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留学中の過ごし方。

 現在、留学して1ヶ月ほどが経過した。

 意外と落ち着いてきていて、生活スタイルも定まってきた。

 少し、戸惑っていることがあるとすれば、滞在していた宿が建て直しになったこと。

 すぐに別の建物に移動となった。

 おそらくその建物も1ヶ月後には建て直しだろう。



 私が現在取り組んでいることを挙げてみる。


・研究室に通って政治や経済などの苦手分野を学習する。

・エイキンスキャルディに関する手記を読んで固有能力の最適化の方法を探る。

・研究室で前世の話をしてアイディアを提供する。

・固有能力のチューニング依頼を受ける。

・新しい固有能力の利用法を考える。

・亜人に関する知識を増やす。

・運動として弓術と基礎体力を鍛える。



 意外にも、たくさんのことをしている。

 瑞稀はいつも側にいてくれてオーバーワークにならないように見張り、限界に達する前に強制的に休息を取らせる。

 実はノっているときに強制的に休まされるとイラッとしているが、感謝しているので黙っておく。



 そういえば、最近知ったことだが、エイキンスキャルディによれば、カステーンにある軍事施設には完全な測定装置があるそうでそれを利用することでより利用しやすい固有能力へのチューンナップが可能になるそうだが、そのカステーンとは、現在のカステン辺境伯領のことらしい。

 カステン辺境伯家とエマール伯爵家は意外と仲良しで、授業も提供しているから間違いない。

 多忙ゆえに時間を取ることは至難の業だろうが、仲良しならば訪問するのも問題あるまい。

 どこで何が生きてくるのか分からないものだと思った。



 運動として弓術をやらされているのだが、私は弓術を選んだ理由が1人でも割と練習できるからなんじゃないかと疑っている。というのも、朝からランニングをして、終わってからずっと弓を射続けるのが習慣になりつつあるからだ。これ、留学終了後も続けているのではないかな。



 疑っていた訳ではないが、転生者がいると新しい固有能力が生まれやすいというのは事実のようで、ちょいちょい新しい(記録にない)固有能力が発現している。


 例えば"Room"という固有能力は共同作業を可能とするプラットホーム(Room)を作成する機能をもつ。

 それ単体でできることも当然多いが、他の能力と連携したときに真価を発揮するだろう。


 例えば、現在"ドキュメント"という固有能力は既知のものだが、これは某地球にある有名な会社が出しているOfficeの私の中での三種の神器である Word, Power Point, Excel のうちの1つである。他の社でも似たようなアプリを出しているが、日本の会社ではやはりOfficeを使っているところが多かったんじゃないか、と思う。というか、学校では基本的にそれらを使っていたからそれが一番記憶に残っている。尚、この中では表計算ソフトであるExcelに似た能力を除いては私が訪れる前から既知であった。


 話を戻すと、この"ドキュメント"も"Room"を併用することで使い勝手が天と地のように変わるだろう。

 具体的には、共同作業が可能になるのだ。


 "Room"には標準機能としてチャットと音声通話(念話)がある。

 しかし、これにはデメリットも存在する。

 通知がないことだ。

 このチャットと音声念話については"Room"を固有能力として入れた上で、そこに接続している必要があり、さらに、その部屋に入室しなければならないのだ。常時接続にはある程度の魔力量が必要だ。

 さらに、基本的にはオープンチャットで秘密保持が必要な場合は入室時に承認を求めることができるが、それはかなり手間のかかる作業である。

 これはメリットかもしれないが、Roomは開設時に閉室のコマンドが付随されている。ファイルを開ける際に閉じ忘れないよう閉じるプログラムを入力しておくのと同じだ。従って、ある一定時間動きがないなど一定条件下でRoomは閉室されてしまう。メリットである理由はRoomの数が無駄に増えてしまわないこと、デメリットは常設でRoomを設置できないこと。


