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ふざけた仕様について

 こんにちは。七瀬です。


 転生した先ではセシリア・フォン・エマールという名前を頂きました。愛称はセシルです。確か"フォン"というのは貴族がよく使っていたから貴族かお金持ちの家かなと思っております。


 その証拠に、よく面倒見てくれている人は執事服を着ている壮年のイケメンダンディだったりメイド服を着た可愛らしい侍女さんだったり、庭師っぽい、紐?ベルト?がジーパンからくっついている感じの服(訳:オーバーオール by.作者)を着た気安くて話しかけやすい陽気な兄ちゃんで、よく"お嬢様"的なことを言っている気がする。父母と思しき人たちも優しくて呼びかけると笑顔で撫でてくれたりハグしてくれたりする。その時の雰囲気から、かなりいい感じのお家じゃん?って思った。従業員も萎縮してないし、私の両親はかなりの人格者だと思われます。そんな人に私もなるさ!


 転生して1歳と半年くらいかな?になりました。

 しばらく前に1歳の誕生日やったのでそんなもんかな?と思っています。


 生まれて間もなく全く理解できなかった言葉も理解できるようになってきたこの頃、まだ自分の手には見慣れません。因みに、足の指も当然7本でした。

 観察してみると親指と人差し指の間に人差し指がもう一本、小指と薬指の間に薬指がもう一本生えているような感じです。

 いつだったか昔、ゲーム好きの子があと一本立体的な感じで指生えないかなとか言っているのを思い出しました。

 ハッ!残念だったな!

 +2本生えても立体的ではなかったぜ。


 なんとか話せるようになって(努力せずともなんか分かるようになった。赤ちゃんパワー?)聞き取れるようにもなったので聞いてみた。


 「にんげんのゆびは(ぐー)ほんじゃないの?」


 私にとっての最も大きな疑問だ。

 しかし、周りにいた人たちには笑われてしまった。


 「??人間の指は皆、7(ナー)本ですよ。」

 「5(グー)本?なんでそんなに中途半端な数字なんだ?」


 にんげん ゆび   (なー)   

 (ぐー)   なぜ   ちゅうとはんぱ  かず


 現在面倒を見てくれている、侍女のお姉ちゃんと兄ちゃんが答えてくれたが。


 はぁ?

"7"の方が中途半端でしょうに。

5は倍にしたら10になるんですよ!位が変わるんですよ?

10倍したら"0"が1つ増える、常識でしょ?


 「なんで?なんで、にんげんのゆびは7(なー)ほんなの?」


 幼児だから許される"なんで"攻撃。

 いや、まじでなんでよ?

 これは幼児でなくても許されるでしょ。


 「7(ナー)というのは特別な数字なのですよ。」


 7(なー) とくべつ?   かず?


 侍女さんが教えてくれたが、それでは要領を得ない。

 確かに7は素数だから特別といえば特別だが。

 二次方程式で出た暁にはルートになってしまわれる数で、平々凡々と言わざるを得ないが。


 「7(ナー)にまつわることには神様から祝福があるのです。人間はその証として7(ナー)本の指を頂いた。とても喜ばしい、誇るべきことなのです。」


 7(なー) かみ さま    おいわい?   にんげん  あかし   7(なー) ほん   ゆび   もらった?  うれしい  ほこり?


 壮年の執事さんが優しく教えてくれた。


 ........

 なんだと!?

 神話的なそんな話なのか?

 いや、私は7本の指を誇れない。

 私の指は5本だったんだー!


 「そういや、嬢に7(ナー)より大きな数字教えたことなかったな。よし!俺が教えてやろう。」


 確かに、そういえば!!

 これは覚えるぞ〜!

 久々の数字だ。


 幼児の熱意に若干引いたらしい兄ちゃんだったが教えてくれた。


1(イー) 2(ヌー) 3(サッロ) 4(シュー) 5(グー) 6(ルック) 7(ナー) 11(イーショウイー) 12(イーショウヌー) 13(イーショウサッロ) 14(イーショウシュー) 15(イーショウグー) 16(イーショウルック) 17(イーショウナー) だ。どうだ?まぁ、一度じゃ無理だろうから、もう一度な。」


 既に、謎。

 14までなのは両手の指の本数が14本(7+7)だからかな?

 なんか8あたりからめっちゃ長いんだけど。


 兄ちゃんがまた数え始めた。

 もう一度ちゃんと聞くぞ。


 1  が  イー

 2  が  ヌー

 3  が  サッロ

 4  が  シュー

 5  が  グー

 6  が  ルック

 7  が  ナー


 ここまではいい。

 ここからだ。

 注意深く聞き取ると、


 8   が  イーショウイー

 9   が  イーショウヌー

 10  が  イーショウサッロ

 11  が  イーショウシュー

 12  が  イーショウグー

 13  が  イーショウルック

 14  が  イーショウナー


 !?

