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初日の終わり

リゼ, トーリ, サクサ 

サロメ男爵令嬢の基礎的な国語・算数の指導を任された

次年度からは領内の子ども(まだ授業に参加していない)の授業担当になる


サロメ男爵令嬢

セシルが教育を任された令嬢

将来的に王家のいいように使うために適当に教育しろとセシルに投げた

 コンコン


 「入ってください」


 リゼ、トーリ、サクサの3人が入室した。

 どうやら動きが堅いようにもみえる。畏怖か?……そこまで会話の回数の頻度が低かったようにも思えないが、最近は決まった人としかコミュニケーションが取れていない。それが原因かもしれない。


 「本日はお疲れさまでした」


 「……」


 「早速、本日の報告を聞きましょう。サロメさんはいかがでしたか」


 3人のうちで予め決めていたのか、サクサが話し出した。


 「はい。とても理解能力が高く、学習スピードが我々に比べて早いように感じました。読み書きはすでにマスターしてますし、語彙は我々の知識量を遥に凌駕するようで、むしろこちらが意味を汲み取れず、迷惑をかけたように思います。一方で算数は、当初の我々と同様に、数字が書けるのみで、計算はまだまだ苦労しそうです。教科書を見て、理解しつつも、困惑しているようでした。以上がサロメ男爵令嬢の本日の報告となります。」


 定型文、というか予め考えてきたようだ。

 うん、まあ内容は及第点。事前に準備してきたのも高評価。


 でもこれは……初めてにしては出来すぎてる。

 この場合はエマとセルジュに加点だな。まあ、ちゃんとやってきた彼らにも加点はするけどさ。


 エマ  +2  後進教育

 セルジュ   +2  後進教育

 リゼ, トーリ, サクサ  +1  報告


 まあ、意思疎通における語彙の問題は、サロメさんにもある。

 新たな語彙を覚えることは大事なことだけれど、相手に合わせた語彙で話すことも同じくらい重要なのだ。


 ということは、これも教育内容に入れておかなければならない。


 「じゃあさ、サロメさんが3人にわからない言葉を話したとき、どう対応するのがいいと思うか、1人ずつ聞いてみよっか」


 「ええと、私たちも、語彙を増やすってことだと思います。わからないときは、話を止めて聞こうと思います。」


 ふん、リゼはそういう考えだね。


 「俺も、語彙を増やします。ただ、わからないからといって話を止めるのは失礼だと思うので、後で自分で調べます」


 トーリはそう考えるのね。個人的にはこのケースではNGかな。

 たしかに、うちでは辞書も普及しつつあるけど、だからといって相手の話をわからないままに流すのはNGだと思う。

 適当に返事をするってことなの?それで誤解が生まれる方が私は怖いけどな。


 「我々の語彙の強化を最優先にします。もし、わからないことが出てきたのならば、それは我々の不備。」


 サクサもこう考えるのか。

 ふむ。ちょっと気に入らないな。『わからないやつの自己責任』とか『わからないやつが悪い』って考え方は、自分に対して使うなら、自分のやる気に発破をかけられるけれど、教育者という立場でその考えはよくない、と私は思う。

 トーリの言葉の端々にもそういう考えが見て取れる。思ったより、重症かも。


 「なるほどね。」


 ここら辺の意識も変えていかないとかな。

 遅くとも、教壇に立つ前に。

 ただ、そのまま教えるのはナンセンス。きっと、言ったところで本当の意味で理解はしないから、この問題は一次的に先送りにしよう。


 ただ、意思疎通がうまくいかないと困るから……


 「こういう(ことわざ)がある。ああ、諺っていうのは、教訓、言い伝え、そんなものね。で、その諺はこういうんだ。『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』どういう意味かわかるかい、トーリ?」


 「……?わかりません」


 「わからないことを聞くっていうのは、恥ずかしいことなのかもしれない。けれどね、その一回の恥ずかしいを避けたばかりに、一生、ずっと、その言葉の意味を知らずにいてもっと恥ずかしい、って意味だ。人に物事を尋ねることに恥があるのなら、それは今すぐ捨てた方がいい。いらないプライド、自尊心だと私は考える。君らは、"授業"が始まるまで、算数なんてわからなかった。皆、知らない、わからないことから始まるんだ。それを解決するために人に聞くというのは立派な手段だ。なんとなくわからない言葉を流して、適当な返事をする、それこそ一生の恥だよ」


 「っ、話を止めるのは失礼じゃないんですか」


 「相手の言葉を理解しないまま会話を継続、つまり適当にこたえることのほうが余程失礼だと私は思うな。そうだな、君らはもっと自分の言葉に責任をもちなさい。言葉というのは魂が乗るんだ。言霊という言葉は知らないかもしれないが……。今はわからなくても、必ず理解しなさい。これは誰にでもいえることです」


 これは、わかってなさそうだな?

 一応、表面的に、質問しろってことは伝わっただろうから、今はこれでよしとする。


 「今日はこれで終わり。君ら自身については報告書にまとめたな? そこに提出して。明日までに返すから、明日のために英気を養いなさい」


 そういうと、3人は報告書を提出して部屋を出ていった。


 「ふぅーーーーーーーーー」


 人を育ってるというのもままならないな

大変お待たせいたしました


試験についてですが、まだ結果が分からないもの、残念な結果に終わったものと様々ありますが、最低限1つは合格することができましたので、また投稿を再開します。

頻度は今まで通りといきたいところですが、まだ分からないので、最低月1(毎月1日)で、余裕がある場合は11日, 21日, 31日も投稿したいと考えています。

本当に長らくお待たせいたしました。

こんなにもお休みしたのに読んでくださって本当に嬉しいです。

ありがとうございます。

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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