 ちなみに、"Room"によって大きく変わったのが通信料にあたる通信魔力である。

 教会(洗礼受託場)で固有能力のインストールやバックアップを行っているが、それらが保存されているクラウドとの接続はそこにある機器によって行っていた。謂わば、有線なのである。

 しかし、クラウド上にある"Room"に入室するためには教会以外でもクラウドにアクセスできなければならない。


 "Room"の構成を見ると、コメントを利用して部品に分かれていて、その中の1つにアクセスするための機能が搭載されていた。魔力消費はなかなかに高いが"Room"限定でアクセスするという条件のもと、魔力消費を抑えている、というのが仕組みだった。


 "Room"においての共同作業にはホスト以外利用能力の保持が必要とされなかったので、実はかなり汎用性が高く、ほとんどの人がこの能力を自身に取り入れることになった。それに伴い、"Room"をチューニングし、それぞれの魔力消費と稼働効率を上げる必要があったため、簡易調整を行う私はてんてこまい。同時に、かなりの金額が溜まった。(無料でやるのは色んな意味でよくないため。)瑞稀にそのほかの調整や経理を任せてしまって、納税も問題なくこなした。


 他に、ほとんどの人が利用している能力には"ホッタイモイジクルナ"や"カレンダ"があり、それぞれ時刻や時間計測と予定把握の機能を持つ。

 "カレンダ"に関しては"Room"を利用することでシフト調整にとても便利。現在、人気の組み合わせです。


 これまでよりも多彩な能力を入れておきたい人たちはチューニング方法について猛勉強中で、私も含めて、より適切に調整できるように、魔力消費量を抑えられるようにと考えているところである。私はついでに、0から能力を作成できないかを模索中である。


 同時に、プログラミング的思考と云われるものを鍛えるための教材も検討中である。

 これらを完全に扱える人材を育てること、また、固有能力について捉え直すことが目的だ。


 ディスプレイが数週間で町中に普及したことについてはお察しの通りの順応の高さです。

 そのうち、亜人たちの間では当然の技術になるでしょう。

 それについて私が遠い目をしたのは致し方ない。



 亜人に関する知識については少しずつ増やしている。


 特に、魔法はそれぞれで特徴が大きく異なる。


 人間の古代魔法は数式をもとに、自然の定理を一瞬だけ書き換えることというのが正しい捉え方だろう。

 指定した座標に火の玉が存在するという事実を書き、一度だけそれが実行される。実行されたものは破棄される。

 柔軟性は高く、応用の範囲は広いが、詠唱が長く、近接戦闘には向かないとされる上、大きな書き換えには大きな魔力が必要となるため利用範囲は限られる。前衛に守られながら後衛から避けられないような角度の攻撃を与える、というような利用法はとても有効であると瑞稀が分析していた。詠唱といっても、音声が大事なのではなく、世界の理?にアクセスして正しくそれを入力できれば念じるだけでも問題はない。ただし、思考というのはいつも乱れているから、それを出力することで安定させる、そのような意味で詠唱は有効。これに関しては固有能力を扱うときと同じ。なんならキーボード入力でも同じことが可能。


 多くの人間が現在使っている魔法は魔法であって魔法でない。

 魔力量にモノいわせたゴリ押しである。

 女神さまに願って祈りを捧げる詠唱を大声で行った後にそれっぽいことを願うようにいう。

 願ったことと似たような現象が起こることが多いが、具体的なイメージではないため、大体がズレる。

 うっかり、全くできないような魔法が可能になってしまったりするため、意外と馬鹿にできないが、魔力消費効率が著しく悪く、魔法が起きるかどうかは天まかせ、大声で詠唱するから奇襲を受ける恐れあり。開発最中ならともかく、実際の戦場で使うにはリスキーすぎると瑞稀は分析している。


