ランドルト環
「次、これ分かりますか?」
「いいえ、分かりません。」
「では、これは?」
「上です。」
久々のこのやりとり、視力検査である。
ランドルト環を利用して視力検査を行う。
視力の数値とサイズの因果関係が不明なため、視力を数値で表すことはしないが、概ね、地球のものと同じである。
しかし、異なることがあるとするならば、基準値である。
人間にとって見えすぎなくらいでも、他の種族からしたら見えなさすぎ、またその逆もあるのである。
したがって、基準値は存在しない。
曰く、
「快適に過ごせればいいんじゃないですか?」
と、ある種、真理をついたようなことになっていた。
「ふむ、セシルさんの視力は日常生活(研究など)に支障がでないところがちょうどいいんですかね?すると…この施設の大広間で快適に講義が受けられること、になるかな。すると、このくらい…。」
といった塩梅である。
地球において視力がよかった私は、裸眼で生きてきたから、眼鏡をつくったことはない。憧れてPC眼鏡をつくったこともあるが、大して活躍しなかった。花粉症メガネはなんか視界が狭まってきらいだった。
学校の視力検査でA(1.0以上)でなかったら病院へ、だったよね?
「一応、今日の検査は終了です、明日までにはレンズ候補がいくつかあると思うので、それでもう一度検査してもらいます。あとは、眼鏡のフレームなのですが、コンペに出しておけば明日には候補が上がると思います。」
「コンペですか?」
「はい、希望などを張り出しておくと、それにそったデザインが募集されて、その中でセシルさんが選んだものが採用されます。選ばれた人にはデザイン料が支払われますよ。デザインにかかわらず、コンペについては常時開催されていますので、見てみるのもいいと思いますよ?」
「なるほど。それは面白そうですね。」
プラットホームってことかな?
「コンペの手続きは私がしますので、希望を教えてもらえますか?」
「…そうですね。可愛いよりはかっこいいやお洒落方面で。派手ではなく、でも少し面白みがある普段使いできるものですね。管理もしやすいものがいいです。色は紺、茶、黒、あたりの無彩色とかがいいです。あ、でも、木とかの色は歓迎です。」
「ふむふむ、なるほど。」
「あと、よかったら、そのコンペに関する部分を見たいのですが…。」
願い出てみる。
「気になりますか?でも、すみません。今日は時間がギリギリなので。よかったら明日、行ってみませんか?」
「ありがとうございます。そうさせてください。質疑応答の時間もなんとかします。」
「ふふ、批判が殺到しそう…。私、怒られちゃうかしら?」
「大丈夫でしょう。最終的に、全員の質問に答えるつもりですし。それがここへの留学の対価みたいなものですから。」
「質問に答えてくれるのは嬉しいけど、そんなに気負わなくていいのよ?違う視点を持った子がいるだけで、こちらの発想も豊かになるのだから。みんな、歓迎してるわ。」
「そう言ってもらえると、嬉しいですね。」




