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セシル4歳・ノエル2歳

 お久しぶりです。セシルです。

 放送で授業を行うようになってからしばらく経ちました。

 もうそろそろ、作ってあった教科書も終わる頃です。


 授業はノエルが1歳になった辺りで始まりましたので、1年ほど行っていることとなります。

 私は4歳になりました。

 主観ですけれど、ここら辺の4歳は前世・地球の6歳から7歳に相当すると思うんです。

 個人による偏った主観ですけどね?

 だから、私は感覚的に6歳だし、ノエルは3歳くらいだと感じています。


 この1年ほどの変化を申し上げますと、ノエルの進化が挙げられます。

 はい、成長ではありません、進化です。

 今では、ノエルは立派な私の助手のようになっていて、ノエルが居なければ、恐らく私は何度か死んでいます。過労死です。ノエルは授業中にちょうどよく合いの手を入れてくれるだけでなく、算数 II の教科書や問題集の作成も行っていて、現在、私を除くと最も算数ができる人です。私も異世界数の計算なら負けます。仕方ありません、前世の感覚が抜けないんですから。この間も、割り切るまで少数で計算していく割り算を、異世界数に対応させたのはノエルだし、最近では平均その他代表値を扱い、方程式をスラスラ解いて、文字の扱い方を教えているところで、そろそろ因数分解始めるんじゃないかとヒヤヒヤしています。私、こんなできる子じゃなかったよ?それに加えて、無意識に魔法まで発動させるだなんて、ノエルにいくつ才能詰めたら気が済むのさ、と思いますよ。流石に。器用貧乏でなく、オールマイティ。それでもってまだ2歳なんだから末恐ろしい。

 ノエルの偉業といえば、メモリの作成です。私が、こんなのがあるといいんだけど、と呟いた後、女神の固有能力だった長さやその他水の量などの測定をノエルが彼らと協力して誰でもできるように落とし込んだのです。とはいえ、能力者ほど正確に測れないので、彼らの仕事は減りませんが、便宜上、授業で扱いやすくなったのはよかったです。



 教科書の終了が目前に迫り、新しい教科書がやっと完成しました。

 苦労したよ。

 本当に、苦労した。

 科目数を一気に増やしたので、かなり辛かったのですが、ノエルがいくつかを受け持ってくれたので、なんとか終わらせることができました。

 一時過労気味ではあったけれど、それに加えて、何故か報告書という仕事が増えたりしたけれど、何とか、終わらせた。本当に、なんで、あの報告書を書くはめになったんだか。はぁ。


 ちなみに、1冊目の内容は勉強済みのエマやセルジュがその内容の講師をしてくれるそうで、今年よりは少ないだろうが、受講する人はかなりいる模様。時間をずらして同様に教会でやるみたいだ。

 

 新規の内容はまた私とノエルで担当するので、まぁ、変わらないといえば変わらないのだが、テストの結果分析をできるのが私とノエルだけなので、きっとそれも仕事は減らない、というか増えるのだろう。


 あ、特筆すべきことが一つ。

 鉛筆と消しゴムの製造に成功しました!!ヤッタネ!!

 これで、これからの大量計算にも耐えることができるでしょう。

 一個まちがえたからって筆算書き直しとか地獄だもんね。

 というか、これでテストも丸付けがしやすくなるってもんだ。

 ちゃんと間違えたら消せよ!!


 コンパスも作ったので、図形の授業では活用できそう。

 黒板用の定規・コンパス・三角定規も完成済みだ。

 私は密かに練習を重ねている。


 私の髪型にも少し変化が。

 髪の量が多くなってきたので、大量に減らして、ほそく一つに束ねられるように。

 サイドの髪を短くして、センター分けだが前髪っぽくした。

 格好良さが増したならいいけど?

 並んでいると兄弟みたいに見えるそう。嬉しいねぇ。




 そんなこんなで多忙な毎日を過ごしておりましたが......


 「セシル、ノエル。今度、アズナヴール公爵家の公爵と長男がこの屋敷を訪れるそうだから、準備をしておきなさい、といっても、ちょっとマナーを確認しておいてね、という程度。でも、来るってことは覚えておいてね。ビックリして、誰?とか言っちゃったら困るから。」


 お父さまの爆弾発言により、日常は粉々に破壊されました。

 まぁ、その日さえ凌げればいいのだろうけれど、お偉いさんが来て、仕事が通常通りにできるはずがない。

 つまり、仕事の計画が狂う。

 私は計画をして計画通りに仕事をするなんてできないけれど、うちの天才ノエルさまはちゃんと私の力量や容量を見て計画を立てて、その通りに進めたり、セーブしたり、修正したりをしてくださるから、実は、かなり大事なことなんだ。

 誕生日プレゼントに手作りのカレンダー付き手帳を贈ったらよろこでもらえたなぁ。頑張って真っ直ぐに線を引いて、製本してもらったもの。使ってもらえるって嬉しい。


 「え??何の話?というかいつ??今、というか年中立て込んでいるから仕事の調節とか、ノエルがしないと...へ?嘘?」


 という、のが当たり前の感想だと思う。我ながら、真っ当なことを言っているわ。


 「姉さん、何とか調整するから。とはいえ、父上?流石に1日中拘束とかは流石に無理ですよ?」


 ノエルは私を励ましつつ、お父さまに期間を尋ねた。

 そうね、そこ大事!!


 「いや、滞在は7日で時間は3日ほど空けてほしいそうだ。」


 「「はぁ?嘘でしょ?」」

 「いやいや、それは流石にないわー。まじでないわー。」

 我ながら語彙力のカケラも品位のかけらもないわー。


 「はぁ。わかりました。公爵家のことですし、仕方がありません。では、その訪問のある直前と直後の授業は僕と姉さん以外が講師をするということで。そんなに時間を取られたら、授業の準備をする時間がありません。」


 私とノエルは授業を休む、というかボイコットするということ?


 「いやいや、それは困るって。ウチには授業なんてできる人材いないよ?」


 「これまで頼りきりだった其方が悪い。何より、次からはそちらから講師も出すんですよ?2度くらい耐えられなくてどうします?テストは使い回しでも何でもいいですから。復習か何かで間くらい持たせてください。フルで授業をしろとは言いませんから。」


 ノエルの言い方が厳しいような?でも、確かに、そろそろできてもらわないと困るんだよな。私だって全く経験ないところで授業をしたわけだし、見切り発車も悪くないと思うけどなぁ。奔放とも言われちゃうんだけどね。

 うーん...新しいテストくらいは作っておくか?数独とか?


 「いや、確かにそうだけれど......。」


 「何事も経験ですよ。やってみたら、実はそこまで難しくなかった、なんてよくある話ではありませんか。」


 案ずるより産むが易しってね。

 この諺以外と合ってたりするんだよな。あとは、喉元過ぎれば熱さを忘れるとかね。

 ノエルの顔は見えないけれど、励ますなんて、相変わらず、優しいなぁ。

 きついことをわざと言って突き放すとか、なかなかできることではないよね。


 「まぁ。そうだねぇ。」


 「では、そういうことで。よろしくお願いしますね、父上?」


 こうして、公爵家訪問の直前直後の授業は無くなった。

 私の仕事はちょっとだけ楽になったのだった。


 「姉さん、同情してテストを追加で作ったりしなくていいからね?」

 あら?バレてたかな?

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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