 私やノエル、レオンさんに魔法を教えているブルナンどのだが、彼は私と同時期に留学をしている。私よりも期間は短いが、これっきりにならないようだからトータルでいえば、彼の方が留学期間が長いといえるだろう。彼の留学先はオークの集落だ。オークは魔法が発展している、というよりは、オークの魔法が一番近接戦闘に向いているといえるからだ。オークの集落では地球ではもはや使われていないラテン語が使用されている。その言葉を使った詠唱を行うのがオークの魔法だ。ラテン語でそのときその時で適切な歌(詠唱)を行うのだそう。詠唱の長さがとても短く、一つ一つの詠唱が繋がって連鎖して起こること、詠唱が毎回異なるので相手になんの魔法を使うのかを悟られにくいことが利点だ。

 魔法の原理は極小確率で起こることを詠唱によって手繰り寄せる、らしい。確率操作に近い魔法、つまり、0%のことは起こせない、または、大量の魔力が必要。例えば、火を使った魔法なら、落ちてきた水滴が奇跡的に綺麗な凸レンズの形をしていて日光の光を収束させて燃えた、という奇跡を手繰り寄せる。乾燥した落ち葉が擦れて火が燃える、というのも一つの例だ。実態が掴みにくく、ラテン語の習得も容易でない、なおかつ、自然現象に詳しくなければ使えない、と習得がめちゃくちゃ難しいのが欠点だ。生まれた頃からオークの集落で育てられた者以外で使えるものなど少ない。



 ドワーフの魔法はあまり見かけないが、自己強化が主流だそう。

 ドワーフは地球でいう重機を使わずに、同じ作業を人の手で行う。建築の際に、きめ細やかな作業を人の手でできるのだから、自由度は重機と比べて圧倒的だ。掘削などの魔法を付与することで穴掘りも楽々に。実は、現在こそ亜人たちの中で魔法の付与は当たり前のことだが、最初に付与を行っていたのはドワーフらしい。つまり、昔は付与のドワーフと言われていたということだ。ドワーフは付与を利用して武器の製造も行なっていた。利点は超便利、習得が楽。欠点は戦闘には不向き、地味。ドワーフやこれを利用しているみなさんは全く気にしていない欠点だ。むしろ、誇りに思っている。



 忍者の集落、楓や佐助の育った集落では希釈という魔法が利用されている。

 要は存在を希釈、薄めることで忍びとして気配を消そうというものらしい。人に見つかりにくくなるとても有用な魔法だが、自分の存在を世界に溶け込ませて分散させる、という能力の特性上、魔力は拡散し切っていて体内の魔力は空になり、それ以外の魔法が利用不可能になる。魔法を解いたときに周辺に散らかった自分の魔力を集めるので魔法を解けば使えるが、そのときに魔力に敏感な人には察知される恐れがある。さらに、魔力分散による希釈なので、透明人間になれるわけでもなければ、匂いを消せるわけでもない。故に、足音を立てたり、姿が見えたり、匂いを出したりしたり、というのはカバーされないから技術で補うしかない。また、体温だけは希釈で下げることができるが、それは死に近づいているということであり(希釈を続け0%になると死亡する)、習得するまでは練習の時に誤って命を落としてしまわないように監督してもらう必要がある。



 最近、楓が猫獣人と吸血鬼のハーフということを知ったが、吸血鬼というのも存在するらしい。この世界における吸血鬼というのは、コウモリの羽をもち、血を吸う種族のことを言うようで、死者が生き返ったというような発生の仕方はしない。また、吸血鬼に血を吸われても吸血鬼になることはない。日光に当たると死ぬということはないが、肌が強くないため、火の出るところでは、なるべく肌を隠すようにしているそうだ。日焼け止めクリームの発展と普及が著しいのだそう。集落は霧に覆われており、日光の下で長袖長ズボンなためか、鬱憤を晴らすように薄着をしている。

 吸血鬼の魔法は魔法陣を描くことによって成立するため、戦闘の最中に魔法陣を描くとなると不向きである。しかし、彼らの魔法は昏睡状態にするなどの麻酔型、血を吸った相手の見た目や声を写しとる擬態型、約束を守らせる契約型の3つに分類され、いずれも戦闘の最中に使うようなものではないため、問題はない。

