閑話 ルーさん
すみません!
本編が間に合わなかった……
従って、少し遅いのですが、100ptありがとう記念として閑話を投稿します。
文字数少ないのですが、楽しんでいただけると幸いです。
留学中の話を掲載します
ドワーフの街での留学も、もう3ヶ月ほど経つ。
私は、日々新しいことを学習しながら、体を動かし、頭を動かし、議論を続ける、新鮮で充足な毎日を送っている。
私は5(**)歳、地球の年齢に換算しても、せいぜい7~8歳だろう。
その年齢の子どもに課せられるにはいささかキツいであろう訓練も課されている。とはいうものの、体にとって無理で害悪となる訓練はあらかじめ省かれるので弱音を吐くことなどできないが。
このように、初めてのこと、学習、といったインプットまみれの留学だが、完全にそれだけではない。
ノエルに授業を任せたとはいえ、教材の作成やカリキュラムの策定は未だ私の仕事である。
「んーー。」
現在、私の頭を悩ませているのは、固有能力に関する新しい発見とそれの普及である。
ここでは固有能力を複数所持することが当たり前であり、つい最近の発見により、それを使いやすいように個々に調整することが可能であることが明らかになった。
「ディスプレイがある以上、全員が音声・ビデオ通話機能を所持してくれたら、私の授業構想も捗るんだが、全員に持たせるにはディスプレイは兎も角、固有能力の方は回らない。」
コツコツとチョークで黒板を叩きながら、思考していた。
「すると、やっぱり何人かはというか、ある程度のチューニング能力を皆にもってもらわないと。」
「もってもらうんじゃダメなんですか? 」
悩んでいるとひょこっと顔を出した小さな子がそう尋ねた。
研究所で働く、優秀な研究員である。
私よりも幼くみえるが、エルフなので人間の大人よりも年上である。
「ルーさん? ……はい、その、皆さんに知識を共有したのと違って、下地が違いますから。最低限の論理的思考力とアルファベットの記述、そのほか色々を学んでもらわないといけなくて。」
「そこまで引き上げるのが大変? 」
「そうですね。 けど、それが私の仕事でしたね。」
そう私は気合を入れ直した。
そうだ、直接教えられないのなら、そのレベルまで引き上げるしか無いのだと。必要な問題点を一つ一つ分解して、ゆっくりと、じっくりと鍛えていくしか無いのだと。
「まあ、時間がかかりますけど、それは覚悟の上ということで。」
「頼もしいね。……あまり力になれないけど、うちの教育統括に話をしてみようか? 」
こちらの基準までの教育に必要なことを聞けるのは確かにその道への一歩である。
「ありがとうございます。お言葉に甘えます。」
「うん、どんどん甘えてくださいな。」
次は本編間に合いますように……




