンさん。」


 「こちらこそ。今日はもう疲れただろう。ゆっくり休んで。ではまた明日、セシル。」


 レオンさんは私の頭を撫でて去っていった。


 「姉さん、僕も今日はレオンさんに付き添うから、おやすみ。」


 「おやすみ、ノエル。」


 ノエルが扉から出て、扉が閉まった。

 今日は疲れた、もう寝る。

秒数で計算すると、地球の1年半が異世界の1年に相当するので、セシルの予測は意外と正確。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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