痙攣が止まらない
「それで、この人はなんなんですか? 無駄に怖がられて傷ついてますよ、私。」
面倒くささとその他色々で、王女殿下への言葉遣いも心なしか雑になる。
「おおおおおお、王女殿下!?」
引き続き、地べたに座ってブルブルと震えている生物。
「私も怖がられてますし、セシルさんが特別怖がられてるってわけでも……」
「殿下は兎も角、私、怖がられる要素もってませんよ。」
この不思議生物……ここにいるからにはエナム王国の貴族子女なのだろう。
「十分、威圧感ありますよ。それに、セシルさんは多くの方から畏怖される人ですし。」
初耳ですが。
「その顔、自覚なしですね。安心してください、決して悪い感情ではありませんよ。ただ、仕事の都合上、あまり皆さんの前に顔を出さないですから、たまのオリエンテーションの時に、みなさん緊張してらっしゃいますよ。」
聞いていないのだけど。
『この情報、ホント?』
『あの王女がお主に嘘つくメリットもないだろうな。』
『だよね〜』
そういう調査はしてなかったから、盲点だったわ。
「彼女は、我が国のジョアンヴィル男爵家の令嬢、サロメ=フォン=ジョアンヴィル殿です。」
「……初対面ではないのですか。」
「初対面ですよ。ただ、我が国の貴族の顔と名前は把握しているだけです。」
うわ、キモ。
いや、キモは失礼だな。
彼女も努力してるし。
ただ、怖い。そう、把握されてしまっている感じがなんというか怖い。
「わわわわ、わたkし、なnかsssそそ粗相、stmあいましたa?? 」
何言ってるかわからん。
「特に何もしていないわ。」
え、何言ってるかわかったの?
「gggg拷問とか...うちは、貧しいので、食べ物も宝石も服もそんなにありませんし…悪いことはしてない、はずです。」
「多分て……そこは自信持ちなよ。」
呆れて口に出してしまった。
「……セシルさんだんだん会話が面倒になってきてません?」
気のせいですよ、王女殿下……。
「……質素にちゃんと生活してらっしゃるのは事前の調査でわかってます。領民に対する配慮もしっかりと。」
まあ、普通ってことね。
「セシルさん、普通って思ってませんか?」
ビクッ
この人、エスパーか!?
「残念なことに、しっかり領民に配慮している貴族は少ないものです。最低限の配慮というのも、あなた方からしたら相当程度の低いものです。そんな中、ちゃんとしてる、これは優良です。」
「……罷免は、無理か。」
「はい、これらをいちいち罰していたら、逆に王家が反感をかいすぎます。」
「ふうん。面倒ですね。」
だから、社交界だ政治だは嫌なんだ。
「……だから、彼女から引き込もうと思って。」
「王家から通達すればいいじゃないですか。わざわざ、この痙攣してるチワワみたいな人を建物裏に連れ出す必要はなかったんじゃないですか。」
面倒。
あんまり姿を消し続けていたら、怪しまれない?
「王家からいち男爵家に肩入れするのは彼らにとっても良くないでしょう?」
「面倒……Part 2」
「ななんあなな、な何に協力させられるのですか」
「家に援助もしましょう。是非とも、王家に協力してもらえませんか? あなたの強い警戒心を生かすお仕事をしてもらいたいのです。」
王女殿下はにっこりと笑った。
現在「カクヨム」の方で短期集中で中編くらいの小説を書いていて、更新が遅くなっています。
4月末には更新が再開されると思います。
もうしばらくお待ちください。