 なんか、すっごく嫌な予感がしてきたんだけど。


 8以降は頭に"イーショウ"がついていてその後に1~7が繰り返されている。

 ということは、位が変わってるとか?

 "イー"とは1のことだから"ショウ"は位のこと?


 10でひとまとまりとして次の位にいく数を確か"十進数"と言ったはず。

 基本的に、多くの国で、いや、世界的に十進数だったはず。

 コンピュータはON/OFFで二進数、発展させて十六進数(0~9+A~F)だったはず。

 

 ってことはよりによって七進数?

 計算とか、面倒臭いにも程があるでしょ。

 数字によっては読み間違えて勘違いとか!?


 ふ ・ ざ ・ け ・ る ・ な!!


 阿呆か!?

 情報科のテストや数学のテストで二進数に変換するのがどれだけ面倒だったか。

 人生終わったと言っても過言じゃない。


 「お嬢?大丈夫か?なんか、めっちゃ落ち込んでるけど。」


 さっきまで14(イーショウナー)まで教えてくれてた兄ちゃんが心配してる。


 大丈夫なわけあるか!

 人生が終わりかけてるんだぞ!?


 7を信仰するのは構わない。

 私は人の信仰をどうこう言う気はないんだ。

 それが世界規模でも、人それぞれ好きなものを信仰すればいい。

 だが、頼むから、指は5本であってくれ。

 数は十進数であってくれよ。

 頼むからさ。


 泣きたいよぉ。


 そこでふと思った。


 「おや、泣き止んだ?」


 兄ちゃんがなんか言ってるけど、なんも聞こえない。


 七進数と言うのなら7は10ではないか??


 整数をnとするとN進数の数字は

  n(N)

 と表したはず。


 例えば

1(10) = 1(2)

 2(10) = 10(2)

3(10) = 11(2)

4(10) = 100(2)

 といった感じで十進数と二進数を変換していた。


 だから、(前世の)数学的には

 6(10) = 6(7)

7(10) = 10(7)

8(10) = 11(7)

 ってなるはずなんだ。


 そう。

 6も8もいいんだ。

 7ってどうしたの?

 まぁ、異世界だから?違うってことでもいいんだけど、これは0が発見されてないのでは?

7が0の代わりをしているとしても、7(10)が17(7*)ではなく7(**)だったら、0をどう表すんだってことだよね。

 (7*)…七進数で0を"7"と表記する

(**)…異世界数字表記


 あぁ、自分で言ってて訳がわからなくなってきた。末期だ。


 この世界で生きていくことに絶望しつつあるよ、まったく。


 もう、今日は考えるのやめた。

 面倒見てくれる兄ちゃんも執事さんもお姉ちゃんも放置して、もう、寝よう。


 諸君、おやすみ。


 以上、七瀬改め、セシリア・フォン・エマール、通称セシルでした。

<数字について補足>


*N進数について

右端から

Nの0乗の位

Nの1乗の位

Nの2乗の位......

と続いていてN(10) = 10(N)と表されます。

因みに

100(7) = 49(10)です。



*異世界での数(以降、異世界数とする)について

 数字の読みは日本語を変な風に改変してあります。

1 イー (いち)

2 ヌー (に)

3 サッロ (さん)

4 シュー (し)

5 グー (ご)

6 ルック (ろく)

7 ナー (なな)

 異世界数字はもちろん違いますが便宜上同じ意味として上のように置き換えています。

 本文で主人公が気づいた通り七進数とも一味違います。


異世界数(**)で大きな数を表す時は英語と似たような表記になる。

7,777(**) = 11110(7) = 2,800(10)

10110(7) = 2,457(10)

7,777(**) ナーコウナーダイナーショウナー (= ナー甲/ナー大・ナー小・ナー)

一の位はなし

十の位はショウ(小)

百の位はダイ(大)

千の位(=サウザンド/thousand)はコウ(甲)

因みにそれ以降は

コンマ(,)ごとに甲乙丙…と続く予定。


異世界に漢字・十干は存在せず、大きいを指す言葉もダイではないので頭の中で変換はされていないだろう。



尚、異世界数は登場させるつもりだったが、異世界数がこんなに面倒になるとは思ってもいなかった。

こっちも助けて欲しい。

主人公が絶望するのも当然だと思います。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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