 吸血鬼が先天的にできることとして、自分の血を操ること、羽を使って飛行すること、驚異的な回復力があるため、戦闘時はそれらを利用する。とても強い。



 エルフ、サエラさんもエルフだ。

 エルフは大きく2つの魔法が存在し、ひとつは薬草の調合に特化したものでサエラさんが習得した魔法たち、そして、精霊と協力することによって為す精霊魔法。エルフは集落で過ごすモノたちと魔女として生きるサエラさんのような人たちがいる。どちらも認められたもので、魔女として生きてもコミュニティから外されることはなく、医者のようなものとして重宝される。集落で過ごすエルフは森の管理者のようなモノたちで弓矢を得意とし、魔法では精霊という世界を回すための存在に力を借りながら主に植物の操作を行う。精霊魔法のメリットは消費魔力が少ないが出力が大きいこと、デメリットは精霊と相性が悪いと使えないこと、精霊が少ない場所では使えないこと、要は全てが精霊頼みになってしまうことだ。



 他にもいろいろな種族がいて、いろいろな集落があって、それぞれに特徴があるが、全てを挙げていたらキリがなくなってしまうのでこれまでにする。

 昨今では集落間の移動も活発になっているので、意外と種族に限らない魔法を使うものがいる。しかし、メジャーなものがこれらであることは事実だし、それぞれの特性に合わせているのも事実だ。いくら、移動が容易くなっても、魔法を一つ習得するだけでも多大な時間を要するため、やはり、全てを習得できるものではないのだ。

種族まとめ


人間

・数が多い

・寿命が短い

・内輪で争いやすい(権力闘争が多い)


オーク

・がたいがよく体重も重い

・声がいい

・音痴がほぼゼロ

・穏やかな性格


ドワーフ

・背が低い

・酒に強い

・筋力がある

・魔力が少なめ


エルフ

・寿命が長い

・精霊・植物との相性がいい

・筋力が少ない

・傷の治りが遅い

・ツリーハウスが好き


吸血鬼

・血を吸う

・肌が弱い

・再生能力が強い(血を吸った後に舐めると傷が消える)

・血を操れる

・銀に弱い

・高貴な雰囲気

・芸術が好き



集落まとめ


ドワーフの街

・公用語は英語

・研究者と最新技術の集まる街

・最大の図書館がある

・常に建て直しが行われているため引っ越しが多い

・いろんな種族がいる


オークの集落

・公用語はラテン語

・暖かい雰囲気で穏やか

・魔法の教育が充実

・質素な建物に見えるがドワーフ製なのでお察しの機能

・火を囲んで歌を歌うキャンプファイヤーが人気


忍者の里

・公用語は日本語

・教育機関は寺子屋

・将棋も囲碁も流行

・貨幣がかなり面倒

・日本、それも江戸時代のイメージを継いでいるが建築したのはドワーフなので(略)

・奇襲は日常茶飯事(重症・死亡を除けばなんでもOK)

・種族が雑多


エルフの集落

・公用語はドイツ語

・植物とともに

・静かで大人びた雰囲気

・ツリーハウスは自然にとけ混んでいるが造ったのはドワーフなので(略)

・他の集落に素敵な植物が植えられていたら彼らの仕業

・実はドワーフの街への移住者が多い



吸血鬼の集落

・変に凝った魔王城みたいな建物があるが造ったのはドワーフであり、故に(略)

・霧に囲まれていて薄暗い

・お洒落で高貴で貴族みたい

・芸術が好きなので、所々に芸術作品がある

・霧の中では意外と薄着

・移住者の受け入れに積極的だが本音は…(血が吸いたい)

・黒歴史を製造する、所謂、厨二病が一定割合で存在する

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スピンオフ短篇の紹介

「ラッキー7の世界で」スピンオフ短篇

作品紹介


完結済

すべてはあの桜花のせい

悠という少年の巣立ちの物語。推理SF小説。

連載中

魔女の弟子と劣等学級 -I組生徒の過ごし方-

魔女の弟子が初めて街に降りて人と関わる学園もの。

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