所詮、コミュ障なので。
社交界編スタート!!
やっと貴族らしいことします。
王都に着いて早々に洗礼式を行い、洗礼式では女神に査定され、それのせいで国王たちに色々疑われ…息をつく暇も無い怒涛の日々ー。
洗礼式の事後処理も終わって、やっと休めるーーーそう思っていたこともありました。
そんな上手い話はなかったよね。
セシリア・フォン・エマール、疲れているのでしょうか、思考が甘すぎますよ。
…とはいうものの、別になにもなくても仕事はあるんですよ?
だからさ、別になにもなくていいんですよ?
そもそも、人手不足なんだしさ。
正直、そうやって連れてこられた茶会で愛想振りまく理由がない…はずなんだが。
「本日はお話しできて光栄でございました、エミリエンヌ王女殿下。」
「いえ、こちらこそ実りあるお話ができて光栄ですわ。」
私の右斜め前では第一王女殿下が貴族のおっさんと握手してる。
去り際に私は静かに礼をして、おっさんを見送った。
「セシルさん、今の方はどうでしたか?」
王女殿下が私に目を向けず周囲に聞こえないようにこっそり尋ねた。
「…特には。まぁ、野心のある方だなぁというくらいです。」
私も周りに気を遣いながら静かに応えた。
なんでこんなことになった?
洗礼式を終えて、国王陛下らに弁明して、懇意にしている家の貴族たちに固有能力をインストールさせて、そんなときに、セシリア・フォン・エマールとしてではなく、どっかから湧いて出てきた人物(名前は忘れた)として王女の付き人をやるように命じられたのだった。どうやら、貴族の中に怪しい動きがあるらしくて、それについて調査することと王女殿下のサポートをすること、それが私の仕事らしい。
「けどさ、社交界で私が役に立つ訳ないよね?適材適所って知ってる?」
といったことをオブラートに包んで申し上げたのだが、受け入れてもらえず、変装してこの場に立っている。魔法は使っていない。
一般参加させられるなら、適当に隅っこで突っ立ってやり過ごそうと思ってたのにも関わらず、王女殿下の付き人として園遊会に参加なんて、面倒極まりない。
「そうですか。提案内容については?」
第一王女殿下は15(**)歳=12(10)歳。地球の年齢に換算すると16歳くらいであるから、ここだと結婚適齢期に入り始めたというところ。
「…そういうのは専門外ですが。簡単に計算しただけなので…確かとはいえませんが、費用対効果…コスパ…なんていったらいいかな…労力と得られる対価が見合わないように思えます。少なくとも、問題点の洗い出しと計画の精査くらいはしないと話になりません。」
「…確かにこの場では簡単な話になるでしょうけど、計画書を見るまではなんともいえないということですか。」
王女殿下はそう言ってため息をついた。
めんどくさい、もう帰りたいんだけど。
「…セシリアさんは話したい人とかいないの?ずっと私のお守りでは退屈でしょう?」
殿下はそう気を遣ってくれた。
はい、めっちゃ退屈だし疲れてきたから帰りたいです、というわ訳にもいかない。
「…退屈ですが、私に気を遣う必要はありません。一応、仕事ですし、別に話したい人とかもいませんし。」
私はオブラートに包んでそう言った。
「そう?家に帰りたい以外だったらなるだけ応えてあげたいんだけど。」
それを聞いて、やっぱり帰れないのかと落胆した。
「……いや、いいです。ここから離れたくないです。…所詮、コミュ障なので。」
「"こみゅしょう"??」
「いえ、こちらの話です。」
王女殿下に近づいてくる人がいる。
私はまた適度に耳を傾けるのだった。
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